大阪を拠点に活動するDEEP☆KICKは、昨年10月1日の徳島大会以来2度目となる地方大会を実現させた。4月28日(日)、京都府亀岡市のガレリアかめおかで開催された『DEEP☆KICK KAMEOKA』がそれだ。本来ならば会場は格闘技に貸さないという規約があったが、亀岡在住のFUJIMON♡のラストマッチなど地元にゆかりのある選手があまた出場するということで桂川孝裕市長の尽力で開催にこぎ着けたという。KO決着が続出した同大会の試合リポートをお届けする。なお次回大会は6月2日、テクスピア大阪で開催の『DEEP☆KICK 70』。続いて7月21日には『DEEP☆KICK ZERO 14&15』(豊中市・176BOX)、さらに8月4日には地方進出第3弾となる『DEEP☆KICK HOKURIKU』(金沢市・石川産業展示館)の開催も決まった。
またオープニングファイト終了後にはDEEP☆KICK実行委員会代表として林裕人(魁塾代表)がリングイン。亀岡市福祉協議会の井上幸子局長に大会の収益金の一部を寄付した。
(文・布施鋼治/写真・石本文子)
メインイベント 石田迅 vs. 和田哲平
メインイベントでは、昨年6月田邉雅弥(Blaze)をKOで破り第4代DEEP☆KICK-65㎏王者となった石田迅(LEGEND GYM)が初防衛戦に臨んだ。会場はジムのある滋賀県に隣接する京都府だけに、準地元での開催といってもいい。対する挑戦者は昨年12月からスタートした挑戦者決定トーナメントで絢太(teamMISAKI)と中澤友(ビンチェレあべの)を下して勝ち上がってきた和田哲平(FASCINATE FIGHT TEAM)。初戴冠に燃える和田にはジム代表の原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM)と5月19日に小林愛三(NEXT LEVEL渋谷)とのオープンフィンガーグローブマッチを控える小林愛理奈(FASCINATE FIGHT TEAM)がついた。
お互いKO決着が多いだけにマッチメークが組まれた時点で激闘が予想されたが、案の定我々の想像を遥かに凌ぐ1R秒殺KOで決着はついた。和田は得意の左で先制のダウンを奪うと、立ち上がってきた石田に三日月蹴りを決め、再び左でキャンバスに深々と沈めたのだ。あまりにも鮮烈なKOに観客席からは「ヤバいよ」という声も飛んでいた。
生まれて初めてチャンピオンベルトを腰に巻いた和田は「やっとチャンピオンになれました」とマイクを通して話し始めた。「去年2月にRISEで負けてから、『(地元)関西で力をつけよう』と思いました。これからもっと強くなって、RISEでもチャンピオンになります。ウチのジムからはすでに(原口&愛理奈という)2人のチャンピオンが出ている。続いて僕もRISEのチャンピオンになりたい」とアピールした。
その後は地元兵庫県を中心に亀岡まで駆けつけた応援団があまりにも多いため、リング上で3グループに分かれて記念撮影をしながら戴冠の余韻に浸っていた。今後、和田は初防衛戦とともに東京再進出を狙う。
セミファイナル FUJIMON♡ vs. 拳剛
セミファイナルでは地元亀岡で生まれ育ち、いまもこの地をこよなく愛するFUJIMON♡(京都亀岡キックボクシングジム)がラストマッチに挑んだ。青コーナーからの登場は第5代DEEP☆KICK-55㎏王者の拳剛(誠剛館)。かつてRISEのタイトルに挑戦したこともあるだけにFUJIMON♡の苦戦が予想されたが、亀岡のお祭り男は気丈にふるまった。
「5年間、ありがとうございました。俺のアマチュアデビュー戦も(今回会場となった)ガレリア亀岡で、プロ引退試合もガレリア亀岡。最後はバシッと決めます」
