大阪 DEEP☆KICK 74!気迫のこもった試合の連続

 6月22日(日)泉大津市・テクスピア大阪において『DEEP☆KICK 74』が開催された。今大会では早々に立ち見も含めチケット完売しており会場はオープニングファイトから超満員、熱気ある雰囲気に包まれるとセミファイナルでは保井広輝が、メインイベントでは桃花・シンデレラがそれぞれ圧巻の実力を披露しチャンピオンベルトを戴冠。他の試合でも気迫のこもった試合の連続、2025年下半期に向けて更に熱を帯びるDEEP☆KICK、次回大会は7月27日(日)豊中市・176BOXにて第1部『DEEP☆KICK ZERO 22』、第2部『DEEP☆KICK ZERO 23』の開催が決定している。

(文・三野龍生/写真・石本文子)


メインイベント 百花 vs… 桃花・シンデレラ

 2月より始まった8人によるDEEP☆KICK QUEEN -46kg初代王座決定トーナメント、各ブロックを制し勝ち上がってきたのは2人の”ももか”。赤コーナーに立つ百花(魁塾)はプロ戦績51戦26勝22敗3分1KOを誇る女子キック界屈指のベテランファイターで過去にタイトル戴冠歴も持ち合わせる確かな実力者。対するは桃花・シンデレラ(山口道場)、今回がプロ4戦目ながらもここまで3戦3勝1KO、高い打撃スキルから今大会の優勝候補と噂されるほどの17歳。DEEP☆KICK初の女子ベルトの新設ともあって注目されてきた今トーナメントもいよいよ大一番、果たして初代王座の椅子に座るのはどちらの”ももか”か。
 1R、サウスポーのシンデレラは前蹴りやミドルを放ちながらワンツー・右フックにボディで前に押し出る。対する百花はローに前蹴りと合わせながらもやや下がらされる展開が続く。最中、シンデレラの左ハイキックが百花を捉えると会場からは大きなどよめきが起こる。歩を強めるシンデレラ、百花もすぐに立て直しローにボディツー・ストレートと返すが流れはシンデレラのまま、ワンツーを軸に攻め込んでいき1Rはシンデレラが優勢。
 続く2R、ゴング早々にワンツーで前に打ち出る百花、そこから互いにコーナー際で打ち合いの展開となるもその後は1R同様にシンデレラが前蹴り・右フック・ストレートを軸に圧をかけていく展開となる、百花もローにワンツー・ストレートと手数を増やし攻勢を狙うがシンデレラを捉えきれてはいない印象、2R終了時点でのオープンスコアは2名が20-19、1名が20-18で3者共にシンデレラを支持する。
 最終ラウンド、ここで起死回生を狙う百花は逆転を狙い果敢に攻め込む。するとシンデレラも負けてない、百花の圧に下がることなく打ち合いに応じていく。気持ちと気持ちをぶつけ合うような近い距離でのパンチの応酬が続いていく、ここで百花は印象を勝ち取りたかったがシンデレラの牙城は崩せぬまま試合終了、判定は2Rまでの攻勢が活き3-0でシンデレラが判定勝利を収めDEEP☆KICK QUEEN -46kg初代王者戴冠となった。
 判定で自分の勝利が決まると同時に涙を流し感情を露わにしたシンデレラは試合後、「もちろん勝つために練習してきたし、獲れるって自信がありましたけど、小さい頃からRISEとかいろんな舞台で百花選手を見てきて、その憧れの選手を超えるのかっていう不安が正直ありました。なので勝った瞬間は夢のようで、何より不安が晴れてホッとした気持ちが強かったです」と語った。試合については「百花選手はやっぱり気持ちが強い選手で、パンチでがつがつ攻めてくると思ってたのでしっかり対策してきたことが出せました。オープンジャッジで支持された時も次のラウンドはもっと前に来るだろうって思って最後まで気は抜けなかったです、何より百花選手が踏み込んできても焦らない練習をしてきてたので、3Rも徐々に組み立てなおせたかなと思います」と試合を振り返った。
 そして次なる目標についてシンデレラは「無敗っていうのも1戦1戦絶対必ず勝つって気持ちで臨んでるので、それが結果に出てるだけです。なのでこれから先もRISEや他団体のチャンピオンなどもっと強い人たちってのを潰していって、もっともっと有名な選手になりたいです」と語り、最後に「私の衣装を見て能登の事を思い出してそこから寄付に繋がるなど、能登のおじいちゃんおばあちゃんや知り合いの人たちに協力できたらいいなと思います。そして今回、日頃応援して下さってる皆さまのおかでげベルトが獲れたと思います、ありがとうございます!」と能登半島地震復興支援への想い、そしてファンの方々への感謝を語った。
 昨年12月のプロデビューから無敗のままにDEEP☆KICK QUEEN -46kg初代王者となったシンデレラ。果たして彼女の無敗神話はどこまで続くのか、桃花・シンデレラの次なるステージにも期待大だ。

