2月11日(日)、大阪・堺市産業振興センターイベントホールにて、NJKF誠至会主催興行「NJKF2024 west 1st」が行われた。
昨年3大会に続いて、今回もメインを務めたのはJyosei。延期されていたWBCムエタイ日本統一スーパーバンタム級王座決定戦を、JAPAN KICK INNOVATIONの新鋭・前田大尊と戦うこととなった。Jyoseiは昨年2月に日下滉大を下してNJKFスーパーバンタム級王座を獲得(その後返上)。だが5月にはこのWBCムエタイ戦の前哨戦として組まれたタイ人との一戦でTKO負け。続く9月の韓国人戦にもTKO負けを喫し、一転して崖っぷちに。後がない状況で今回の王座決定戦を迎えた。
その相手となったのが、JKIフェザー級1位の前田。8戦7勝(1KO)1敗と高い勝率を誇る18歳で、昨年7月にはWBCムエタイ・ランキング戦でNJKFの主力の一人・一航に勝利。初の王座を獲得すべく、山梨から大阪へと乗り込んできた。入場時には「(高校の)卒業式にベルトを持っていけ!」との声援も飛ぶ。
1Rはローの打ち合いが中心となる中、Jyoseiはカーフも放っていき、前田がバランスを崩す場面も。2Rには前田がフェイントを入れながらステップを交え、ローに前蹴り、ミドル、右ストレートなどを交えながら攻めていく。速攻を仕掛けることも多いJyoseiはじっくり見ていく構えか、ロー、カーフを中心に応戦。
3Rに入ると前田は右ハイなども繰り出すが、中盤にはJyoseiのカーフが効いてくる。そこを逃さずJyoseiはカーフを連発。オーソドックスの前田はスイッチして対応。このラウンド終了時の判定は29-28でJyosei支持が2名、1名は29ー29でイーブン。
4RもJyoseiがカーフで攻勢。明らかに効いている前田は体勢を崩す場面が目立ち、Jyoseiは右ストレートも打ち込む。スイッチして難局を打破したい前田は右ミドルやパンチを返していく。5Rには打ち合いになる場面も見られ、お互いにパンチを入れ合うが、前田は形勢逆転には至らず、ゴング。判定でジャッジ三者の支持を得たJyoseiが、1年ぶりの勝利でWBCムエタイの王座を掴んだ。
試合後のJyoseiは「次は自分のやりたいことやっていこうかなと思います。とりあえず、みんな注目しとってください」とマイク。控室に戻ると「相手はタッパがあって足が細いし、パワーは僕の方があるからカーフでいけると思いました。削ったらパンチが当たっていくっていうシステムなんで。とりあえず打って打って、チャンスを掴んでいく感じで。絶対にチャンピオンになるために、今日は我慢強くいったっす。今までは盛り上げようというのが先走ってたんですけど、今回は形になるものがあったんで」とコメント。さらに今後については「一つ、決まってるタイトルマッチがあるので、それを獲ったらONEに行きたいです。僕はムエタイがやりたいんで。コカし合いもあるムエタイが本物の戦いやと思うんで。路上やったらコケたら終わりでしょ? ムエタイが立ち技最強なんで」と熱く語った。元来の攻撃力に加え、戦い方の幅を広げて王座を掴んだJyoseiの今後に期待だ。
ダブルセミファイナル第2試合は昨年5月にドローに終わったNJKFスーパーフェザー級3位・佐藤亮とNJKFフェザー級5位・坂本直樹が再戦。前半、組みヒザを入れていた佐藤が後半に失速、終盤にパンチ、ヒジ、ヒザを集めた坂本が判定勝ちを飾った。「タイでムチャクチャ練習したのに、あんまり成果が出てないので、これからまた頑張ります。あと、今日東京で(NJKFフェザー級の)タイトルマッチやってるんですけど、次、僕どうですか!」と気勢を上げた。
ダブルセミファイナル第1試合ではNJKFスーパーバンタム級4位の繁那(ばんな)が登場。ナウィンターSUNムエタイと、初の国際戦を行った。1R、持ち前のスピードと回転力を生かしてラッシュをかけた繁那だったが、ナウィンターのヒジを食らって顔面をカット。しかし2Rにダウンを奪い、3R開始早々にも左ボディを決め逆転のTKO勝利。「僕がこの階級のチャンピオンにふさわしいと思うんで。早くもっと強い選手とやりたいんで、どんどんよろしくお願いします。武尊選手や天心選手、井上尚弥選手の知名度やパワー、技術全て、僕が上回ろうとしてます。ここからどんどん上がっていくんで」とアピールした。