FUJIMON♡の覚悟は本当だった。1Rから介錯にかかる拳剛はワンツーからのローや右アッパーで攻め込むが、FUJIMON♡は打ち終わりにカウンターのワンツーを狙うなど一歩も引かない。続く2R、拳剛はタイミングのいい左のテンカオでFUJIMON♡から先制のダウンを奪う。しかし、その後も地元の大声援を背にFUJIMON♡は右ハイを引っかけたり、打ち合いに挑むなどやる気満々の態度を見せる。3Rになっても、その勝利に対する執念はすさまじく離れ際に右フックを決めるなど場内を大きくどよめかせた。それでも、総合力は拳剛の方が一枚も二枚も上。右で二度目のダウンを奪い、KO寸前まで追い込んだ。それでも、FUJIMON♡は最後の最後まで粘り、試合終了のゴングを聞いた。その瞬間、最後まで亀岡にこだわって現役を続けた地元の英雄に観客は惜しみない拍手を送り続けた。
試合後、拳剛は6/15「RISE WORLD SERIES 2024 OSAKA」への出撃に意欲を示した。果たしてその夢は実現するのか。続いてマイクを握ったFUJIMON♡は「勝つ気しかなかったので、何を喋っていいかわかりません」と予期せぬ敗北に悔しさを滲ませたが、気を取り直してラストメッセージを話し始めた。「正直、勝ったら引退セレモニーを辞めようと言おうと思っていました。でもこれで最後。拳剛選手とやれてよかった。納得して引退できます」
その後、引退の10カウントを鳴らし、5年間のプロ生活に別れを告げた。
第7試合 大輝 vs. 龍太郎
リングネームを本名の寺西大輝から変更した大輝(NJKF理心塾)がDEEP☆KICKに初登場。いつも激闘を繰り広げながらなかなか白星に結びつかない龍太郎(VALIENTE)と拳を交わした。身長が自分より10㎝も高い大輝に対して、龍太郎はやる気満々。1R開始早々、先制攻撃を仕掛け大輝をグラつかせる。身長やリーチで勝る大輝はハイキックやヒザ蹴りで応戦するも、龍太郎は勢いで呑み込むような流れになるのに時間はかからなかった。
2Rまでのオープンスコアは2-1で龍太郎がリード。続く3R、バックハンドで大輝を下がらせたことが好印象だったことも手伝い龍太郎が2-0の判定勝ちを収めた。今回は一階級上での試合だったが、もともとは-51㎏級でランキング3位。龍太郎は適正階級で再浮上を狙う。
第6試合 進撃の祐基 vs. 木戸翔太
亀岡キックボクシングジムに所属する進撃の祐基(京都亀岡キックボクシングジム)が凱旋。テツジム関西所属で今回がDEEP☆KICKデビューとなる木戸翔太(テツジム関西)を迎え撃った。オーソドックスの木戸はコツコツと右ミドルを当てていくが、身長で7㎝も高いサウスポーの祐基は左のテンカオから左ストレートで木戸の動きを弱らせる。そして連打を畳みかけ、ガードが空いたところに右ハイ一閃。この一撃が見事に決まり、1RKO勝ちを収め、地元の民からやんやの歓声を浴びた。試合後、祐基は「DEEP☆KICKの70㎏の王座をとりにいきたい」と宣言。現王者はRISEでも活躍中の稲井良弥(TARGET)。このまま連勝街道を突っ走り、タイトル挑戦にこぎつけるか。進撃の祐基の進撃は続く。
北神議員・山木議員マイク
山本vs.中野戦のあとには衆議院議員の北神圭朗議員、亀岡キックボクシングツジムの会長で亀岡市議会議員も務める山木裕也氏がリングイン。市長の尽力によって大会が開催にこぎ着けたことや、この日ラストマッチを行う愛弟子FUJIMON♡の労を労った。この大会は山木会長の実行力がなければ、実現することはなかった。
第5試合 山本裕規 vs. 中野功貴
DEEP☆KICKで他団体の王者同士の一騎討ちが実現した。現RKSスーパーライト級王者の山本裕規(teamYAMATO)と初代ACF同級王者の中野功貴(NJKF誠輪ジム)の一戦だ。1R、中野は痛烈な右で山本をグラつかせるも、その後山本から強烈な右を返され先制のダウンを奪われてしまう。
3R、中野は右の三日月蹴りを軸に必死に反撃を試みるが、ダウンを奪うまでには至らない。結局、29-28で山本が勝利を収めた。
第4試合 辰巳瑠央 vs. 中井美慶
