[ファイトクラブ]メリル・ストリープ失言波紋!総合格闘技は芸術ではないのか?

[週刊ファイト1月19日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼メリル・ストリープ失言波紋!総合格闘技は芸術ではないのか?
 by タダシ☆タナカ


 現地時間1月9日の夜、ハリウッド外国人映画記者協会の会員投票により選出され、しばしアカデミー賞の先行指標ともなる第74回ゴールデン・グローブ賞が開催された。ここで功労賞に当たるセシル・B・デミル賞を受賞したのが、67歳になった大女優メリル・ストリープだ。ただ、単なる「感謝します」ではなく、ドナルド・トランプ次期大統領批判の怒りのスピーチだったため、「カリフォルニアはトランプを選んでない」デモまで繰り広げられた土地柄だけに、会場は感涙の嵐となり、一般には好評だったことは疑いもない。しかし、「ハリウッドにはアウトサイダーたちと外国人たちがそこらじゅうにいます。もし彼らを追い出そうとしたならば、フットボールと総合格闘技の試合ぐらいしか見るものがなくなってしまうでしょう。残念ながらそれらは芸術ではありません」と、聞き捨てならないセリフがあったのだ。映画好きの格闘技関係者が敏感に反応したのは自然だろう。
 本誌はまず、ベラトール代表の(韓国系でもある)スコット・コーカー代表が噛みついたのを見つけ、これなら使えると即刻ニュースとしてブログ欄に取り上げたが、総合格闘技は芸術ではないのかを、本稿にてあらためて検証してみたい。ちなみに原語で彼女は”football and mixed martial arts, which are not the arts”と明言している。奇しくも用語にartsと入ってる総合格闘技MMAを、彼女が住む世界の映画のような芸術ではないと差別していることになる。これはやはり無知からくる偏見だと抗議せざるを得ないのだ。たとえ、トランプ批判の主旨には賛同したとしてもである。

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 政治的なスタンスは扱わないのが本誌のスタンスだ。トランプは、プロレスで学んだシュートとワークの境界線すれすれの、いやK点越えの暴言の数々で投票場に足を運んだ半数以上の有権者のハートをわしづかみにしたから勝利したと分析してきた。プロレス頭を駆使してきたから、世界が大きな影響を受ける米国大横領になった以上、週刊ファイトは今後もその動向を取り上げざるを得ないが、記者個人としてどう思っているかはまた別問題だ。実際、「こんなキ●●●が選ばれたら大変なことになる」と周囲には漏らしてきたし、相場が踊らされて上昇していることにも懐疑的である。唯一、プロレスは政治には有効というのが、ある種怖いことだと感じている点を除けば、リングでプロレス技も受けてバンプしているトランプは正真正銘のプロレスラーでもある以上、マット界から大統領が誕生したと記してもなにも間違ってはいないし、喜ばしいことだとも活字にしておく必要があろう。
 但し、シュートとワークの境界線スレスレは構わないが、やはりよく知らないことに言及して墓穴を掘るのはご法度だし、偏見はよくないと強く思う。買って読まずにああだこうだと週刊ファイトが偏見にさらされてきただけに、そこは強く警告しておきたいのだ。なにしろ、ちょうどジュリアン・ムーアがそっくりさんで副大統領候補だったサラ・ペイリンを演じた映画『ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女』を観たばかり。アラスカ州知事で美貌の女性だからと、ジョン・マケイン候補(その昔、ボクシング派としてUFCを各州で禁止にした黒幕として格闘技界ではブラックリスト)の相棒に選ばれながら、政治に無知な面がたびたび露見されて「馬鹿女」のレッテルを張られ、結果的にマケインはバラック・オバマに負けた。つい8年前のことである。
Wikiより

 メリル・ストリープは、もう何を言っても許される大女優であり、まして式典がハリウッドの外国人映画記者協会選出のゴールデン・グローブ賞ともなると、ますますトランプ批判やってもむしろ拍手喝采になることは計算済みだった。事実、よくぞ言ったと、式典会場は総立ちになっている。しかし、ユダヤ系を筆頭に「外様者が流れてきたハリウッド産業を敵に回したら、芸術ではないフィットボールと総合格闘技しか娯楽がなくなる」という言い回しは、K点越えの暴言である。総合格闘技は野蛮な喧嘩ではなく、ルールに則ったARTなんだと説いてきた我々の立場がない。スコット・コーカーもまた、メリル・ストリープのファンだったから早速反応したのだろうが、記者もまたプロレス格闘技以外の趣味を聞かれたら、メタル音楽と洋画と答えてきた手前、いくらスピーチの締めが「私の友人であり、つい最近この惑星から旅立った、いとしいレイア姫が私に言ったことがあります」”Take your broken heart, make it into art”(心が壊れたなら、それを芸術へと作り替えなさい)であったとしても、やはり容認できないのだ。ちなみにゴールデン・グローブ賞、テーマ曲を作ったのはメタル界の至宝X-JAPANのYOSHIKIである。

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