セミファイナル 保井広輝 vs.. 駿希

 DEEP☆KICK-55kg第9代王者を競い2月より開催されているトーナメントの決勝戦。今回が2度目のトーナメント参戦であり次こそはとベルト奪取を狙う保井広輝(LoTgym)と、ここまでプロ戦績5戦5勝3KOと無敗のまま王座戦に辿り着いた倒し屋・駿希(BKジム)が激突した。今試合について関係者たちは自分の距離を保ちながら冷静に対応できれば保井、近い距離での打ち合いに持ち込めば駿希が勝つだろうという予想を多く立てていたが果たして。
 試合は1R、駿希はカーフにご自慢の破壊力抜群のフック・ボディで踏み込むと、対する保井はリング中央に陣取り鋭いジャブを放ちながら距離を保つ。保井はそこからローに左ハイと繰り出していき駿希に思うように打たせない。ラウンド後半には保井が膝にワンツーを度々ヒットさせていくなど印象を見せ第1ラウンド終了。
 続く2R、再びジャブにロー・膝と放ちながら自身のリズムを崩さない保井。駿希は単発では何度かヒットを奪うも保井のブロック・ジャブに中々連打を繋げれない。そのまま保井はジャブを軸に、ワンツーに右ハイキックなどアグレッシブな攻めを見せていく、2R終了時点でのオープンスコアは3者共に20-19で保井を支持する。
 最終ラウンド、ここで逆転を狙いたい駿希は左右のフックにカーフで攻勢を狙う。その中でもやはり保井のジャブは好印象、タイミングよくヒットを重ねていくとそのまま膝・フックと対処していく。駿希はここで倒すといわんばかりにどんどんと踏み込むが印象を勝ち取るまではいかないか。そして残り時間1分のコールが鳴り響き、そのまま保井が距離を保ち続けるかと思った中、駿希のパンチに対し保井は近距離での打ち合いに呼応する。果敢に打ち合う両者の姿に会場からは割れんばかりの声援が飛び交い、そしてそのまま打ち合いは続き試合終了、判定は2-0でジャッジ2名が保井を支持し判定勝利、保井がDEEP☆KICK-55kg第9代王者に輝いた。
 勝利が決まった瞬間に雄叫びを上げ、セコンドに就いていたLoTgym代表の森川勇哉代表と抱き合って喜びを噛み締めた保井は試合後、「今まで大事なところで負けるっていうのが自分の中であって、1回目のトーナメントの時も無敗で倒し屋の中嶋愛樹斗(OISHI GYM)君に負けてしまって、そして今回の相手の無敗で倒し屋でってことで、結構プレッシャーがありました。なので無敗の選手に勝ってベルト獲れたってなった時は、ホンマに勝ったんやって気持ちになりました。何より(DEEP☆KICKのベルトは)子供の時から見てて憧れのベルトだったので、めちゃくちゃ嬉しいです。」と語った。試合については「駿希選手はカーフが強い・どの攻撃でも倒せるってイメージでしたけど印象通りでした。なのでカーフはカットして、パンチはガードして出来る限り打ち合いはしないって作戦通りに動きました。ただ3R目は、やっぱりタイトルマッチだし、倒して勝ちたいってのもあったので守って勝つぐらいならと思って打ち合いに出ました。正直ムキになったってのもありますけど(笑)」と語った。
 そして次なる目標については「やっぱりRISEやRIZIN・K-1など大きな舞台で活躍していって、そこのベルトを目指したいです。」と語ると最後に「(森川代表、宿谷会長は)アマチュアでも全然語れへん勝った僕を、ここまで育ててくれて本当に感謝しかないです、本当にありがとうございます。最後に、Instagramのフォローお願いします!」と語った。
 2度目の挑戦で自分の殻を破り見事王者戴冠を果たした保井、更に進化を続ける保井の今後にも是非注目してほしい。

