[ファイトクラブ]東京女子マレーシア遠征中止、両国KFC交錯した3大王座戦と若手の成長

[週刊ファイト11月19日]期間 [ファイトクラブ]公開中

▼東京女子マレーシア遠征中止、両国KFC交錯した3大王座戦と若手の成長
 photo & text by buffy0628 編集部編
・海外遠征御破算経て通常より安め価格のKFC超満員、11・8後楽園へ
・トラウマのチョコシュー覚悟-ハイパーミサヲ、上福ゆきに引退撤回要求
・引きこもり生活チョコシュー主食ミサヲの変化と続く引退ロード上福ゆき
・中島翔子tjpw荒井優希を直接フォール3大タイトル戦へ挑戦者組弾み
・インターナショナル・プリンセス王座巡る鈴芽と汐珠、勢いをめぐる攻防
・愛野ユキ&風城ハル-らく&原宿ぽむ愛情と勝負プリンセスタッグ王座戦
・鷹の爪大賞’26での東女?前哨戦の答え合わせとなるか11・8後楽園
・さとうもも、神嵜志音を破る ねくじぇねトーナメント小夏れんとの決勝戦
・上原わかな咲森チエリ客席からリングへ 憧れの先に実現した初タッグ
・第3試合HIMAWARI&鈴木志乃、遠藤有栖&七瀬千花を好連係で撃破
・職人・辰巳リカ、キラ・サマーを翻弄 キャリアの差を見せつけて勝利
・渡辺未詩&芦田美歩と山下実優スカルキック決着6人戦-瑞希組を撃破


海外遠征御破算経て通常より安め価格のKFC超満員、11・8後楽園へ

 東京女子プロレスは11月1日、東京・両国KFCホールで「答えなんかは無いけれど幸を願おう」を開催した。観衆は357人で超満員。当初10月31日と11月1日にはマレーシアで『LOVE & PEACE』が開催され、東京女子の選手たちも遠征する予定だった。
 しかし9月25日に現地のイベント開催に関わる事情による大会中止が発表され、遠征も取りやめとなった。マレーシア参戦を予定していた選手たちは、11月1日の両国KFCホール大会に出場することになる。海外興行が予定どおり実施されなかったことは、東京女子にとって当初の計画を変更する出来事だった。

 残りの選手のみで興行を行う予定だった為、通常より安めの価格設定だったが、これが熱い大会に化けたのだから「興行は水もの」に違いない。11月8日の後楽園ホール大会を1週間後に控え、プリンセス・オブ・プリンセス、インターナショナル・プリンセス、プリンセスタッグの3大王座戦に向けた重要な前哨戦となった。

 結果だけを見れば、挑戦者組が王者組を破った8人タッグマッチが大会のハイライトだ。しかし、この日の東京女子では、王座戦線だけでなく、若手選手の成長と12月26日に引退する上福ゆきの物語も進んでいた。

トラウマのチョコシュー覚悟-ハイパーミサヲ、上福ゆきに引退撤回要求 
<第6試合 15分1本勝負>
○ハイパーミサヲ
 8分57秒 アイアムアヒーロー体固め
●上福ゆき

 12月26日の後楽園ホール大会で引退する上福ゆきが、11月1日の両国KFCホール大会でハイパーミサヲとシングルマッチを行った。試合は8分57秒、ミサヲがアイアムアヒーローで勝利。しかし、引退撤回を求めるミサヲの思いは、すぐには上福に届かなかった。

 試合前、ミサヲは「全国上福ゆき引退を阻止する連盟」のプラカードを掲げて登場。「上福ゆきは引退を撤回せよ!」と観客を巻き込んでシュプレヒコールを展開した。これに対し上福はマイクを握り「本当、ミサヲさん、笑わせないで。あのさあ、ミサヲさんさ、言いたいことあるんだけど、あんたの方が引退した方がいいんじゃないの? 正直、あんたもう疲れてるじゃない」と反撃。さらに「今日ちょっとある物用意したから持ってきて」と要求し、リングに運ばせたのはチョコシューだった。