TOP☆RUN Girls-48㎏王座決定戦は4人参加のワンデートーナメント。初戦(準決勝)はオープニングファイトの第1~2試合で行なわれ、決勝は本戦の第4試合で組まれた。アマチュアの試合でも他団体では見られない実験的なマッチメークを積極的に組んでいくのはDEEP☆KICKの強みだ。勝ち上がってきたのは辰巳瑠央(TeamFreeStyle)と中井美慶(LEGEND GYM)。最初の攻勢に出たのは辰巳の方だった。右ミドルをベースに間合いを詰めると左ヒザを突き刺す。もつれて倒れ込む場面も多かったが、辰巳が上になるケースが多かった。しかし本戦は三者三様のドローに。試合は延長戦へと突入したが、ここで辰巳はスタミナを切らすことなくミドルを連打し、マスト判定で辰巳に引導を渡した。
第3試合 由知 vs. 水野夢斗
大空(TEAM TEPPEN)に続き、TEAM TEPPEN期待の水野夢斗(TEAM TEPPEN)がプロデビュー。素顔はまだ高校生ながら、自分より3歳年上の由知(TeamFreeStyle)を相手に、試合開始早々左ストレートでダウンを奪う。その後も連打で畳みかけ、とどめは飛びヒザ蹴り。グリーンボーイとしては満点といえる試合内容で、初陣を飾った。フィジカルを鍛えていけば、-51㎏戦線で上位を狙うことも夢ではあるまい。
『RISE WORLD SERIES 2024 OSAKA』出場ファイターマイクパフォーマンス
柚子貴VS.大空後は6月15日エディオンアリーナ大阪第一競技場で開催の『RISE WORLD SERIES 2024 OSAKA』に出場する関西在住の政所仁(魁塾)、数島大陸(及川道場)、野田蒼(月心会チーム侍)がリングイン。それぞれ抱負を述べた。
▼政所仁(魁塾)
「次、僕、DEEP☆KICKはずっとプロキャリアの最初の頃は主戦場でした。僕はベルトは獲れなかったけど、負けた相手には全員リベンジしていこうと思っています。諦めなければいいことはある。今回のタイトルマッチでも僕が大﨑一貴選手にリベンジして、それを証明しようと思っています」
▼数島大陸(及川道場)
「僕自身、DEEP☆KICKには出場したことはないけど、アマチュアのNEXT LEVELの方にはずっと出場させていただきました。それからプロになって現在はRISEのフライ級王者として頑張っています。次はタイ人との試合が決まっています。軽量級ではタイ人を超えないと先にはいけないので、全局面で圧倒して『数島陸は強いな』と思わせたい。キックボクサーは泣かないぜ」
▼野田蒼(月心会チーム侍)
「今回6月15日に初めてRISEの大会に出させてもらうことになりました。初めてのRISEということで思い切り打ち合ってやろうかなと思っています。絶対面白い試合をするので、よかったらチケットを買って応援にきてください」
第2試合 柚子貴 vs. 大空
Stand up関西王座決定戦-55kgトーナメント優勝など、アマチュアでは輝かしい戦績を収めたTEAM TEPPENの大空(TEAM TEPPEN)がプロデビュー。プロデビュー戦では勝利を収めている柚子貴(NJKF京都野口GYM)と激突した。1R、大空は右フックをスマッシュヒットさせ、じわじわと試合のペースを握っていく。2Rになっても、その勢いは衰えない。右ミドルをクリーンヒットさせ、右ハイで柚子貴をグラつかせる。そのままパンチの連打でロープを背にした相手をKO。見事な初陣を飾った。
第1試合 仁保彩晴 vs. 若月アル
お互いプロデビュー戦となるフレッシュな一騎討ち。1R、仁保彩晴(LEGEND GYM)はミドルを軸に若月アル(NJKF R.S-GYM)を攻め立てる。しかし若月はカウンターの左で仁保をグラつかせると形成逆転。さらにパンチの連打で追い込んでいく。
2R開始早々、仁保はバックハンドを繰り出すなど逆転しようと躍起となるが、若月は冷静に対処。最後はパンチの連打でスタンディグダウンを奪う。仁保はなんとか立ち上がってきたものの、レフェリーにダメージが残っていると見なされ試合を止められた。
〈試合結果〉
<メインイベントDEEP☆KICK-65kgタイトルマッチ 3分3R>
●石田迅(LEGEND GYM)
