[ファイトクラブ]別ブランド興行でも勢いホンモノ! ノア『MONDAY MAGIC』新期初回

[週刊ファイト6月5日]期間 [ファイトクラブ]公開中

▼別ブランド興行でも勢いホンモノ! ノア『MONDAY MAGIC』新期初回
 photo & text by 鈴木太郎
・本興行延長線上⇒独自路線回帰の期待感
・不出場もマンマジ変えたのはOZAWA
・ハードコア王座&女子王座軽視批判が誤解に基づくワケ
・知られてほしい”マンマジ限定運用”の前提条件
・”女子王座が停滞した”のはタイミングの問題
・長期欠場も天麗は王座返上しなくて正解
・清宮海斗-鈴木みのる約10年越し因縁マッチアップ実現!
・因縁を陰で支えたマーベラスコネクション
・マンマジ女子部門早速盛り上げた火付け役・岩谷麻優
・顔見せマッチで実力如何なく発揮した岩谷
・SNS交流アリ『丸藤正道-佐藤光留』月曜魔術で遂に投下!
・集客動く絶妙ライン突くカードを惜しげなく当日発表


■ プロレスリング・ノア『MONDAY MAGIC PRIME TIME season Ep1』
日時:2025年05月26日(月) 19:00開始
会場:東京・新宿FACE
観衆:412人

2023年秋にスタートしたプロレスリング・ノアの別ブランド興行『MONDAY MAGIC』が通算4シーズン目を迎えた。2024年秋に開催されたAutumn season以来、約半年振りとなる開催だったが、この半年でノアを取り巻く環境は大きく変わった。『TEAM 2000X』結成とOZAWAの台頭により、ノアの勢力図は一気に変貌を遂げ、毎月の後楽園ホール大会も満員をマークすることが当たり前となり始めた。ただ、新シーズン初回は『TEAM 2000X』から選手の参戦は無し。とはいえ、Autumn seasonではユニット発足直後にダガが参戦するに留まっていたことから(残り3大会+WRESTLE MAGICが控えているとはいえ)、『TEAM 2000X』をノア本興行で固定したい狙いと意図は理解できる。

この半年間で訪れたノアの変化は、『MONDAY MAGIC』にも影響を与えた。これまでの『MONDAY MAGIC』はノアの別ブランドという体裁でありながら、2024年に行われた2シーズンは清宮海斗といった主力選手を組み込みながらも、現行のノア本興行で展開されるストーリーラインには出てこない選手を呼ぶ口実になっていた。イメージとしては、ノア本興行の延長線上に『MONDAY MAGIC』がある感覚だろうか?

一方、新シーズン初回では、本興行のストーリーラインと別枠で『MONDAY MAGIC』独自のストーリーラインを形成し、そこにゲスト選手を絡めていく姿勢が見て取れた。外部から選手を大量に参戦させることで、発足当初のブランドイメージを上げに来た2023年の初開催時に近い雰囲気も窺える。

ただ、2023年当時と異なるのは、今のノアが置かれている状況だろう。当時は外敵やベテランに依存してノアも、今は所属選手+レギュラー参戦組を中心にストーリーラインを回し、長らく依存関係にあった外部参戦組の知名度やインパクトから脱却しつつある。2024年時点で既にそのような兆候は本興行でも見られていたものの、2025年からは『TEAM 2000X』という軸を中心にストーリーラインを回すことが出来ている。本興行に確固たる軸が生まれたことで、『MONDAY MAGIC』新シーズンは【本興行の延長線上】という立ち位置に囚われることなく、プロデューサーのNOSAWA論外が自由に辣腕を振るう環境が出来たと筆者は感じた。

新シーズンの初回大会は全7試合。現GHC Jrタッグ王者のドラコン・ベインとアルファ・ウルフによるシングルマッチから始まると、その後は『MONDAY MAGIC』で運用しているGHCハードコア王座とGHC女子王座の次回防衛戦も決定。セミファイナルとメインイベントでは、事前告知で集客が見込めそうなカードを惜しげもなく当日発表で切ってきた。

OZAWAを擁する『TEAM 2000X』や拳王が登場しなくても充実感に満ち溢れた新シーズン初回は、『WRESTLE UNIVERSE』生配信の『MONDAY MAGIC』シリーズ史上最多となる視聴数を記録したのだという。『MONDAY MAGIC』新シーズンの成功を予感させる内容と、別ブランド興行でも勢いの止まらぬ今のノアを象徴するスタートダッシュを切った。

ハードコア王座&女子王座軽視批判が誤解に基づくワケ

「GHCハードコア王座の防衛戦は何時になったらやるのか?」

「GHC女子王座を創設したのに防衛戦が行われない。ノアは女子王座を軽視している。」

今のプロレスリング・ノアでは、不定期的にそのような指摘を見かける。GHCハードコア王座は、かつて運用されていたGHC無差別級王座(通称:白GHC王座)を2023年10月に改称する形で新設。GHC女子王座も、2022年12月に『東京愚連隊FINAL』で実現した事実上ノアマット初となる女子プロレスマッチから、約2年後の2024年11月に創設された。どちらのベルトも『MONDAY MAGIC』内で創設が発表され、同ブランドの目玉として設けられたのだが、王座の持つ性質や背景は意外と周囲に知られていない。

GHCハードコア王座の場合、創設当初より「『MONDAY MAGIC』内でしか防衛戦を行わない」旨が示されていたベルトであり、そもそもノア本興行で防衛戦は行われない。例外的に、第2代王者のニンジャ・マックが海外で防衛戦を行ったことが試合後に判明し、正式な防衛回数に記録されている抜け道はあるものの、基本的に『MONDAY MAGIC』でしか動かないベルトだ。

GHC女子王座に関しては、ハードコア王座の事例と若干意味合いは変わってくる。同王座は『MONDAY MAGIC』限定ではないものの、ノアの本興行では、ビッグマッチか2023年より2年連続で行われている『One Night Dream』でしか女子選手の試合は組まれていない。

GHC女子王座を創設した当初、「その後、どのように防衛戦を回していくのか?」という点が筆者にとって気掛かりとなっていたのだが、11選手参加で行われたランブル形式の初代王者決定戦を天麗皇希(マリーゴールド)が制したことで、所属団体でも防衛戦を展開する芽が出た。
実際、2025・1・3マリーゴールド大田区総合体育館大会で『天麗皇希vs.後藤智香』の初防衛戦が組まれたものの、試合中に天麗が場外ダイブを敢行した際、着地で膝を痛めるアクシデントが起きてしまう。結果として王座防衛には成功したものの、天麗のフィニッシャーであるアメジストバタフライを半ば駆け足気味に出させる形で試合が終わることになった。不完全燃焼とはいえ、これは致し方ない現場判断だったと筆者は感じている。
その後、天麗は左膝前十字靭帯断裂と診断されたのだが、メスを入れて靱帯を再建するのではなく、野球選手の大谷翔平や田中将大も受けたというPRP(多血小板血漿)治療での早期復帰を目指し、目標としていた今年5月のマリーゴールド国立代々木競技場第2体育館大会で無事復帰した。

前述した「女子王座を軽視している」という批判や指摘も、諸々の事情を勘案すれば見方が大きく変わっていく。

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