WINDY事務局主催「第3回WINDY Super Fight」大森ゴールドジム大会詳報

■ 第3回WINDY Super Fight
日時:1月31日(日)計量9:50 試合開始10:30
会場:東京・大森ゴールドジム

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 昨年8月に、新体制を迎えたWINDYが、今年最初の大会を迎える。前回は、新体制へと移行した直後ということもあり、仕切り直しの意味で、オールワンマッチ形式で行われた。ジュニアのワンデートーナメントが売りのWINDYがオールワンマッチ形式で行われたのは初めてであり、異例とも言えることであった。
 
 今回は、新体制となって初めて迎えるワンデートーナメント。これまでWINDYは、20kg級から55kg級(60kg級も存在するが、選手数が不足していたためあまり行われていなかった)で5kg刻みでの階級で行われていた。新体制になって初めて行われるワンデートーナメントは、ジュニアの現状を踏まえ、激戦区となっているであろう階級を独自に制定。新体制でのWINDYでは、キックボクシング部門(WINDY KICK)とムエタイ部門(WINDY MUAYTHAI)とに分け、競技層の底上げを図る。なお、トーナメントの組み合わせはくじ引き形式で行われ、決勝に関しては、キックボクシング部門では3R制、ムエタイ部門では5R制で行われる。全てを刷新したWINDYの真価が問われる今大会、果たして結末やいかに・・・。

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【キックボクシングの部】
WINDY KICK 33kg級トーナメント
<一回戦>
◯隈本浩志(Weed GYM)
vs
●田中真郁(LEGEND)
※隈本が準決勝進出

 序盤からミドルキックの応酬が続く中、1R中盤から、隈本のワンツーから右ロー、左右フックと、パンチのコンビネーションが目立つ。田中の懐に入り、右ボディストレートを打ち込み、左右フックを連打。田中も左右フックで応戦するが、隈本がパンチの手数で押し切り、判定で勝利。準決勝進出を決めた。

●浦田拓真(谷山ジム)
vs
◯和田拓飛(萬田道場)
※和田が準決勝進出

 パンチを打ちながら右ミドルを打っていく和田。和田のパンチに思わず下がってしまう浦田はワンツーで応戦。やがて、ミドルキックとパンチの打ち合いの展開が2R終了のゴングが鳴るまで続いていった。判定の結果、和田が勝利し、準決勝進出を決めた。これにより、和田は、先に勝ち上がった隈本と準決勝を争うこととなった。

●白川泰地(WSRフェアテックス蕨)
vs
◯中川一臣(萬田道場)
※中川が準決勝進出

 ゴングと同時に、勢いよく飛び出してワンツーから右ロー。出鼻をくじかれた白川は、下がりながらも左ローで応戦。その後中川は距離を取り右ローとワンツーを打っていく。2Rも中川は前に出て右ロー。中川の右ローにカウンターで右ストレートをヒットさせ、グラつかせるシーンがあったが、中川はパンチで手数を上げ、判定で中川が勝利。準決勝進出を決めた。

◯山本アリーヤ・カレ(橋見塾)
vs
●吉田 光成(Weed GYM)

 山本は、前回大会で豪快なフックで一撃KOというインパクトの強い勝ち方をして、周囲を驚かせた。ジュニアきってのハードパンチャー山本が、満を持してトーナメントにエントリー。
 左右フックを振り回しながら、左ミドル、右ローを打つ山本。吉田は組んで山本のパンチを封じにかかる。しかし、山本は組まれても強引に左右のボディフックを打ち、組みが解けたところに右ストレート。2Rから吉田はワンツーから右ローを打ち手数を上げていくが、山本は前に出て左右フックを振り回していく。判定の結果、山本が勝利し、準決勝進出を決めた。これにより、中川との準決勝を争うこととなった。
※山本が準決勝進出