 チョコシューはミサヲが引きこもり時代に主食としていたという、過去の自分を思い起こさせる食べ物だ。上福は2袋のチョコシューをミサヲに渡し、「私のことをさ、辞めないでって言葉じゃなくて態度で見せてよ。これ全部食べて、その後に辞めないでって言ってくれたら辞めないでもいいよ」と、引退撤回を懸けた条件を突きつけた。

 ミサヲにとっては見たくもないトラウマの食べ物。しかし引退を惜しむ仲間たちの思いを背負ったミサヲは、「みんなの思いを背負ってるからね。上福ゆきの引退を阻止するためなら、私、これ全部食べます」と覚悟を決め、袋を開けてチョコシューを食べ始めた。
 上福の決意を変えるため、言葉だけでなく行動で示そうとするミサヲ。ところが、上福はリング上でチョコシューを食べるミサヲを襲撃し、試合は互いの口にチョコシューを押し込むなど、東京女子らしい奇想天外な攻防へと発展した。

 上福は得意のビッグブーツや湘南台卍で攻め込み、ブレーンバスターからチョップを連発。ミサヲも反撃し最後は引退撤回を訴えるプラカードを手にしたままアイアムアヒーローを決め、勝利をつかんだ。
 だが試合に勝ったからといって、上福の引退が撤回されるわけではなかった。試合後、上福はミサヲにサミングを見舞い、プラカードを奪い取って退場。引退撤回の要求に応じることはなかった。

引きこもり生活チョコシュー主食ミサヲの変化と続く引退ロード上福ゆき

 上福はミサヲについて、「あの人、頭がいいのにやることなすことおかしい。でもそこがあの人のいいところだし、みんな好きなのかなって」と語った。さらにかつて引きこもり生活を送り、チョコシューを主食としていたミサヲが、現在は派手なコスチュームでリングを盛り上げる存在になったことに触れ、「ジメジメ・チョコシュー女からあんなに華やかな女になるっていうところが、やっぱ東京女子のいいところなのかなって再確認できました」と、独特の表現で仲間への思いを明かした。

 一方ミサヲは「私が勝ったっていうことは上福ゆきが引退を撤回したと思いきや、突き返されちゃったので、今のところ撤回しないみたいです」と苦笑。それでも、自身が引退を撤回した経験を引き合いに出し、「私は当日引退を撤回した女ですので、今から撤回しても遅くないんだぞっていうのを、愛とともに最後まで伝えたい」と、最後まで諦めない姿勢を示した。

 12月26日の引退まで、残された時間は約2カ月。ミサヲは引退撤回を訴え続け、上福は自ら決めた道を進もうとしている。今回の試合ではミサヲが勝利しても上福の決意を変えることはできなかった。しかしチョコシューを通じて描かれたのは、単なるコミカルな攻防だけではない。かつての自分を思い起こさせる食べ物に向き合ってまで、仲間の引退を止めようとしたミサヲの覚悟。そしてその突飛な行動を理解できないと言いながらも、ミサヲの変化と魅力を認める上福の言葉だった。

 引退を止めたい仲間と引退を決意した選手。
 両者の思いが交わるなか、上福ゆきの引退ロードは続いていく。

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中島翔子tjpw荒井優希を直接フォール3大タイトル戦へ挑戦者組弾み
<第7試合 20分1本勝負>
○中島翔子 らく 原宿ぽむ 高見汐珠
 18分56秒 ダイビング・セントーン⇒片エビ固め
●荒井優希 愛野ユキ 風城ハル 鈴芽

 メインイベントの8人タッグマッチでは、中島翔子、らく、原宿ぽむ、高見汐珠の挑戦者組が、荒井優希、愛野ユキ、風城ハル、鈴芽の王者組を破った。11月8日のプリンセス・オブ・プリンセス王座戦で荒井に挑戦する中島が、18分56秒、ダイビング・セントーンで王者から直接フォールを奪った。

 荒井は中島の背中や脚を攻め、終盤にはビッグブーツやフルネルソンバスター、サソリ固めで反撃した。しかし挑戦者組の連係によって分断され、最後は中島の攻撃を浴びて敗れた。

 試合後中島は荒井を「スーパープリンセス」と認めたうえで、自分は「ビッグカイジュー・プリンセス」になると宣言した。この言葉は単に王者を挑発するだけのものではない。中島は荒井が3月から王者として歩んできた姿を見続けてきた。その成長を認めながら、次の後楽園では自分が上回ると宣言している。

