[週刊ファイト8月6日期間] [ファイトクラブ]公開中
▼トランプのW杯での横暴連発と、接見を拒否したメジャー・リーガー
by 安威川敏樹
・自分の権力誇示のために、合衆国憲法とFIFA決定事項を変更!?
・今大会での諸悪の根源、それはトランプ大統領ではなくこの人物
・トランプ大統領にとっての正念場、今年11月の中間選挙
・元レスラーの面目躍如、トランプ大統領は政界でもプロレスしてた!
FIFAワールドカップは世界中に大熱狂をもたらし、スペインの優勝で幕を閉じた。プロレス・格闘技専門の本誌とはいえ、夜遅くあるいは早朝でもW杯に見入っていた読者も多いだろう。
しかし、数々の問題が露呈した大会でもあった。その元凶となったのが、あの男だ。
そう、アメリカ合衆国大統領のドナルド・トランプである。トランプ大統領は、政治家でありながらいちいちW杯に口出しして、世界最大のスポーツ・イベントに汚点を残した。それでいて、今大会が史上最高に盛り上がったのは自分のおかげだと自画自賛していたのである。
W杯とは関係ないが、トランプ大統領との接見を拒否したメジャー・リーガーがいたことも、特に付け加えておきたい。

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自分の権力誇示のために、合衆国憲法とFIFA決定事項を変更!?
今回のW杯はカナダ&アメリカ合衆国&メキシコ合衆国と、史上初めて3ヵ国で行われた。W杯は2002年の日韓共催大会は例外として、1ヵ国で開催されるが基本だったので極めて異例である。
さらに、今大会の出場国は前回の32ヵ国から1.5倍の48ヵ国に増え、当然のことながら試合数も激増したため、観客動員数も史上最高を記録した。それをトランプ大統領は、あたかも自分の手柄のように自慢したのである。
さらには、今度はカナダとメキシコを除いたアメリカ単独で開催したい、それがダメならアメリカ開催を先に決めて、後からもう1ヵ国を加えればいい、と自国優先の案を吹聴する始末。
そこまではまだ百歩譲って許せるが、その自国開催を自分の大統領任期中に実現したいとブチ上げた。おいおい、何歳まで大統領の座にしがみつく気だ!?
次回のW杯は2030年にスペイン&ポルトガル&モロッコの3ヵ国、次々回は2034年にサウジアラビアでの開催が決定している。
トランプ大統領の任期は2029年まで。しかも、合衆国憲法では大統領の3期目は禁じているのだ。つまり、この時点でトランプ大統領任期中にW杯が行われることはない。
だが、トランプ大統領は憲法を捻じ曲げてでも3期当選に意欲的だ。まるでダダっ子みたいな大統領だが、この男ならやりかねない。
仮に、横暴を通して3期目以降も大統領になったとして、アメリカでW杯開催が可能なのは最短で2038年。この時点でトランプ大統領は92歳になっており、とても一国の最高責任者という激務に耐えられるとは思えない。それとも、大統領とはよほど楽な商売なのだろうか。
もう一つ、考えられるのが次回大会の開催地をFIFAに変更させて、アメリカ開催にするということだ。そんなことになればスペイン&ポルトガル&モロッコが黙っていないだろうが(特にディフェンディング・チャンピオンとなるスペイン)、だったらトランプ大統領はジブラルタル海峡に海兵隊を送るぞ、などと言うかも知れない。
まあ、それは半ば冗談だが、有り得るのが2028年にミニW杯をアメリカで開催するという方法だ。実際にFIFAでは、W杯を現行の4年に1度から2年に1度とする案があり、そのテスト・ケースとして2年後にミニW杯を実施する、というわけである。
もっとも、その頃には今年のW杯の熱狂もすっかり忘れている、と考えられなくもない。トランプ大統領はアメリカの試合以外にサッカーには興味がなく、決勝のスペインvs.アルゼンチンの観戦中は退屈そうに、隣りのジョヴァンニ・インファンティーノFIFA会長と喋っていた。要するに、トランプ大統領にとってのW杯とは、自分の権力を誇示するための道具に過ぎないのである。

今大会での諸悪の根源、それはトランプ大統領ではなくこの人物
W杯開催中のトランプ大統領も横暴ぶりが目に余った。そもそも開幕前から、アメリカとイスラエルはW杯出場国であるイランを攻撃している。もちろん、W杯開催中もそれは続いていた。
一応、イラン代表は出場できたものの、アメリカでの3試合でイラン代表は試合前日でしか入国が認められず(最終試合のみ2日前)、試合後は当日中での出国を余儀なくされた。しかも、サポート・スタッフの入国は認められない。当然のことながら、コンディションの整わないイラン代表はグループ・リーグ敗退となり、政治的理由が大会に影響を与えてしまったのである。
今大会、最も物議を醸したのはレッド・カード取り消し事件だろう。決勝トーナメント一回戦のアメリカvs.ボスニア・ヘルツェゴビナで、アメリカ代表のフォラリン・バログンがレッド・カード処分により退場となった。レッド・カードはFIFAの規定により、次の試合は出場できない。
ところが、トランプ大統領はこの決定に異を唱え、バログンを二回戦にも出場できるように強要する。すると、FIFAはなんとバログンの処分に1年間の猶予を与え、次戦にも出場したのだ。