格闘技戦一勝一敗のスティング フィニッシュはさそり固め!

 先日の『レッスル・マニア24』でボクシング現役王者、フロイド・メイウェザーがビック・ショーとNHBマッチを行い大きな話題になった。
 こうした格闘技選手とプロレスラーが戦う異種格闘技戦は、“最強”を売り物にしていた新日本プロレスというかアントニオ猪木、そしてその新日の流れを汲むUWFの前田、高田、またはそれに対抗していた大仁田など日本人レスラーの専売特許のように思えるが、意外な選手も異種格闘技戦を行っているのをご存知だろうか?
 古い例ではアンドレ・ザ・ジャイアント。あの伝説の猪木-アリ戦が行われた1976年6月26日にニューヨークで映画『ロッキー』のモデルにもなり、猪木とも戦ったプロボクサー、チャック・ウェップナーと異種格闘技戦を行い快勝している。
 珍しい例では1995年1月4日、新日本プロレス東京ドーム大会(’95 闘強導夢 BATTLE7)で行われた、格闘技トーナメント。このトーナメントに何故かアメリカン・プロレスの象徴と言えるスティングが参戦している。
 日本でこそ過小評価されているが、スティングはアメリカにおいて絶大な人気を誇るスーパースターで、現在も“アイコン(象徴)”と呼ばれTNAのトップ選手である。この日米で極端に評価が違うことでも分かるように、プロレスラーの中でももっとも異種格闘技から対極に位置するレスラー。 
 それがどうして”格闘技トーナメント”にエントリーされたのか、当時のファンも唖然としていた。
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「nWo仕様」スティングのアクション・フィギュア
 そのスティングの一回戦の相手は、猪木と名勝負を繰り広げたモンスターマンの弟子という触れ込みのトニー・パルモラ。このパルモラ、たるんだ身体でスローなキックを武器に戦う。スティングは2度ダウンするも、4分29秒必殺技サソリ固めを決め快勝。格闘技戦に初挑戦、初勝利を飾った。
 そして決勝戦では一回戦、ゴルドーをチョーク・スリーパーで絞め落とした猪木と対戦。もっともゴルドーは手加減というものを知らず、老体にムチ打って特別参戦していた猪木はボロボロにされ足を引きずった状態でなんとか二試合目に出陣。この時期、猪木が必殺技にしていた”魔性のスリーパー”でアメリカの英雄が絞め落とされるのであった。
 しかし格闘技トーナメントの決勝でどうして猪木vsスティングになるのか??という感じだが、なによりもどうして格闘技トーナメントにスティングがエントリーされたのかも未だにマニアの間では大きな謎になっている。試合はまるで動けない猪木に、なんとかスティングが合わせるという格闘技どころかプロレスにすらなってないお粗末な内容であった。
 一部では「年間最低試合賞が早くも決定した」と断罪されていたものだ。プロレス界ではたまにこういう予測不能な出来事が起こるのも魅力ではあるのだが・・・。