7・19『LUCHA FIESTA 2010』闘龍門史上最大の師弟対決が再燃か

 ウルティモ・ドラゴン プロデュース興行「LUCHA FIESTA2010」が7月19日(月=祝)、東京・後楽園ホールで開催される。
 このイベントは、昨年から今年の2年間をまたにかけておこなわれている“日本メキシコ交流400周年記念事業”の一環で、日本におけるクライマックスと考えていい。今回も、メキシコ大使館が後援、全面バックアップすることが6月28日、駐日メキシコ合衆国大使ミゲル・ルイス・カバーニャス氏出席による記者会見で発表された。
 ルチャリブレとは、メキシコの庶民に根づいたスポーツ、娯楽である。日本からは想像がつかないくらいのプロレス大国であるメキシコのルチャリブレを日本マット界に紹介してきたのが、ウルティモ・ドラゴン。カバーニャス大使はウルティモを「日本におけるルチャリブレの大使」と位置づけている。2年連続のプロレス興行後援が、その事実をしっかりと裏付けている。
 日本での興行だけではない。メキシコでも“日本メキシコ交流400周年事業”としてプロレス興行を2年連続で開催した。しかも、ルチャリブレの聖地といわれるアレナ・メヒコに連続して1万人以上の大観衆を集めている。とくに昨年は新型インフルエンザの影響で開催が危ぶまれたものの、およそ3ヵ月の延期で実現にこぎつけた。今年は5月29日におこなわれ、藤波辰爾とミル・マスカラスという日墨のレジェンド合体を現実のものとした。現地在住の日本人にも、もちろん、現地のファンにも満足できるのが、ウルティモ・ドラゴン主催興行の特色である。
 メキシコが「Dragomania(ドラゴマニア)」で、日本が「LUCHA FIESTA(ルチャ・フィエスタ)」。ネーミングこそ違うが、両国の交流を両国のファンがともに満足できる形で提供するのが大会の大まかなレイアウト。さらに7月の大会は、日本におけるプロレスの聖地、後楽園ホールへの進出だ。アレナ・メヒコと後楽園。聖地でおこなわれるという共通点が、ここへきて誕生した。
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 今年も昨年のZepp Tokyo大会同様、メキシコの民族舞踊やマリアッチの演奏が楽しめる「LUCHA FIESTA」だが、主軸となるのはやはりプロレス、ルチャリブレ。6月29日にメキシコ大使館で、一部対戦カードが発表された。ソラールvs.ネグロ・ナバーロの「ルチャ・クラシカ・デ・ロス・マエストロ」、エスペクトリートvs.Xのミニ・エストレージャによるシングルマッチ。そして、ブラソ・デ・プラティーノ&栗原あゆみ&ミラニートコレクションa.t.組vs.NOSAWA論外&藤田ミノル&大畠美咲組の6人タッグマッチ。
 この3つだけでも、バラエティーに富んだ試合構成ということが伝わってくる。ソラールvs.ナバーロではタイトルどおり、ルチャの先生によるクラシックな技術を堪能できそうだ。
「日本のファンのみなさんは、ルチャリブレといえば空中殺法だったりスピードをイメージすると思いますが、その常識を覆すようなジャベの応酬になると思います。私が一番にオススメする究極の一戦です」(ウルティモ)
 ソラールはメキシコで技の解説本を出版しているほど多くのジャベ(関節技)をマスターしている。ナバーロは闘龍門のコーチ役。闘龍門に入門した多くの若手レスラーが、ナバーロの手ほどきを受けている。ローカル大会へのブッキングも、多くはナバーロが手がけているから、実戦による経験が反復練習として積めるのだ。この試合では、日本のファンがアッと驚くような未知の関節技が次々と披露されるだろう。まさに、動くルチャの教科書だ。
 ソラールvs.ナバーロがグラウンドのルチャなら、ミニ・エストレージャによるシングルマッチは空中戦のルチャリブレ。昨年の「LUCHA FIESTA」では、マスカリータ・サグラダvsペケーニョ・ダミアン666が観衆の度肝を抜いた。こんど来日するエスペクトリートにも、ミニのカテゴリーを超越するようなスピード感あふれるテクニックが期待できる。果たして「X」とされる相手は誰なのか。ウルティモのことだ。なにか考えがあっての「X」なのだろう。
 男女混合によるミックスト6人タッグマッチでは、楽しいルチャリブレが満喫できるはず。ブラソ・デ・プラティーノは、楽しいルチャを日本に紹介したロス・ブラソスの末弟。メキシコでの「Dragomania」でも常連で、楽しいプロレス担当といっていい。ここに、ウルティモのいう闘龍門史上ベストマッチをアレナ・メヒコの6人タッグでやってのけたNOSAWA論外が入るのだから、大いに期待してよさそうだ。
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『日墨友好400周年記念 ウルティモ・ドラゴンプロデュースLUCHA FIESTA 2009』より
 さて、会見による発表では、ウルティモ・ドラゴンのカードが入っていないというまさかの出来事が起こった。これには“実行委員長”大原はじめの思惑がある。大原によると、「校長にはアンダーカードでやってもらう」とのこと。あくまでも、大原自身が昨年に引きつづきメインを張るというのだ。しかも、今回はウルティモ校長抜きで…。
「もう、ウルティモ・ドラゴンの時代ってわけにはいかないんですよ。校長がメインに出てきたら時代が変わってないってことになってしまう。だから、ボクがメインを任せてもらいますよ」
 昨年の「Dragomania Ⅳ」では、アレナ・メヒコのメインでウルティモとマスカラ・コントラ・カベジェラを闘った大原。マスクと髪の毛をかける究極の師弟対決は、ウルティモの勝利に終わった。とはいえ、大原は自力で校長を引っ張り出し、メインをやり遂げたとの自負がある。それに至る行程では、実際にウルティモを破ってきた。スペイン、メキシコ、日本と戦場を変えながら追いつめた事実が大きな財産になっている。だからこその、メイン立候補なのだ。
 しかしながら、7月5日の会見ではウルティモがゴリ押し気味にメインに割り込むことに成功。大原は藤田峰雄に奪われたインターナショナルジュニアヘビー級王座の奪回をめざしており、このタイトルマッチでメインを飾るつもりだったらしいが、6人でベルトを争う形式に変更された。王者の藤田、大原、ウルティモに加え、大原がスペイン時代にウルティモを追うために変身したダーク・ドラゴンを招へい、さらにブラック・タイガーまで呼ぶという。そこに佐藤秀をまじえてのカードが提示されたのだ。
 といっても、試合形式やルールは当日発表。
6WAYマッチ、イリミネーションマッチ、バトルロイヤル、ワンデートーナメントなど、さまざまなパターンが考えられるが、こうなるとマークのきつくなるであろう王者の藤田が絶対の不利をしいられる。佐藤秀がいて、佐藤恵の名前がないのも不気味。試合形式を想像しながら当日を迎えるのもいいだろう。
 大原としてはウルティモ校長が入ったことで、ベルト奪回と同時に師弟対決の再燃も頭に入れておかなくてはならなくなった。そんなウルティモと大原の心理戦にも注目したい。さまざまなパターンが考えられるメインイベント。この日から、闘龍門史上最大の師弟対決、その第2ラウンドがスタートするのだろうか!?            
(構成・文)新井 宏
7・19『LUCHA FIESTA 2010』対戦カードがメキシコ大使館で発表
7・19『Lucha Fiesta』メインはNWAインターJr王者・藤田峰雄に5名(4人)が挑戦する変則マッチに