第10試合では、この誠至会興行を出発点にRISEやRIZINでも活躍した元DEEP☆KICK63kg王者・山畑雄摩が現役ラストマッチ。篤椰と3分5Rヒジありで対戦し、3Rにヒジでダウンを奪って判定勝利。「生まれはニュージャパン、DEEP☆KICKと行って、そこから大きな舞台にも出させてもらいました」とマイクで話し始めた山畑は、キックをやることに反対していた母親を会場に呼んでいたことを明かすと「キックボクシングを一生懸命やってきたよということを証明できたと思います」と話した。また所属する心将塾の藤田将平代表に感謝の言葉を述べ、「この勝利は僕だけのものじゃなくて皆さんの勝利であり、心将塾の勝利であり、チームの勝利だと思ってます。皆さんもチームの一員ですんで、今日は勝ったな!」と言うと、場内からは大きな拍手が起こった。通算戦績は33戦16勝(4KO)13敗4分。この日もどの局面でも顔色一つ変えずに戦う冷静な試合運びが目立った。
NJKF西日本本部の次回大会は4月21日、拳之会主催の岡山大会。誠至会の次回大会は6月16日に予定されている。
■『NJKF 2024 west1st』
日時:2024年2月11日(日)
会場:堺市産業振興センター イベントホール
大阪府堺市北区長曾根町183-5
<メインイベント WBCムエタイ日本統一スーパーバンタム級王座決定戦 3分5R※ヒジあり>
○Jyosei (NJKF誠至会) 前NJKFスーパーバンタム級王者
判定3-0 (49-48、49-47、49-46)
●前田大尊 (マイウェイジム) INNOVATIONフェザー級2位
<セミファイナルⅡ 59kg契約 3分3R※ヒジあり>
●佐藤亮 (NJKF健心塾) NJKFスーパーフェザー級3位
判定0-3 (28-30、28-30、28-29)
○坂本直樹 (NJKF道場373) NJKFフェザー級5位
<セミファイナルⅠ 交流戦 57kg契約 3分3R※ヒジあり>
○繁那 (NJKFR.S-GYM) NJKFスーパーバンタム級4位
TKO 3R0分21秒
●ナウインターSUNムエタイ (SUNムエタイジム/タイ)
<第10試合 NJKFスーパーライト級 3分3R※ヒジあり>
○山畑雄摩 (NJKF心将塾) NJKFライト級5位
判定3-0 (50-47、50-47、50-46)
●篤椰 (NJKFteam Bonds) NJKFスーパーフェザー級6位
<第9試合 NJKFフライ級 3分3R ※ヒジあり>
●髙木雅己 (NJKF誠至会) NJKFフライ級4位
判定1-2 (30-29、28-29、28-29)
○西田光汰 (NJKF西田キックボクシングジム) NJKFフライ級7位
<第8試合 56.5kg契約 3分3R※ヒジあり>
○庄司理玖斗 (NJKF拳之会) NJKFスーパーバンタム級6位
判定3-0 (30-27、30-27、29-28)
●嘉武士 (NJKF健心塾) NJKFスーパーバンタム級8位
<第7試合 交流戦 スーパーライト級 3分3R※ヒジあり>
-光太郎 (NJKF誠至会) NJKFスーパーライト級7位
中止
-桜華 (小浜道場絆)
<第6試合 交流戦 バンタム級 3分3R>
○山脇飛翼 (K-1ジム心斎橋チームレパード)
判定2-0 (30-29、30-29、29-29)
●中島大翔 (GET OVER)
<第5試合 交流戦 60kg契約 3分3R>
●瑠稀士 (NJKF R.S-GYM)
判定0-3 (三者とも28-29)
○宮原司 (K-1ジム心斎橋チームレパード)
<第4試合 交流戦 フェザー級 3分3R>
○陸斗 (NJKF誠至会)
TKO 2R1分23秒
●翔太郎 (猛志会)
<第3試合 交流戦 ライト級 3分3R>
●内本築 (NJKFteam Bonds)
判定2-1 (30-29、28-30、29-28)
○平尾一真 (Blaze)
<第2試合 NJKFバンタム級 3分3R>
○ゆいら (NJKF健心塾)
判定3-0 (30-29、30-28、30-28)
●天 (NJKF誠至会)
<第1試合 ミネルヴァ アトム級 2分3R>
●RIANA(TOKEN KICKBOXING GYM)
判定0-2 (29-30、29-30、29-29)
○奥村琉奈 (OISHI GYM)
<OP第3試合 -60kg契約 1分3R>
●金海涼太(NJKF誠至会)
KO 2R
○岡村大成(Team Freestyle)
<OP第2試合 -57kg契約 1分3R>
●柴田 明奈(NJKF TOPGUN GYM)
判定 1-2
○松宮 愛梨(ロイヤルキングス)
<OP第1試合 -50kg契約 1分3R>
△庄司翔依斗(NJKF拳之会)
判定1-1
△市南寛太(直心会)