<準決勝戦>
◯隈本浩志(Weed GYM)
vs
●和田拓飛(萬田道場)
※隈本が決勝戦進出を決めた。

 1Rは互いにロープ際で足を止めてのパンチと右ローの打ち合いに。2Rも同様に、パンチと右ローの打ち合いが続き、2Rの中盤から隈本はヒザ蹴りを入れ、有効打を稼いでいく。判定の結果、隈本が勝利し、決勝戦進出を決めた。

◯中川一臣(萬田道場)
vs
●山本アリーヤ・カレ(橋見塾)
※中川が決勝戦進出を決めた。

 左右フックを打ちながら前に出る山本。中川は組むと、山本は強引に左右フックを打っていく。中川もパンチ連打で山本に応戦。山本の左ハイをかわし、山本のモーションが崩れかかったところに右ストレートを打ち込む中川。2Rになると、山本はガードを固めながらワンツーを打っていく。中川は徐々に手数を上げて山本とパンチの打ち合いに応じていく。終盤に追い上げを見せた中川が判定で勝利。決勝戦進出を決めた。優勝候補本命とされていた山本が準決勝で姿を消す波乱が起きた。

<決勝戦>
●隈本浩志(Weed GYM)
vs
◯中川一臣(萬田道場)
判定0-3 29-29,29-30,29-30
※中川がトーナメント優勝と同時に同級王者に就く。

 1Rは互いに右ローを打ちながら様子見の状態だが、徐々に隈本が距離を詰めて右ボディストレート。中川はワンツーを打ちながら右ローで応戦。2R以降、隈本のワンツーと中川の右ロー、右ヒザという展開が続く。両者共に、手数と有効打とも五分に見えたが、判定の結果、中川が勝利。コールされた瞬間、その場で号泣しながらセコンドと喜びを分かち合い、腰にベルトを巻いた。

WINDY KICK 43kg級トーナメント
<一回戦>
◯原田優音(ゴールデングローブジム)
vs
●橋本歩(龍拳會)
※原田が準決勝進出を決めた。

 回転の早いパンチを打つ原田は、プレッシャーをかけながら前に出て左右フック。左ミドルと右ローを返す橋本。原田は時折右ローを混ぜるが、パンチ主体のスタイルで攻めていく。原田は踏み込んでワンツーを打ち、左右フックを打ち右ロー。2Rになっても原田はほとんど蹴らずにパンチ主体のスタイル。橋本のヒザがヒットする場面が見受けられたが、原田は右ストレートとフックを多用。手数で圧倒した原田が判定で勝利し、準決勝進出を決めた。

<準決勝戦>
●大村修輝(パワーオブドリーム)
vs
◯井手口優斗(パワーオブドリーム)
※井手口が決勝進出を決めた。

 リーチの差で上回る井手口は、リーチ差を活かして右ミドルと左ハイキック。大村はパンチ主体で井手口に応戦。2Rになると、井手口は距離を取りながら右ミドルと右前蹴りを打ち分ける。井手口が終始ペースを握り、判定で井手口が勝利。決勝進出を決めた。

●白幡裕星(龍拳會)
vs
◯原田優音(ゴールデングローブジム)
※原田が決勝戦進出を決めた。

 プレッシャーをかけながらジリジリと距離を詰めていく原田。すると、原田は一気に距離を詰めてワンツーを打ち込んでいく。白幡は組んで原田のパンチを止めようとするが、原田は左右フックとワンツー、右ローと素早いコンビネーションを決めていく。白幡もパンチで応戦していくが、原田のパンチに徐々に押され気味に。判定の結果、原田が勝利し、決勝戦進出を決めた。

<決勝戦>
◯原田優音(ゴールデングローブジム)
vs
●井手口優斗(パワーオブドリーム)
判定3-0 29-28,30-29,30-27
※原田がトーナメント優勝と同時に同級王者に就く。