第9試合 近藤大成 vs.. 榎木友星

 ”近藤3兄弟”長男でありキックボクシングジム3K代表である近藤大成(キックボクシングジム3K)が11年ぶりのリングで引退試合に挑む。近藤は2011年にDEEP☆KICKでプロデビューを飾るとその後はKrushを主戦場に活躍するも2014年の試合を最後にトレーナー業に専念していた。そして昨年、教え子がKrush王者に輝いたことをきっかけにもう1度リングで戦うことを決意し、プロデビューをした場所であるDEEP☆KICKの地で引退試合に挑むという経緯となる。対するは榎木友星(ビンチェレあべの)、今回がプロ4戦目ながらも現在連勝中と波に乗っているニューカマー、この試合を次のステップのための試合と出来るか。
 1R、近藤はジャブにローを放ちながらじっくりと出方を伺う。榎木は構えをスイッチしながら前蹴りにハイキック・ストレートと繰り出していく。互いにローで蹴り合う場面も多く、途中からは近藤も構えをスイッチをするなど互いにけん制し合う展開。ラウンド後半には榎木のパンチ連打が目立ち第1ラウンドは終了。
 2R、近藤はローに加えフックに膝で圧をかける。対する榎木もパンチの踏み込みからのハイキックなど手数を増やしていく。近藤は膝に前蹴りでボディを狙い、榎木はワンツーにハイで上を狙う、2R終了時点でのオープンスコアは1名が19-19でイーブン、2名が20-19で榎木を支持する。
 最終ラウンド、このラウンドが人生最後のラウンドになるだけに近藤はどんどんと圧をかけていきパンチ連打から膝に繋いでいく。その勢いには確かな気合が見える、ただ榎木も負けていない。パンチに前蹴り・膝とこちらもしっかりとヒットを重ねていく。残り時間が1分を過ぎた頃には互いに近距離で打ち合うシーンも増えていくが近藤は最後まで榎木を倒しきることが出来ず試合終了、判定は1名が榎木を支持するも2名はイーブン、結果この試合はドローに。11年ぶり、そして最後のリングで近藤は勝利を手にすることは出来なかったが、どこか「やり切った」という表情が見せた。
 その後、近藤大成引退セレモニーが開催。DEEP☆KICK実行委員長・林裕人を始め役員・ファンからの記念品が手渡されると、セコンドに就いていた次男・近藤拳成(キックボクシングジム3K)、三男・近藤魁成(キックボクシングジム3K)よりそれぞれお兄ちゃんへ一言が送られた。その後、近藤がマイクを握ると「僕が選手の時は本当に鳴かず飛ばずでした、地方の公民館で指導者もいないまま兄弟3人で練習して、サンドバックや筋力トレーニングの機械もなくミット1つで練習してきました。それでも腐らず、諦めずやっていれば、このような最高の瞬間があるってことを3Kのメンバーに、そしてDEEP☆KICKの出場者に伝えたいです。若くて勢いのある皆さん、ここからも頑張って、DEEP☆KICKを盛り上げて本当に頑張っていけば、このように人生頑張ってよかったと思える瞬間は絶対に訪れるので、最後までやり切ったと思えるくらいまで頑張って、そしてチャンピオンを目指してください」とDEEP☆KICKに出場する選手たちに熱く語りかけた。
 そして引退の10カウントゴングを聞いた近藤は四方に、そしてファン達に深々と礼をしてリングを去っていった。プロ戦績は17戦7勝5敗5分3KO、ラストマッチはドローとなるも気迫のこもった打ち合いを魅せ、ジム生徒たち、そして兄弟達にカッコいい兄貴の背姿を見せた近藤。彼がこれからも輩出していくであろうキックボクシングジム3Kのプロ選手たちがDEEP☆KICKの地に送り込まれ、そしてDEEP☆KICKチャンピオンに輝くその日を楽しみに待ちたい。

