[週刊ファイト4月20日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
実現するのかしないのか、多くの格闘技ファン・ボクシング・ファンをやきもきさせている、UFC同時二階級制覇王者コナー・マクレガーvs”ボクシング界のスーパースター”フロイド・メイウェザーJr戦。この”ドリームマッチ”の実現に向けて大きな進展と思われる発言があった。マクレガーの専属契約を持つUFCのデイナ・ホワイト社長が「この試合は実現すると思う」と発言したのだ! デイナ社長の発言の詳細は?
▼ 「マクレガーvsメイウェザーは実現する!」デイナ・ホワイト社長が断言
Text by稲垣 收
・ 「コナーはすでにメイウェザー戦に向けた特訓を開始している」(マクレガーのコーチ、ジョン・カヴァナー)
・ ネヴァダ州コミッションもマクレガーvsメイウェザーのベガス開催を認可
まず、この”ドリームマッチ”に関する話のこれまでの経過を振り返ってみよう。
噂の発端は、1年ほど前にメイウェザーが
「俺が復帰するとしたら相手の第一候補はコナー・マクレガーだ」
と発言したことからだった。
その後、マクレガー側も「やってやる」と応じ、カリフォルニア州のボクシング・ライセンスも取得し、ボクシング元世界王者ともスパーリングをしたりした。
だがファイトマネーの取り分を巡って両者の要求は食い違い、また、マクレガーが専属契約を結んでいるUFCが試合を認めないのではないかという問題もあり、事態はなかなか進まなかった。
UFCのデイナ・ホワイト社長は両者に「2500万ドル+PPV(ペイ・パー・ビュー=有料視聴契約)の売り上げの歩合」という条件をオファーしたが、メイウェザーは
「デイナはファッキン・コメディアンだ!」
と、金額が安すぎてはなしにならない、と笑い飛ばし、相手にしなかった。
メイウェザーは
「俺の方がAサイド(人気の側)だ!」
として1億ドルを要求。
そしてマクレガーも1億ドルを要求する発言をした。
これに対しデイナ社長は、
「メイウェザーは自分の側がAサイドだと言っているが、どこがAサイドだ? メイウェザーは『マクレガーが1試合で稼ぐ額は800万ドル~1000万ドルもない』なんて言うが間違ってる。メイウェザーの(パッキャオ)とのメガ・ファイトはあまりにつまらなかったから、もう誰も彼の試合なんかみたいと思わなくなった。彼の最後の試合(アンドレ・ベルト戦)のPPV(ペイパービュー、有料視聴)契約は、35万件に過ぎなかった。だがマクレガーの前回の試合のPPV売り上げは、130万件と150万件だ。マクレガーとの試合を必要としているのは、メイウェザーの方だよ!」
と反論した。

しかしメイウェザーは今年2月に40歳になり、引退試合となった2015年9月のアンドレ・ベルト戦から、すでに1年半が経過している。このままではどんどん衰えていくばかりだ。
そのため、焦ったのか
「マクレガーよ、さっさと契約書にサインしろ! 6月にやろうじゃないか!」
と具体的に月まで挙げて対戦を要求していた。
その後、両者の対戦は9月ごろではないか、と業界では憶測が流れていた。
そして今回デイナが
「この試合は実現すると思う」
とハッキリ語ったのだ。
「私はこの試合は実現すると思う」
と先週末のUFC210の際にデイナ社長は言った。
「コナー(・マクレガー)はやりたがってるし、フロイド(・メイウェザー)もやりたがってる。これまで私は何度も言っているが、コナーはたくさんのことをやってくれた。わが社(UFC)と私、そしてロレンゾ(前UFCオーナー)のために立ち上がって、いくつものビッグ・ファイトをしてくれた。彼にこの試合をするな、と私には言えない……コナーにはまもなく赤ちゃんが生まれる。赤ちゃんが生まれたら、私たちはニューヨークで会うことになってるんだ」

https://twitter.com/TheNotoriousMMA
この試合の公式な契約が近づいた、とは言っていないが、その前段階の交渉はすでに行われている、とのことだ。もちろん、まだ乗り越えなければならない課題はいくつもあるが――
試合の放映形態をどうするのか?
これは、メイウェザーvsパッキャオ戦をHBOとショータイムが共同でPPV放映したのと同じような方式にすればいいだろう。
両選手の取り分をどう分けるか?
ここが一番紛糾しそうだ。
いずれにしても、「それらは解決可能な問題だ」とデイナ社長は言う。
「はっきり言っておきたいが、ジェフ・メイウェザー(フロイドの叔父)が言ってるような80対20(UFCが80%を取りマクレガーが20%を取る)などという数字はありえない。ジェフ、いい加減なことを言うのはやめろ! 私とジェフは長年の知り合いだが、ジェフよ、キミはチーム・メイウェザーのスポークスマンになったのか? (ボクシング・プロモーターの)ボブ・アラムもゴチャゴチャ言ってるようだが、あんたはクソッタレだ! 彼らがこの試合について何を知ってるというんだ? 何も知らないよ」
そしてデイナはさらに続ける。
「私たちとコナーは、下準備的な話し合いはしたし、私と彼とはいい関係だ。彼に赤ちゃんが生まれたらニューヨークで会うんだ」
9月に試合が行われるのでは、という憶測に関しては、デイナははっきりとしたコメントはしなかった。
「コナーとの合意を得るまでに時間がかかり、さらにメイウェザー側との合意を得るために時間がかかるだろう。どっちがAサイドかという話がからんでくるからだ。私はコナー側の人間だから、バイアスがかかっているかもしれない。だから、キミたちが判断してほしい。コナー・マクレガーは大スターでないのか? そしてこの試合では、フロイドはコナーなしにこれほど巨額のカネを稼げる試合をできない」
たしかにデイナの言うとおりだろう。
長年待ち望まれたパッキャオとのメガマッチが、通常のPPV料金の倍を取ったにもかかわらず“世紀の凡戦”と呼ばれる結果に終わったメイウェザーは、その次に行なったアンドレ・ベルトとの引退試合では、PPV契約は40~50万件しか獲得できなかったのだ。一方UFCは2016年度に100万件を超えるPPV契約となった大会が5大会もある。マクレガーの3試合(vsネイト・ディアス1、2とエディ・アルバレス戦)とロンダの復帰戦、そして記念碑的大会UFC200だ。
マクレガーvsネイトの初戦が行われたUFC196のPPV契約は160万件、再戦のUFC202はそれを超えて165万件、アルバレス戦は130万件である。
そしれロンダが復帰してアマンダ・ヌネスにKO負けしたUFC207は110万件、UFC200は109万件だ。この年間5大会でPPV売り上げ100万件突破というのは、ボクシングでも総合格闘技でも史上初である。
そのうち3つでメインを務めたマクレガーは間違いなくスーパースターだ。
デイナは続ける。
「それにコナーは(相手の土俵である)ボクシング・ルールでやってやると言っている。『総合ルールでやろうぜ』などとは言わずにね」
どちらが真に勇敢な男か、それだけでもわかるだろう。
●マクレガーのコーチも発言「コナーはメイウェザー戦に向けた特訓を……」
●ネヴァダ州コミッションも認可。その理由は?