UFC新王者-控える挑戦者 ハイステークス対戦待ち受ける2026フライ級戦線展望

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 本質的に、格闘技で2人の大柄なアスリートが激突する光景はいつでも人々を引きつけるものだ。しかし、小柄なアスリートたちの戦いもまた、同じくらい激しい。

 男子の中で最も軽量な階級こそ、まさにその好例といえる。2020年代の大半において、フライ級はエンターテインメント性に関しては、”知る人ぞ知る”とされる階級だった。125パウンドで成功するためには、いかなる分野であってもスキル不足があってはならない。対戦相手がすり抜け上手だったり、素早いコンビネーションを繰り出してきたりする中では、1発のパンチ力や巧みなグラップリングだけでは不十分だ。

 だからこそ、アレシャンドレ・パントージャの王者としての支配はより際立ったものだった。しかし、”ザ・カニバル”ことパントージャがようやく正統な評価を確立し始めた矢先、戦いの残酷な面が鎌をもたげ、2年半にわたる王座への君臨はケガによって終わりを迎えた。一方で、新王者となったジョシュア・ヴァンもまた、格闘スポーツの別の真実を象徴している――運命は自ら切り開くものという意味で。24歳のヴァンは2025年にそれをやってのけた。ジョン・ジョーンズに次いで2番目に若いUFC王者となったヴァンは、これから追われる側として、熟練者も、そうでない相手も含め、あまたの挑戦に直面する立場を知ることになる。

タイトル戦線全体図
王者:ジョシュア・ヴァン
コンテンダー:アレシャンドレ・パントージャ、マネル・ケイプ、平良達郎
注目選手:ブランドン・ロイバル、ブランドン・モレノ、アミル・アルバジ、アスー・アルマバエフ、堀口恭司

 2026年の展望:29カ月間で6度目のタイトル防衛戦に臨んだパントージャだったが、試合開始から30秒足らずで左肘が脱臼してしまい、ヴァンにベルトを譲り渡すことになった。悲劇としか言いようがなく、こんな形でパントージャの君臨が終わるべきではなかったはずだ。しかし、報告によれば、2026年の早い段階でパントージャの戦線復帰は可能だと伝えられており、当然ながら即座に王座奪還のチャンスを与えられるだろう。その相手がヴァンになるかどうかは分からない。これまでも短期間で試合に臨み続けているヴァンが2026年第1四半期にタイトル戦を引き受ける可能性は十分にある。タイトルに挑む前、ヴァンは2025年6月の2勝を含め、9カ月の間に5勝を挙げてパントージャへの挑戦権をつかみ取った。つまり、世界で指折りのフライ級であることはすでに証明済みということだ。

 パントージャが復帰できるようになる前にタイトル戦があるとすれば、その機会を待っている精鋭が2人いる。マネル・ケイプと平良達郎だ。以前から王者候補と目されていたケイプはこの1年で本領を発揮し始め、過去12カ月間でブルーノ・シウバ、アスー・アルマバエフ、ブランドン・ロイバルにノックアウト勝ちを収めている。”スターボーイ”ことケイプは階級内でもトップクラスの才能の持ち主であり、32歳にして全盛期を迎えているように見える。

 一方、いまだ実力のほんの一部を見せているに過ぎず、計り知れないポテンシャルを秘めていると感じさせるのが平良達郎だ。25歳の平良は2022年5月にUFC入りして以来、着実に階段を上ってきた。2024年のメインイベントでブランドン・ロイバルに敗北を喫したが、2025年はさらにシャープに進化を遂げ、パク・ヒャンソンとブランドン・モレノに連続で第2ラウンドテクニカルノックアウト勝ちを収めた。元王者モレノへの勝利によって、平良の正統なタイトルコンテンダーとしての地位は確固たるものになったと言えよう。物語としても、2000年代生まれのファイター同士によるタイトルマッチという構図は非常に魅力的だ。

 トップ3コンテンダー以降の状況は混戦模様を呈している。2人のブランドン(モレノとロイバル)は、過去数年間でトップレベルの相手と拳を交えてきたものの、最近の敗北により、頂点への道筋はやや不透明な状態にある。アルマバエフはケイプ戦の敗北から再起を果たして2025年に2勝を記録しており、2026年序盤にはコンテンダー候補の誰かと対戦権を得るだろう。この他、アミル・アルバジは2023年6月以来の勝利を視野に、UFCファイトナイト・ラスベガス113で堀口恭司と対戦予定。堀口はUFCファイトナイト・カタールでタギル・ウランベコフに1本勝ちし、鮮烈なオクタゴン復帰を果たしたばかりだ。この試合の勝者として腕を掲げられた方は、2026年後半のタイトル戦線に食い込んでくることになるかもしれない。

 一般的な認識としては、今でもパントージャこそがフライ級のトップだと広く考えられており、これまでの実績がそれを裏付けている。しかし、ケガによる王者交代は、面白い流れを引き起こした。もしパントージャが2026年前半に復帰可能となれば、リマッチが組まれることになるだろう。そうなれば、時が来るのを甘んじて待つつもりでない限り、平良とケイプがナンバー1コンテンダーの座を巡って対決するシナリオも見えてくる。だが、ヴァンが2025年に示した通り、自身の実力を証明する最善の方法は戦って勝つことだ。パントージャの経歴もそう示している。階級内の他のファイターたちがこれをどう受け止めるか次第で、2026年のフライ級戦線は極めて興味深い展開になるのではないだろうか。

その他の注目選手:アラン・ナシメント、ロニー・カヴァナ

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