第8試合 嘉武士 vs.. 安部宏聖

 DEEP☆KICK-57.5kg第6代王者を競うDEEP☆KICK-57.5kg王座決定トーナメントの準決勝、同級2位で堅実なテクニックと前に前にと圧をかけるファイトスタイルが魅力的な嘉武士(NJKF健心塾)と同級4位で「仮面ライダーシリーズ」に登場する「ショッカー」の覆面を被りながら入場、色物キャラを押し出すも試合では威力あるパンチで前に踏み込むEX ARES期待のルーキー・安部宏聖(EX ARES)が決勝進出をかけて激突。互いに前王座決定トーナメントに出場を果たすも共に準決勝敗退、次こそはと意気込む同士となるが果たして。
 1R、嘉武士はジャブを突きながらどんどんとローを放っていく。対する安部はガードを固めながらワンツーにフックにボディと放つ。嘉武士はローを都度放っていくと、パンチ主体の構えからか安部はローをカットせず左足がみるみる赤くなっていく。しかし独特なリズムで圧をかける安部のパンチも嘉武士は数度被弾するなど互いにヒットを稼いでいき1R終了。
 続く2R、安部は圧を強め左右のフックにストレートで前に出る。嘉武士は1Rに続きジャブ・ローと放ちながらストレートにフック・膝でこちらも前に押し出る。ラウンド後半、安部はローを嫌がったか構えをサウスポーに変えるもその後構えを戻しパンチ連打で嘉武士を押しこむ場面を作る。しかしポイントを奪いきるには至らず、2R終了時点でのオープンスコアは1名が20-20でイーブン、2名が20-19で嘉武士を支持する。
 3R、序盤から互いにパンチで打ち合う場面が続く。中で嘉武士は膝に繋ぎ、安部はアッパーやボディを絡めながら連打を軸に放っていく。互いにヒットを許していくも差はないまま残り時間1分のコールが響く。するとそこからだった、安部のパンチが徐々に嘉武士を一方的に捉えていくと嘉武士は明らかにダメージを見せていく。勝機と見た安部は止まることなくパンチを繋いでいく、嘉武士も倒れず打ち返すがヒットの差は明らかだ。実に40秒以上安部はパンチ連打で嘉武士を追いやっていく、何とか耐えていた嘉武士だったが残り時間10秒のコールが響いた直後に糸が切れたように倒れこみ、安部がここで逆転のダウンを奪取。ダメージは明らか、仰向けのまま動かない嘉武士を見たセコンドが即座にタオルを投入し3R2分54秒、圧巻の連打を見せた安部が涙の逆転TKO勝利で決勝進出を奪い取った。
 ここで前の試合で一足先に決勝進出を決めた荒川ルシファー大夢(NJKF心将塾)がリングインするとマイクで「(準決勝は)しょっぱい試合してしまったんですけど、9月は僕がショッカーを倒して心将塾・悪魔界にベルトを持って帰るので、大声援よろしくお願いします」と放つと、安部は「イーーー!!」とショッカーの鳴き声のモノマネから始め「こんな見た目やけど結構強いでしょ?次も思い切りKOして勝ちたいと思います、お願いします、おもんなくてすいません!」と独特なキャラを前面に押し出した。
 この試合の結果、来る9月「DEEP☆KICK 75」にて開催のDEEP☆KICK-57.5kg第6代王者決定戦の対戦カードは堕天使vs..ショッカーという異色なカード実現となった。しかし互いに実力はホンモノ、果たしてベルトを腰に勝ち名乗りを上げているのはどちらだ。堕天使とショッカーによる悪の決戦を楽しみにしてほしい。

第7試合 細濱辰 vs.. 荒川ルシファー大夢

 第8試合に続きDEEP☆KICK-57.5kg王座決定トーナメントのもう1ブロック、同級3位であり引き分けもあるがここまでプロ戦績4戦2勝2分1KOと負けなしを誇る細濱辰(TEAM MMK)と同級8位であり現在連勝中と勢いに乗るキック界の堕天使・荒川ルシファー大夢(NJKF心将塾)が対戦。
 試合は1R、サウスポーに構える荒川は前手で距離を測りながらローにミドル・ハイと蹴りを中心に走らせ、入ってきたところに右フック・ストレートと返していく。対する細濱はじっくりとタイミングを計りながら一気に踏み込んで細かいパンチ連打に繋いでいく。互いにパンチ・蹴りと繰り出すも荒川は蹴りを軸に、細濱はパンチを軸に攻勢を狙う。
 続く2R、圧を強めストレートにフックとパンチを放っていく細濱に荒川はミドルに三日月蹴り・膝でボディを狙っていくと細濱はややボディを嫌がった表情を見せる。その後互いにホールディングが増えていくと細濱にホールディング×3で減点1が与えられてしまう。再開後も細濱はストレートを軸に、荒川はボディ攻めを狙っていく、2R終了時点でのオープンスコアは減点も含み20-19、19-18、20-18で3者共に荒川を支持する。
 最終ラウンド、近い距離での攻防の中で荒川は膝を、細濱はストレートと互いに2R同様の技で好機を狙う。細濱としては減点を取られている分ここで挽回を狙いたい所だったが距離が近すぎることも影響してこれといった1発が出ない。対する荒川はストレートに膝・ミドルと攻防の中で確実に自身の強みを出していき試合終了、判定は3者共に荒川を支持、荒川が判定勝利を収め一足先に王座決定トーナメント決勝に駒を進めた。
 トーナメント決勝は9月7日に開催予定の「DEEP☆KICK 75」で行われる。