TKO 1R1分37秒 レフェリーストップ
○和田哲平(FASCINATE FIGHT TEAM)
※和田哲平が-65kg第5代新王者に
<セミファイナルDEEP☆KICK-58kg契約 3分3R>
●FUJIMON♡(京都亀岡キックボクシングジム)
判定 0-3(25-30、26-30、25-30)
○拳剛(誠剛館)
<第7試合 DEEP☆KICK-53kg契約 3分3R>
●大輝(NJKF理心塾)
判定 0-2(29-30、29-29、29-30)
○龍太郎(VALIENTE)
<第6試合 DEEP☆KICK-72kg契約 3分3R>
○進撃の祐基(京都亀岡キックボクシングジム)
TKO 1R2分33秒 レフェリーストップ
●木戸翔太(テツジム関西)
<第5試合 DEEP☆KICK-63kg契約 3分3R>
○山本裕規(teamYAMATO)
判定 3-0(29-28、29-28、29-28)
●中野功貴(NJKF誠輪ジム)
<第4試合 TOP☆RUN Girls-48Kg王座決定戦 1分30秒3R 延長1R>
○辰巳瑠央(TeamFreeStyle)
判定 1-1(29-28、29-29、29-30)
延長 3-0(10-9、10-9、10-9)
●中井美慶(LEGEND GYM)
※辰巳瑠央がTOP☆RUN Girls-48Kg新王者に
<第3試合 DEEP☆KICK-51.5kg契約 3分3R>
●由知(TeamFreeStyle)
TKO 1R1分00秒 レフェリーストップ
○水野夢斗(TEAM TEPPEN)
<第2試合 DEEP☆KICK-53kg契約 3分3R>
●柚子貴(NJKF京都野口GYM)
TKO 2R2分33秒 レフェリーストップ
○大空(TEAM TEPPEN)
<第1試合 DEEP☆KICK-55kg契約 3分3R>
●仁保彩晴(LEGEND GYM)
TKO 2R1分43秒 レフェリーストップ
○若月アル(NJKF R.S-GYM)
〈オープニングイベント〉
NEXT☆LEVEL提供試合
<OP第9試合 -59kg契約 1分30秒2R>
●野村登生(月心会チーム侍)
判定 3-0(20-19、20-19、20-19)
○廣部叶梧(京都亀岡キックボクシングジム)
<OP第8試合 -60kg契約 1分2R>
※藤野の怪我によるドクターストップのため試合中止
<OP第7試合 -45kg契約 1分30秒2R>
●岩崎桜雅(NJKF理心塾K’sGYM)
判定 0-3(18-20、18-20、18-00)
○越野廉成(ALL-WIN GYM)
<OP第6試合 -42kg契約 1分30秒2R>
●大前來虎(TEPPEN GYM 大阪)
判定 3-0(20-19、20-18、20-19)
○赤坂來依(LEGEND GYM)
<OP第5試合 -44kg契約 1分30秒2R>
●井田美守里(フリー)
判定 0-3(18-20、19-20、18-20)
○木下采音(ALL-WIN GYM)
<OP第4試合 -30kg契約 1分2R>
●柏原璃星(LoTgym)
判定 3-0(20-18、20-18、20-18)
○山木俊(京都亀岡キックボクシングジム)
<OP第3試合 -30kg契約 1分2R>
△奥村緑(京都亀岡キックボクシングジム)
△中村輝月(TeamFIST)
判定 1-0(19-19、20-19、19-19)
<OP第2試合 TOP☆RUN Girls-48Kg王座決定トーナメント準決勝>
●上田樹那(山口道場)
判定 2-1(20-19、19-20、20-19)
○中井美慶(LEGEND GYM)
※中井美慶がTOP☆RUN Girlsトーナメント決勝に進出
<OP第1試合 TOP☆RUN Girls-48Kg王座決定トーナメント準決勝>
●牧桃花(及川道場)
判定 2-1(20-19、19-20、20-19)
○辰巳瑠央(TeamFreeStyle)
※辰巳瑠央がTOP☆RUN Girlsトーナメント決勝に進出