[ファイトクラブ]全日若手興行『NEW AGE CHRONICLE-Z』大盛況のカギは女性声援?

 全日本プロレスの若手主体興行『NEW AGE CHRONICLE-Z』が熱い。2023年から不定期開催となっている同ブランドは、第3回目を迎えた今大会も前売時点で完売札止めの大人気となっているが、特筆すべきは女性ファンによる圧倒的な声援だろう。凄まじい熱量に支えられた若手主体興行は、混迷極める全日本プロレスを明るく照らす起爆剤となるのだろうか?

▼全日若手興行『NEW AGE CHRONICLE-Z』大盛況のカギは女性声援?
 photo & text by 鈴木太郎
・停滞感や負の空気と無縁の若手興行
・若手選手の躍進という、全日マットの明確なる希望
・若手対抗戦:GLEAT渡辺壮馬-全日・井上凌 GLEAT三羽烏一角に軍配
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■全日本プロレス『NEW AGE CHRONICLE-Z 3』
■日時:2024年2月8日(木) 18:30開始
■会場:東京・新木場1stRING
■観衆:335人(札止め)

 選手の大量離脱、現三冠王者・中嶋勝彦の『闘魂スタイル』、アクトレスガールズとの提携、電流爆破マッチと、2023年秋~2024年初頭にかけて揺れに揺れた全日本プロレス。外野から見ていて、今現在の王道マットは、ファンの不安、不満、鬱屈した雰囲気が流れているように感じるものの、そうした停滞感や負の空気と無縁な場所が存在した。2023年よりスタートした全日本プロレスの若手主体興行『NEW AGE CHRONICLE-Z』である。

 ライジングHAYATOがプロデューサー役を務める新ブランドは、初回大会から新木場1stRINGを満員にし続けており、2024年1発目となる第3回大会においても前売段階で超満員札止めの大盛況だ。
 若手興行とはいえ、大会に参戦する選手のキャリアは10年未満と、よくある若手興行にしては出場資格の間口が広いこともあり、若手の域を抜けつつある青柳優馬や芦野祥太郎らも参戦している。だが、実際に場内の凄まじい盛り上がりを形成しているのは、青柳優馬や芦野よりもキャリアが浅い若手選手達だ。キャリアの浅さに対して実力を確実に付けている若手選手の存在は、混迷極める今現在の全日マットにおいて明確な希望と言って差し支えないだろう。

 何より大会中に強く印象に残ったのは、観客の声援の強さである。会場の新木場1stRINGは後楽園ホールに比べて選手とファンの距離が近く、後方でも迫力が伝わる会場であるものの、他団体の新木場大会に比べても明らかにオープニングマッチから客席の声援が強かった。しかも、その声援を牽引していたのは紛れも無く女性ファンだった。大抵のプロレス興行では、女性ファンの声援が聞こえる事はあっても、場の空気を形成しているのは男性ファンの声援が圧倒的だ。

 しかし、今回の若手興行では全体通じて7割前後が女性ファンによる声援で、男性ファンを圧倒するところまで場を支配していたのである。近年プロレスを観てきた中で、このような光景には中々御目にかかった経験が無いし、単純に「女性ファンに人気の選手が参戦したから」という一言で片付けられる事象でも無い。

 リング外での話題が騒がしくなっている今の全日本プロレスにおいて、若手限定で活気のある場を生み出せている事実は何にも代えがたく、非常に大きな強みと言えよう。『NEW AGE CHRONICLE-Z』は、通常興行と別ブランドで継続していきたいのも納得の熱量に溢れていた、今後要注目の興行である。

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