第6試合 KING剛 vs.. 滑飛レオン

 DEEP☆KICK-53kg第5代王者であり強いプレスとハートを武器に決して後退しないKING剛(ROYAL KINGS)とX-FIGHT初代フライ級王者でありNKBを主戦場に高いKO率を誇る滑飛レオン(テツジム)の1戦は互いのプライドと意地をぶつけ合う壮絶な殴り合いに。
 試合は1R、互いに中間距離でけん制し合うと滑飛はローにミドル・ストレートを、剛はサウスポーから左フックを鋭く放り込む。ラウンド中盤までは互いにけん制し合う状況が続くも、後半には剛が距離を詰めていくと打ち合う場面も増えるが1Rは様子見か。続く2R、剛が同様に圧をかけていきローにストレートと放っていくと、滑飛もフックツーにハイキックと速いコンビネーションで返す。中でも剛のプレスは驚異、滑飛はパンチを当てても前に踏み込んでくる剛に距離を潰されていく。その後も剛はパンチを上下に打ち分けながらプレスを続ける、滑飛は周りながらも多彩且つ鋭い蹴り・パンチと返していく。2R終了時点でのオープンスコアは1-1とスプリットドローとなる。
 3R、このラウンドを獲った方が勝者とだけあって互いに開始早々から気合十分、コーナー際でどんどんと打ち合う。そこから剛は更にプレスを強めながらパンチの連打を止めずに打ち出る、滑飛も打ち返すが至近距離に詰めてくる剛にやりづらそうな表情を浮かべる。そしてラウンド後半には止まらずにパンチで打ち合う、互いに3Rという事もありスタミナももう残り僅かだろうがそれでも手は止めずに殴り合い続け試合終了。判定は2名が剛を支持、結果2-0で剛が判定勝利を収めた。
 負けはしたものの滑飛も確かな強さと根性を見せつけ、今大会屈指の打ち合いを披露した両選手には大きな拍手が送られた。

第5試合 津留純平 vs.. 平尾一真

 DEEP☆KICK-60kgランキング戦、同級2位の津留純平(FASCINATE FIGHT TEAM)と同級6位の平尾一真(Blaze)が先のトーナメント出場に向けて激突。津留はアグレッシブなファイトが魅力、対する平尾は蹴りを軸に試合を支配するファイターとどちらが自分の持ち味を生かしきるかといった試合展開が想像される中、試合は早期決着のもとに幕をおろす。
 1R開始早々からジャブにツーフックを放ちながら圧をかけていく津留、平尾は左ミドルに前蹴り・ストレートと返していくがコーナーを背負う展開が続く。そして早くも勝負が決まる、再び平尾をコーナーに追い詰めた津留はそのまま右フックをヒットさせると平尾はストンとその場に倒れこみ津留がダウンを奪取。ダメージは甚大、立ち上がろうとするも力の入らない平尾を見たレフェリーが試合をストップ、1R1分26秒、過去KOはおろかダウンすら獲られたことのない平尾を相手に津留が一撃KO勝利を飾った。
 試合後、津留はマイクを握ると「最近、自分らしい試合が全然出来んくて、練習もモチベーションが上がらない時とかあったんですけど、勝ててよかったです、絶対DEEP☆KICKの-60kgのベルト獲るのでこれからもよろしくお願いします」と涙に詰まりながら語った。この勝利で次のトーナメントへのアピールは十分に出来ただろう。果たして、自身が語る通り次こそはベルト奪取を叶えられるか、次報に期待だ。

