[週刊ファイト7月25日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼M1王者コンビ誕生!? G馬場とA猪木のBIボーイ漫才~稲妻編
by 安威川敏樹
・元力士で期待の若手……、ではなかった?
・男女を問わず、誰もが憧れた稲妻戦士!?
・異種格闘技戦で勝っても話題にならないプロレスラー
・金の卵を潰さなかったが、金の卵は見付け出さなかった
・小池百合子に勝って、まさかのイナズマ東京都知事誕生!?
「どーもー、BIボーイです。あー、ありがとうございます。今、ルー・テーズの胸毛を頂きました。こんなん何本あってもエエですからねえ」
「ところで馬場さん、俺の元妻の倍賞美津子が、好きなプロレスラーがいると言うんだけど、その名前を忘れたらしいんですよ」
「美津子ちゃんが好きなレスラーって、寛ちゃんじゃなかったのか? しかも、その名前を忘れたって、どういうことだよ。じゃあ、そのプロレスラーが誰なのか一緒に考えてあげるから、どんな特徴を言っていたか教えてよ」
元力士で期待の若手……、ではなかった?
「美津子が言うには、そのレスラーは元力士で、四股名は木村山と言っていたらしいんですよ」
「ほお……、それは木村健悟だろう。だいたい四股名が、本名に『山』を付けただけなんて、いい加減もいいところだ。小学生の相撲で『佐藤山』とか『鈴木海』と名乗るようなもんだ。親方も、いちいち四股名を考えるのが面倒くさかったに違いない。それはもう木村健悟に決まりだよ」
「それが判らないんですよ。俺も木村健悟だと思ったんだけど、美津子が言うには、そのレスラーは相撲時代に横綱まで登り詰めたらしいんですよ」
「……そしたら木村健悟とは違うか。何しろ木村健悟は最高位が序二段という『元力士』と名乗るのが恥ずかしいぐらいの地位だったんだから。てゆうか、そもそも木村山なんて横綱がいたか? いずれにしても木村健悟ではないな。他に何か言ってなかったか?」
「美津子が言うには、坂口征二の後ろに引っ付いて日本プロレスからノコノコ新日本プロレスにやって来たらしいんですよ」
「じゃあ木村健悟だよ! そもそもお前が新日の社長だろう。それなのに、どうして判らん? 日プロが崩壊したら坂口は全日本プロレスに来ると思ってたのに、その前に引き抜きやがって! まあ木村健悟はウチに来なくても良かったけどな。とにかく、木村健悟で決まりだ」
「それが判らないんですよ。そのレスラーは若手時代から相当、期待されていたらしいんですよ」
「では木村健悟じゃない! 木村健悟は全く期待されないままメキシコ遠征に出て、NWA世界ライトヘビー級チャンピオンになったものの、凱旋帰国の際には報道陣は誰一人いなかったんだから。成田空港から営業マンの運転する宣伝カーに同乗して帰京するチャンピオンが、期待されていたわけもないだろう。他に何か言ってなかったか?」
▼ザ・セメントNo.2レスラーが書くから意味がある~藤波辰爾と木村健吾
男女を問わず、誰もが憧れた稲妻戦士!?
「そのレスラーは、何の脈絡もなく『イナズマ!』と言うらしいんですよ」
「じゃあ木村健悟だ! 木村健悟はインタビュアーから『木村さん、今の気持ちは?』と訊かれたら「イナズマ!」、『木村さん、サイパンから一言』『イナズマ!』と、そもそもQとAが噛み合ってなかったんだから。しかも、その『イナズマ!』を流行らせようと思ったようだが、全く流行らなかったのだ。木村健悟で決まりじゃないか!」
「それが判らないんですよ。誰もがそのレスラーの必殺技をマネしたがるらしいんですよ」
「じゃあ木村健悟ではない! 稲妻レッグラリアートなんて、誰がマネをした? トライアングル・スコーピオンなんて、誰がマネをした? 木村健悟の技なんて誰もパクろうとしないんだから、セコムはおろかカギ不要の、財産のない家のようなものだ! 他に何か言ってなかったか?」
「そのレスラーは歌がメチャメチャ上手いらしいんですよ」
「それは木村健悟だよ! 木村健悟の取り柄は歌だけなんだから。木村健悟といい、ラッシャー木村といい、何故か木村姓のレスラーは歌が上手いんだ。木村健悟で決まりだ!」
「しかも、そのレスラーの歌が大ヒットしたらしいんですよ」
「では木村健悟じゃない! 木村健悟は歌が上手くて、レコードを何枚もリリースしたのに、全く売れなかった。逆に、歌がドヘタな藤波辰爾のレコードは売れて、木村健悟は世の不条理を嘆いていたものだ。他に何か言っていなかったか?」
▼木村健吾『らしくもないぜ』
▼藤波辰巳『マッチョドラゴン』
「プロレスごっこのとき、小学生の誰もがそのレスラー役をやりたがるらしいんですよ」
「やっぱり木村健悟ではない! プロレスごっこで、誰もやりたがらないのが木村健悟役だ。なぜなら木村健悟役をやると、必ずフォール負けされるからな。ジャンケンで負けた奴が木村健悟役をやらされるのが暗黙のルールだったんだから。他に何か言ってなかったか?」
「そのレスラー役をやると、誰でもプロレスごっこに混ぜてもらえるらしいんですよ」
「じゃあ木村健悟だ! どんなに仲間外れにされている子でも、自ら木村健悟役を買って出ると、仲間に入れてもらえたんだ。木村健悟は常に弱者の味方なのだ。木村健悟で決まりだ!」
「それが判らないんですよ。そのレスラーにはチアガールの親衛隊が付いていたらしいんですよ」