 これまでパンチ主体で勝ち上がってきた原田は、右ローを混ぜながらパンチにつなげ、積極的に攻めていく。一方の井手口は前蹴りから右ローと右ミドルで応戦。2Rになると、井手口は前蹴りを打ちながら距離を取り、原田が左フックとワンツーで応戦。3Rになると、左右ローとワンツーを打ち分け、有効打を重ねていく原田。井手口は変わらず 前蹴りと右ロー。判定の結果、原田が勝利し、WINDYで初となる王座戴冠を果たした。

WINDY KICK 51kg級トーナメント
決勝戦
◯小山竜矢(パワーオブドリーム)
vs
●初田慎之介(LEGEND)
三者ともに30-29 
※小山がトーナメント優勝と同時に同級王者に就く。

 エントリー者が両者のみであったため、そのまま王座決定戦となった。小山が左ミドルを打つのに対し、初田は右ロー。小山の左ミドルをキャッチしコカす初田。互いに切り返しが早く、スピーティーな展開に。これが3R通じて続き、僅差で小山が勝利し、新王者に就いた。

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【ムエタイ部門】
WINDY MUAYTHAI 28kg級トーナメント
一回戦
◯杉山空(HEAT)
vs
●田中恒星(LEGEND)
※杉山が準決勝戦進出を決めた。

 1Rは首相撲の展開が続き、互いに攻撃的な展開は見られず。2Rになると、杉山が右ミドルを打つと、田中はこれをキャッチ。首相撲からヒザへとつなげていく。杉山はこれを回しながら崩し、今度は杉山が首相撲を仕掛けヒザを打ち込んでいく。判定の結果、杉山が勝利し、準決勝進出を決めた。

<準決勝>
●櫻木克樹(萬田道場)
vs
◯ 杉山空(HEAT)

 首相撲からヒザの展開が続く中、杉山のヒザが徐々にヒットしていく。2Rは杉山が左ミドルを2連打。櫻木はこれをブロックし、組んでヒザを打っていく。杉山は首相撲で櫻木を捕まえヒザを打ち込み、コツコツと有効打を稼いでいく。判定の結果、杉山が勝利し、決勝進出を決めた。

●大野星海(LEGEND)
vs
◯内田耀介(龍拳會)
※内田が決勝戦進出を決めた。

 しなやかな右ミドルを打つ内田は、その後の左右でミドルを打ち分け、ペースを掴んでいく。2Rになると、内田は前蹴りを打つと、大野がこれをキャッチし首相撲からヒザ。内田は前蹴りを混ぜながら右ミドル。首相撲からヒザへとつなげ、完全に内田ペースとなり、判定で内田が勝利し、決勝進出を決めた。先に決勝進出を決めた杉山と王座を争うこととなった。

<決勝戦>
●杉山空(HEAT)
vs
◯内田耀介(龍拳會)
※内田がトーナメント優勝と同時に同級王者に就く。

 上背・リーチ差で杉山を上回る内田は右ミドルを打ちながら前に出る。杉山はガードを固めながら距離を詰めて首相撲を仕掛けていく。しばらく首相撲の応酬が続いていくが、中盤以降になると、内田がプレッシャーをかけ、杉山が下がる光景が目立つも、互いにミドルの打ち合いが続いていく。判定の結果、内田が勝利し、新王者に就いた。

WINDY MUAYTHAI 38kg級トーナメント
<一回戦>
◯小宮山怜虎(尚武会)
vs
●渡辺渓心(橋見塾)
※小宮山が準決勝進出を決めた。

 右前蹴りから右ストレートを打ち、先手を仕掛ける小宮山。左ミドルと右ローで応戦する渡辺。距離を取りながら、前蹴りとワンツーを打つ小宮山に、首相撲を仕掛ける渡辺。ところが、小宮山が体を入れ替え、回しながら崩す。その後も小宮山は首相撲を仕掛けヒザを打ち、小宮山が判定で勝利。準決勝進出を決めた。