第4試合 瀧 vs.. 兵庫志門

 NKBを主戦場に戦う兵庫志門(テツジム)とDEEP☆KICKランカーである瀧(魁塾)の交流戦が開催。1Rからリーチに勝る瀧はジャブを小まめに放ちながらストレートに左ミドルで距離を保つ、対する兵庫はじりじりと距離を詰めながらローにストレートと狙っていく。そして2R勝負は動く、距離を詰めてくる兵庫に対し瀧は左右に小まめに動きながら要所でジャブにフック、ストレートにカーフとヒットを重ねていく。兵庫は表情を一切変えずに距離を詰めていきボディに右フック、ストレートと返すもヒットには差が出た印象、2R終了時点でのオープンスコアは1名がイーブン、2名が20-19で瀧を支持する。
 3R、更に圧を強めてくる兵庫、距離は詰まるも瀧はここでも飛び膝蹴りにカウンターのストレートなどヒットを稼ぎ前半は瀧が印象を残す。しかし兵庫も止まらない、一切怯まずに圧を強めていくとラウンド後半にはパンチ連打で瀧を追い詰めていきこちらも印象を勝ち取る。だが互いにポイントを獲り切るには至らず結果、2Rまでの採点が活き2-0で瀧が判定勝利を収めた。

第3試合 西尾仁徳 vs.. 丹孔志狼

 1R、鋭いワンツーに蹴りと放つ丹孔志狼(NJKF心将塾)に西尾仁徳(拳心會館)はじりじりと距離を詰めていき左フックにストレートとヒットさせていき印象を勝ち取る。2R、今度は丹がカウンターのストレートをヒット、ダメージが見える西尾にここで勝負を決めるといわんばかりに丹は猛ラッシュを仕掛けていく。続けざまに左フックをあて再びラッシュを仕掛ける丹だがどこか前のめりが過ぎて大振りだ、そのせいもあってか打ち疲れが見える。するとラウンド後半には今度は西尾が左フックにストレートと当てていき印象を掴んでいく。2R終了時点でのオープンスコアは1名が19-19でイーブン、2名が20-19、20-18で西尾を支持する。
 最終ラウンド、西尾はボディにツー・膝と打ち分けていく。丹もワンツーに左ミドルと返すが最中で西尾の左膝が突き刺さると悶絶の表情で倒れこみ西尾がファーストダウンを奪う。立ち上がった丹だが、西尾はボディ・膝と詰めていき最後は左ボディで丹を再び沈めるとレフェリーが即座に試合をストップ、3R2分17秒、怒涛のボディ攻めで西尾がTKO勝利を勝ち取った。

第2試合 由知 vs.. 林功太郎

 互いに前戦で勝利を収め2連勝目を狙う同士。1R、由知(TeamFreeStyle)はサウスポーから長いリーチを活かしながらローに右フック・膝で距離を詰めていく。対する林功太郎(山口道場)は入り際にローにカーフキックと合わせながらフック・ツーに膝と返していく。続く2R、由知は再び圧をかけながら左ミドルに膝でボディを中心に狙っていく。林はやや後手に周る場面もあったが細かいパンチ連打にカーフ・飛び膝蹴りとこちらも流れを渡さない。2R終了時点でのオープンスコアは1-1と3者3様のドローとなる。
 3R、このラウンドで勝敗が決まるだけに気合を入れなおす両者。中で林はカーフにパンチ連打、由知は膝を中心にボディ狙いと軸は2R同様、このラウンドを獲るために自身の狙いに全力をかけあっていき試合終了。甲乙つけがたい内容の接戦だったが、僅かに林のパンチのヒット数が上回ったか、判定は2-0で2名が林を支持、林が判定勝利を収めプロ2連勝を勝ち取った。

