大アクシデント発生! 諏訪魔戦でKOの雷陣明、深刻な意識不明で興行30分ストップ 9・13全日本後楽園大会

 5分、10分、15分…。いたずらに時間は過ぎてゆく。1,800人の観客が一様に言葉を失い、不気味な静寂が後楽園ホールを包む。
 北側イス席で観戦の女性が、突如ぐったりとうなだれ始め、周囲が騒然となる。リング上の異様な光景にショックを受けたのか、彼女も意識を失ってしまったようだ。林リングドクターが血相を変えてリングサイドに飛び込み、女性の介抱に当たる。若手レスラー陣が大慌てでイスを何脚か片づけ、北側客席に即席の通路が作られ、女性客がタンカで運び出される。リング上に視線を戻すと、雷陣を囲むセコンド陣がシューズを脱がし、雷陣は素足で横たわっていた。それでも雷陣は、まったく動かない。
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試合終了直後。ボンバー斉藤レフェリーの表情から、この時点で事態の深刻さが伺える
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瞬く間にセコンド陣、そして林ドクターが集結。非常事態発生だ
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アップで撮影したリング上。林ドクターが雷陣の脈を取っている。すでに危険な状況だ
「心臓マッサージやれ~!」
 冗談とも本気ともつかない観客の野次に、リング上の平井伸和が反応した。
「うるせぇっ! 黙れ馬鹿野郎っ!!」
 現役プロレスラーが、観客にガチンコの怒りを爆発させる現場など、いつ以来だろうか。このやり取りにも、観客は明確な反応を示すこともできず、ただリング上を沈黙したまま見守っている。
 
 試合終了後、約20分経過。マスクで顔を隠した、ヘルメット姿の救急隊が後楽園ホールに到着すると、事態が想定以上に深刻であることを悟った1,800人の観客から、一斉にどよめきの声が挙がった。
 急遽サードロープを外したリングから、救急隊とレスラー陣が協力し合い、テープで身体を厳重に固定された雷陣を、タンカで慎重に運び出す。観客は「雷陣」コールと拍手で見送り、雷陣の無事を祈る。
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 雷陣明にとっては、晴れの舞台になるはずであった。
 10月より主戦場を米国・TNAマットに移す雷陣の、晴れの壮行試合。対戦相手には、雷陣の同期にして最大のライバル・三冠王者諏訪魔が選ばれた。
 諏訪魔は妥協なき攻めで、雷陣に痛みを叩き込む形で、同期の門出を祝うつもりだったのだろう。頭突きとサッカーボールキック、そして容赦ないストンピング…。しかし、そのハードヒットがアダとなってしまった。聞くところによると諏訪魔も、雷陣を気遣い病院に帯同していったという。突発的なアクシデントとはいえ、諏訪魔の心中は、察して余りある。諏訪魔の今後のファイトに影響が及ばないことを祈るばかりである。
 
 雷陣の救急車搬送後、報道陣に囲まれた林リングドクターは、
「脳震盪で、ここまで長く意識を失うことは例を見ない。痛覚にも反応しなかったので、意識レベルとしては一番下の、かなり危険な状態です。硬膜下血腫の疑いがあり、生命の危険もあります。たとえ助かったとしても、プロレス復帰には半年はかかるでしょう」
 
 とショッキングな報告。14日午前4時現在、カズ・ハヤシ阿部誠リングアナのブログから「意識戻る。手術の必要ナシ」という報告が為され、最悪の事態を免れひと安心…というところであるが、ファンの安心のためにも、医師団・団体サイドからの一刻も早い経過報告が待たれる。
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林ドクターの周囲にも、終始重苦しい空気が流れていた…