プロレス文化研究会報告 テーマは「プロレスとメディア」

先日(2007・7・7)
「活字プロレス」文化の歴史において重要な位置を占めるであろう岡村正史氏主宰の(第29回)プロレス文化研究会に行ってきた。
 テーマはプロレスとメディア。私自身、感心をもった題目なので出向くことにしたのだ。
場所は京都三条のル・グラン・ジャズという、年代物のジャズミュージシャンの写真が貼られたしゃれた小さな空間である。私自身年代物の音楽がプロレス、格闘技同様に好きなので心地よいひとときを満喫しえたと思う。
 全盛期のアントニオ猪木のまばゆいばかりの輝きを知る者であるならば、アドリブで構成される自由空間のジャズという音楽と”燃える闘魂”との相性のよさはなんとなくわかっていただけるであろう。
 一般紙における力道山プロレスの取り上げられ方は、社会におけるプロレスの位置付けを知るには興味深いテーマだ。プロレス文化研究会の発表は、このサークルならではの学術的なスタイルである。毎日、読売、朝日の主要3紙の相関性、年代(1954-1963)ごとに取り上げられた数々のデータ。それは試合記事、結果のみ、団体関連、その他の記事と細部にわたり調べ上げられている。これはとても頭が下がる思いである。
 偉大なる力道山の、手を変え品を変えのリングのパフォーマーとしての考察もうなずけるものがあった。
 次の発表は、梅津顕一郎氏の「80年代以降サブカルチャーとして再生したプロレス、その後の展開、衰退について」~村松友視本以降の流れが紹介されており、現代の萌えの時代といわれるまでが考察されているがこちらも興味深いテーマである。
 活字プロレス、大衆感情操作、テレビ放映、多団体時代満開、その後行き着くところまで行き着きプロとアマの境界線が暖味になった現在、それにネット時代さらにはシュート活字についても氏の独自の見解が述べられ勉強になった。
 話は前後することになるが、ここ数年の試合ではもっとも知的興奮に満ち溢れた99年1・4東京ドームの橋本真也対小川直也戦の映像が流される。
 シュート試合であろうが擬似格闘技であろうがそんなことは問題ではないだろう。
 この試合は試合前、試合の結末、当時の政治的状況はいろいろな邪推解釈がなされ物議をかもし出したが・・・。ただ言えるのは、プロレスにおける何か大事なものが破壊されたので一つの大きな事件となってしまったのだと私は考える。
謎は謎のままにしておいたほうがいいことはある。・・・というのが個人的見解だ。
 今、プロレスは浅く、軽くなってしまったような嫌いがあるが、プロレスを奥深く語り合い、考察、研究するサークルが残っている。そして生涯プロレスと向き合うことと心に秘めたるものがある者なら、新たな感動に出会えるかも知れない。例えば一枚の年代物のプロレスラーやプロレス試合の写真が、自らに何かを語りかけてくるような思いを感じるのならば、ぜひプロレス文化研究会というすばらしい空間に行ってみることをお勧めしたい。
 
                                                レトロ狂時代
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