 一方、荒井も敗北を受け止めた。
「荒井も前に進んでたけど、それ以上に中島さんが前に大きく進んでたってことが伝わってきて、もっともっと気を引き締めなきゃいけない」
 荒井は自分自身の成長を否定していない。それでも中島がそれ以上の進化を遂げていたと認めた。

 過去のシングル対戦では中島に勝てていない荒井にとって、11月8日は王者としての成長を結果につなげる一戦となる。中島にとっても、前哨戦で直接フォールを奪った事実を、シングルのタイトルマッチでの勝利につなげなければ意味がない。

 両者が互いの成長を認識しているからこそ、決戦は単なる王座の移動をめぐる争いにとどまらない。荒井が王者として積み重ねたものと、中島が挑戦者として見せる進化。そのどちらが上回るのかが問われる。

インターナショナル・プリンセス王座巡る鈴芽と汐珠、勢いをめぐる攻防

 インターナショナル・プリンセス王座戦に向けても、挑戦者組が存在感を示した。
 王者・鈴芽は、汐珠の勢いを認めながらも「そんな汐珠を超えてこのベルトを防衛します」と宣言。対する汐珠は「勢いドンドンイケイケドンドン・スターになります!」と、持ち味である勢いを前面に押し出した。
 
 汐珠は10月24日の春日部大会でも鈴芽から直接フォールを奪っている。11月1日の前哨戦でも挑戦者組が勝利し、タイトルマッチを前に弾みをつけた。
 ただし鈴芽も相手の勢いを軽視しているわけではない。挑戦者の成長を認めたうえで、それを超えることを目標に掲げている。
 王者が積み重ねてきた経験と、挑戦者が勝利によって手にした自信。11月8日のタイトルマッチでは、汐珠の勢いが王座奪取につながるのか、それとも鈴芽が王者として壁となるのかが焦点となる。

愛野ユキ&風城ハル-らく&原宿ぽむ愛情と勝負プリンセスタッグ王座戦

 プリンセスタッグ王者の愛野ユキ&風城ハルと、挑戦者のらく&原宿ぽむの関係も、前哨戦を通じて深まっている。
ぽむは愛野への強い愛情を示しながら、風城についてはまだ純粋すぎると指摘。らくとともに独特の言動で王者組を揺さぶった。
 風城は前哨戦の敗北を受け止め、「もっともっと強くなって、ユキさんとの愛を深めて、タイトルマッチに臨みたい」とコメント。愛野も「愛してれば愛してるほど燃えるんで」と応じた。

 この対戦の面白さは、挑戦者側が王者への愛情を隠していないことだ。相手を慕っているからといって、勝負で遠慮するわけではない。むしろその気持ちが試合への意欲を強めている。

 11月8日のタイトルマッチでは王者組が築いてきた連係と、らく&ぽむの予測しがたい攻めがぶつかる。風城にとっても愛野とのタッグとして試される一戦になる。

鷹の爪大賞’26での東女?前哨戦の答え合わせとなるか11・8後楽園

 マレーシア遠征の中止を経て行われた両国KFCホール大会は、11月8日の後楽園ホール大会へ向かう重要な一日となった。

 メインでは挑戦者組が王者組を破り、中島翔子が荒井優希から直接フォールを奪った。鈴芽と汐珠、愛野ユキ&風城ハルと、らく&原宿ぽむの王座戦線でも、それぞれの主張がぶつかり合った。

 同時にねくじぇねではさとうももが神嵜志音を破って決勝進出を決めた。上福ゆきの引退ロードでは、ハイパーミサヲが引退撤回を求め続ける姿勢を改めて示した。大会を貫いていたのは、それぞれの選手が自分の立場と向き合い、次の一歩を踏み出そうとする姿だった。

 王者は挑戦者の成長を認め、それでも防衛を誓う。若手は勝利によって自信を得る一方、敗れた選手は悔しさを抱えて再起を目指す。そして引退を決めた選手と、それを止めたい仲間の物語も続いていく。
 11月8日の後楽園ホール大会は、3大王座の行方だけでなく、この日の前哨戦で生まれた感情や課題に、それぞれの選手がどう答えを出すのかを見届ける舞台となる。

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