■ WLF E.P.I.C 武林籠中対8
日時:9月28日
会場:河南省スタジアム
WLFE.P.I.C武林籠中対8の試合当日を向かえた。日本選手は昨夜からの長旅疲れもあってか、ホテルでは休養もよく取れた様子で朝食に姿を見せ、(朝食を取るより、俺は少しでも寝ていたいと言い張る新井丈を除く)今日の異国での戦いに自身をちらつかせていた。会場への選手移送のバスに乗り込んだのは日本選手団他、各国選手たちだ。
ケージリングチェックを終えて、出番を各自を待つ。
試合会場に着いた選手たち、まずはケージリングに入り、各自の動きを最終確認した。写真はドクターチェックを終えて控え室で試合を待っている状態。いよいよだ。本誌特派員の入江記者(イリエマン)だが、現在、新井丈が勝った場合のマイクアピールを中国語で絶賛練習中。ケージ内で年末の沖縄新イベント【OKINAWA PRIDE】をアピールする腹づもりだ。
<第四試合>
●竿本樹生 判定負け0-3
武林籠中対8は、熱狂する多くの中国総合格闘技ファンの見守る中スタート。テレビ格闘技の演出のせいか、ライティング、入場演出など凝ったつくりになっている。日本選手団のトップバッターとして出陣は、ブレイブの竿本。試合開始早々の一分過ぎにテイクダウンに成功。ケージ際でプレッシャーをかけ続ける。そのまま、今度はパズガードに成功。縦四方固めに移行してからヤヒーラチョークががっちり決まる。これが入ったかと思われたが、なんとか相手中国選手に凌がれ、腕ひしぎ十字固めに移行したところで相手選手に立たれスタンドへ。四分過ぎに軽めのローが入っただけで大歓声が沸き、アウェーの洗礼を受けた。
2ラウンドも同じような展開から、竿本が立ち上がり際にバック肘うちで応戦する相手をスープレックスで投げ捨てて会場を沸かせた。3ラウンドでも粘り強く組み付く竿本に対し、時折ヒヤリとする打撃で相手も応戦してきたが、このラウンドもテイクダウンを決めた竿本が優勢で試合終了。しかし、判定は2-1で中国選手に軍配が上がり、海外試合の難しさを露呈する形となった。
<第五試合>
●新井丈 2R3分35秒 チョークスリーパー
竿本に続く第五試合は新井丈の登場。セコンドにはイリエマンがつく。対戦相手が中国人選手と言うことで、またもアウェー感が漂うが、新井もイリエマンも全く意に介さない。1ラウンド、三郎格西の強烈な左右のハイキックが新井を攻めたてるが、新井もテクニックヒットを許さない。打撃の合間にテイクダウンを狙った三郎格西を上手く裁き、得意のパンチで前に出る新井だったが体重差があるのか決めにかける。二ラウンド、相手のタックルを切り上を取った新井が、足への蹴りなどを繰り出し攻めたてるが決めてにかける。
ブレイク再開後は、三郎格西の打撃を数発受けテイクダウンされた新井が、今度は下からの腕ひしぎ十字固めを狙うが潰される。なんとか立ち上がろうとする新井にガブった状態からバックに移行した三郎格西のチョークががっちり極り万事休す。新井は粘りをみせたが静かにタップした。新井はプロ初黒星を喫したとともに、大晦日の沖縄ビックイベント出場件獲得もならなかった。試合後、大事を取って病院でCT検査した新井だったが、幸いにも異常なし。試合後のコメントでは巻き返しを誓っていた。
<第九試合>
○坂巻魁斗 判定3-0
この日、日本人唯一の勝利をもぎとったのがZST期待の坂巻魁斗。前回の参戦での僅差判定負けのリベンジをかけて試合に望んだ。一ラウンドは序盤テイクダウンを決めた坂巻だったが、攻防の展開からバックに回られ、そこから肩固めに入られる。これを凌いだ坂巻は足関節を狙いキャッチを取る。後半でも三角絞めで優勢な場面もつくったが、ほぼ内容的には互角でこのラウンドを終えた。
2ラウンドは疲れが見えてきた相手に対し、パンチやバックスピンキックなどで攻めテイクダウンにも成功。そしてバックをキープをして攻めたてた。三ラウンドに入っても勢いは変わらず、強引なスープレックスで下になり、ヒヤリとした場面もつくるが、無難にこれを回避。フルマークの判定で勝利した。試合後のヒーローインタビューに答えた坂巻は、流れを変えれて嬉しい。負けたら宮田(和幸)さんに報告できなかったと語り、前回大会リベンジと合わせての勝利を喜んだ。
<第十二試合>
○万建平
1R 右フックからのパウンドTKO
●阿部剛卓
ベテラン阿部剛卓は、第十二試合に登場。入場時から気合い十分で雄叫びを上げてケージIN。相手は髭とモヒカンカットのスタイルで、地元中国の名物選手万建平。開始早々から落ち着いた表情で対峙し、両手ぶらりからのバックブローやローキックなどで攻めたてる阿部。ブレイク中のセコンドの指示にしっかりと反応して返事を返した試合再開後、万建平の突進を受けケージに詰められることをかわす瞬間、万の右フックが阿部を捕らえダウン。追随した所をレフリーが止めた。
ストップ後、素早く立ち上がり相手を称えた阿部。試合後のコメント「減量失敗なのか、息切れがひどくわかったので長期戦にしようと考えたところに右効きのサウスポーのパンチが入った感じです」という言葉通り、一瞬の決着劇だった。
大会全体の印象としては、テレビ向きの演出を重視してかブレイクは早めに設定されている。それは現代MMAにとって絶対的な必要悪。それが中国国内で世界最高峰団体UFCを凌駕する人気を博している要因なのだろう。ただ、地元中国人選手に有利な判定は明らかに数試合あり、他国選手からしたら不満が上がっていたのもまた事実。しかしながらドクターや、スタッフの対応などは連携ができていると記者は印象を感じ、今後は日本選手達の武者修行の場としての位置づけとして、更なる団体の発展を願いながらレポートを終えたいと思う。
特派員・入江秀忠(超人イリエマン)
特派員報告の詳細は金曜30日発売『週刊ファイト10月6日号』に収録されます。
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