<準決勝>
●西川景悟(LEGEND)
vs
◯小宮山怜虎(尚武会)
※小宮山が決勝進出を決めた。

 1Rが首相撲からヒザの応酬が続いたが、2Rになると、小宮山はワンツーから右ロー。西川は左ミドルで応戦するが、小宮山はこれをキャッチし、すかさず右ヒザを打つ西川。徐々に小宮山が手数を上げ、判定の結果、小宮山が勝利し、決勝進出を決めた。

◯佐藤虎我(EXSINDECON GYM JAPAN)
vs
●桂英慈(WSRフェアテックス池袋)
※佐藤が決勝戦進出を決めた。

 ミドルキックと首相撲ヒザの応酬が続いた1R。2Rになると、佐藤は左右でミドルを打ちわけ、コツコツと有効打を集めていく。桂は首相撲とヒザ、右ローで応戦。徐々に佐藤のミドルキックの数が増え、佐藤ペースに。判定の結果、佐藤が勝利し、決勝戦進出を決めた。これにより、先に決勝へと駒を進めた小宮山と王座を争うこととなった。

<決勝戦>
●小宮山怜虎(尚武会)
vs
◯佐藤虎我(EXSINDECON GYM JAPAN)
判定0-3 46-50,48-50,48-50
※佐藤がトーナメント優勝と同時に同級王者に就く。

 佐藤は左ミドル、小宮山は右ストレートと左ミドル。首相撲とヒザの応酬が続き、互いにミドルの切り返しが早く、ハイレベルな攻防が繰り広げられた。中盤になると、佐藤が左右ミドルを打ち首相撲からヒザで手数を増やし、判定の結果、佐藤が勝利し、新王者に就いた。

WINDY MUAYTHAI 48kg級トーナメント
<準決勝>
◯古村光(EXSINDECON GYM JAPAN)
vs
●鈴木太尊(谷山ジム)
※古村が決勝戦進出を決めた。

 左ミドルと左ローを中心に攻める古村に対し、ワンツーと右ロー主体の鈴木。2Rになると、古村の左ミドルが増え、古村ペースとなり、判定で古村が勝利。シード権を獲得していた新井と決勝戦で王座を争うこととなった。

<決勝戦>
●新井皓太(OZ GYM)
vs
◎古村光(EXSINDECON GYM JAPAN)
TKO 1R1:51
※古村がトーナメント優勝と同時に同級王者に就く。

 距離を詰めながら左ミドルを打つ古村。新井が右ローで応戦するが、古村の強烈な左ミドルに徐々に押され、新井をロープ際に詰め、ガードが下がったところに、古村の左ミドルが新井のボディに深く入りダウン。苦悶の表情を見せ、立ち上がることができず、レフェリーが試合をストップ。古村が新王者に就いた。

 WINDYが旗揚げされて今年で7年目に突入する。2009年に「ジュニア格闘技」という新たなカテゴリーが誕生し”格闘技版”シンデレラストーリーを作り上げ、話題を誘ってきたWINDY。全くの無名かつノーマーク選手が優勝してチャンピオンベルトをかっさらっていったこともしばしば。予想が大きく外れ、嬉しい裏切りが連鎖し、予測不可能な展開となるのがWINDYの最大の特徴であり、最大の魅力でもある。だが近年は、ジュニア格闘技の大会が飽和状態にあり、お世辞にも注目を浴びているとは言い難い。まさに正念場を迎えているという表現が当てはまるのかもしれない。WINDYの今後の動向が気になるところでもある。

 当面は、アマチュア大会を主に開催していく方針を打ち立てるようだが、2016年はどのようなシンデレラストーリーが展開されるのか。今後のWINDYに注目したい。

WINDY KICKトーナメント優勝者
33kg級王者 中川一臣(萬田道場)
43kg級王者 原田優音(ゴールデングローブジム)
51kg級王者 小山竜矢(パワーオブドリーム)

WINDY MUAYTHAIトーナメント優勝者
28kg級王者 内田耀介(龍拳會)
38kg級王者 佐藤虎我(EXSINDECON GYM JAPAN)
48kg級王者 古村光(EXSINDECON GYM JAPAN)