第1試合 小野田琉己 vs.. 井端刻也

 プロデビュー戦同士の対決。試合は1R、早々からローを走らせる小野田琉己(NJKFteamBonds)、対する井端刻也(NJKF健心塾)もローをきっちり打ち返し、互いにジャブ・ストレートを混ぜながら攻勢を狙っていく。1つ1つの動きはプロデビュー戦とは思えない落ち着きと技術を要する両者だが、どこか動きに固さが見える。続く2R、勝負が動く。互いにパンチの交差が増えていく中で膝蹴りに合わせた小野田のストレートが井端にクリーンヒットしそのままダウン、小野田がファーストダウンを奪取する。しかしここで井端は吹っ切れたか動きに固さがなくなると、ジャブにストレートをヒットさせるなど攻勢が増えていく。2R終了時点でのオープンスコアは2名が20-18、1名が20-17で3者共に小野田を支持。
 最終ラウンド、互いのデビュー戦勝利を懸けた戦いは更にヒートアップしていく、井端がワンツーとヒットさせれば小野田はカウンターのストレートを当てるなど互いの気持ちと気持ちがぶつかり合うような打ち合いの展開が続いていき試合終了、判定は2Rのダウンが活き3者共に小野田を支持、小野田が嬉しいプロデビュー戦勝利を飾った。

〈オープニングイベント〉
NEXT☆LEVEL提供試合

 OPイベント、アマチュアファイトでは2試合が開催されるとOPイベントから会場は熱気に包まれる。OP第1試合では小福田丈虎(team scramble)が1Rにカウンターの左フックでダウンを奪うと、2Rにはパンチラッシュでダウン奪取とアマチュアファイトながらダウンを2度奪い判定勝利。OP第2試合では山中楽斗(及川道場)が膝を中心に安定した立ち回りを見せ判定勝利とアマチュアファイターらしからぬ実力を見せつけ、DEEP☆KICK 74大会に確かな勢いをつけた。

■「DEEP☆KICK 74」
日時:2025年6月22日(日)
会場:泉大津市・テクスピア大阪

<メインイベント DEEP☆KICK QUEEN -46kg初代王座決定トーナメント決勝 2分3R・延長1R>
[挑戦者] ○桃花・シンデレラ(山口道場)
 判定 3-0(30-29、30-28、30-29)
[挑戦者] ●百花(魁塾)
※桃花・シンデレラが-46kg初代王者に

<セミファイナル DEEP☆KICK -55kg王座決定トーナメント決勝 3分3R・延長1R>
[挑戦者] ○保井広輝(LoTgym)
 判定 2-0(30-29、29-29、30-28)
[挑戦者] ●駿希(BKジム)
※保井広輝が-55kg第9代王者に

<第9試合 DEEP☆KICK -70kg契約 3分3R>
△近藤大成(キックボクシングジム3K)
 判定 0-1(29-29、29-30、29-29)
△榎木友星(ビンチェレあべの)

<第8試合 DEEP☆KICK -57.5kg王座決定トーナメント準決勝 3分3R・延長1R>
○安部宏聖(EX ARES)
 3R 2分54秒 セコンドタオル投入 ⇒ TKO
●嘉武士(NJKF健心塾)
※安部宏聖がトーナメント決勝に進出

<第7試合 DEEP☆KICK -57.5kg王座決定トーナメント準決勝 3分3R・延長1R>
○荒川ルシファー大夢(NJKF心将塾)
 判定 3-0(30-28、29-28、30-28)
●細濱辰(TEAM MMK)
※細濱辰に「ホールディング」×3で減点1
※荒川ルシファー大夢がトーナメント決勝に進出

<第6試合 DEEP☆KICK -53kg契約 3分3R>
○KING剛(ROYAL KINGS)
 判定 2-0(30-29、29-29、30-29)
●滑飛レオン(テツジム)

<第5試合 DEEP☆KICK -60kg契約 3分3R>
○津留純平(FASCINATE FIGHT TEAM)
 1R 1分26秒 レフェリーストップ ⇒ TKO
●平尾一真(Blaze)

<第4試合 DEEP☆KICK -53kg契約 3分3R>
○瀧(魁塾)
 判定 2-0(30-29、29-29、30-29)
●兵庫志門(テツジム)

<第3試合 DEEP☆KICK -56kg契約 3分3R>
○西尾仁徳(拳心會館)
 3R 2分17秒 レフェリーストップ ⇒ TKO
●丹孔志狼(NJKF心将塾)
※丹孔志狼に3Rダウン×1有り

<第2試合 DEEP☆KICK -51kg契約 3分3R>
○林功太郎(山口道場)
 判定 2-0(30-29、29-29、30-29)
●由知(TeamFreeStyle)

<第1試合 DEEP☆KICK -53kg契約 3分3R>
○小野田琉己(NJKFteamBonds)
 判定 3-0(30-28、30-27、30-28)
●井端刻也(NJKF健心塾)
※井端刻也に2Rダウン×1有り