DEEP☆KICK ZERO 09 まだ高2の中田史斗は目を光らせた!

 初戦(準決勝)から大激震。8月20日、『DEEP☆KICK ZERO 09』(8月20日/大阪豊中市・176BOX)で行なわれたDEEP☆KICK-53㎏フレッシュマン1DAYトーナメントは準決勝で優勝候補の山田貴紀(山口道場)を破った中田史斗(ふみと/究道会館)が続く決勝では山﨑天輔(バリエンテ)を破り優勝するとともに賞金10万円を獲得した。

(文・布施鋼治/写真・石本文子)

メインイベント 山﨑天輔 vs, 中田史斗

 中田史斗(究道会館)は決勝ではもう一方のブロックで山田の対抗と目されていた礼司(楠誠会館)を下した山﨑天輔(バリエンテ)と激突。中田より山崎の方が身長で11㎝も高かったが、2Rに右フックで先制のダウンを奪うと、最後は右ストレートで粘る山﨑に引導を渡した。2R51秒、中田のTKO勝ちだ。試合前は全くのノーマークだった中田だが、2試合連続KOでの優勝に上機嫌。試合後は「このトーナメントのために毎日1回1~2時間休憩なしの2部練したことが良かった」と語る。
 このトーナメントに優勝したことで中田は先に開催されるDEEP☆KICK-53㎏王座決定トーナメントへの出場を決めた。「トーナメント初戦では、まずランキング1位の上村雄音(BKジム)選手とやりたい。上村選手はいつも一緒に練習しているKING剛(ROYAL KINGS)選手に勝っているからです。上村選手に勝って決勝は剛選手とやりたい」「DEEP☆KICKのチャンピオンになってRISEで那須川龍心(TEPPEN GYM)選手と闘いたい」
 まだ高2の中田は目を光らせた。
  

セミファイナル 櫻井芯 vs, FUJIMON♡

 セミファイナルではDEEP☆KICK-57.5㎏挑戦者決定トーナメントが組まれた。いつもはド派手な入場で有名なFUJIMON♡(京都亀岡キックボクシングジム)ながら、今回は割とノーマルに登場した。むしろ入場は櫻井芯(teamFIST)の方が目立っていた。1Rは櫻井がローで攻勢に出る。フェイントからの右のカウンターのヒザ蹴りがFUJIMON♡のボディに突き刺さる。
 このまま櫻井が試合のリズムを掴むかと思った刹那、FUJIMON♡はそれまでの流れを無視するかのように左をクリーンヒットさせ櫻井から逆転ともいえるダウンを奪う。
 第三者の目から見るとトリッキーというわけではないが、選手から言わせるとFUJIMON♡のパンチはひじょうに見えづらいという。それを如実に表したダウンだった。
 2R、櫻井は飛びヒザ蹴りや右ボディフックで反撃の糸口を掴もうとするが、ダウンによる2ポイントというアドバンテージをもらったFUJIMON♡はノラリクラリ。3R、櫻井は左フックからの右ハイでFUJIMON♡の牙城を崩そうとするが、ときすでに遅し。前蹴りで距離を保とうとするFUJIMON♡を崩せないまま試合終了のゴングを聞いた。
 FUJIMON♡はこの日午前の部のセミファイルで麻太郎(NJKF健心塾)を破ったKING龍蔵(ROYAL KINGS)と9月24日「DEEP☆KICK 67」で挑戦者決定トーナメント決勝戦を争う。その日程をガチで事前に耳にしていなかったFUJIMON♡は「本当に来月決勝なんですか?」と耳を疑っていた。タイトルマッチは12月に決まっている。FUJIMON♡の試練は続く。
             

第8試合 駿希 vs, 西村孝幸

 BKジム期待の駿希(BKジム)が第8試合に登場し、西村孝幸(ビンチェレあべの)と対戦した。1R開始早々、駿希は痛烈なボディブローを放ち場内をどよめかせる。その後ローの打ち合いとなる中、パンチで駿希は試合の主導権を握り、右フックでダウンを奪う。この一撃をもろに受けた西村は腹這いになったまま動けず、そのまま駿希のKO勝ちとなった。
 これで2戦2勝2KO。-53㎏級戦線をかき回す存在となるか。

第7試合 聖輝 vs, ゆいら

 このところRISEで連勝続きの魁塾勢。そのバトンを渡された聖輝(いぶき/魁塾)のセコンドには憂也(魁塾)や百花(魁塾)が就く。リングサイドでは8月26日に試合が控えた政所仁(魁塾)やRISE QUEEN王者になったばかりの聖愛(魁塾)が声援を送る中、聖輝は1R右ストレートをボディヒット、右ローを連打するなど快調に飛ばす。しかし、2Rになると、ゆいら(NJKF健心塾)は右フックを軸に試合の流れをたぐり寄せる。
 3Rになると打ち合いになる場面もあったが、聖輝は相手の攻撃を見すぎるきらいがあり、後手に回る攻防が多くなってしまう。対照的にゆいらは行かなければならないときに行く姿勢が評価され、僅差の判定ながら勝利を奪った。

初代RISE QUEENバンタム級王者 聖愛 マイク

 第6試合の橋本詩月vs,川崎海空終了後、去る7月30日の「RISE 170」で村上悠佳(TEPPEN GYM)を5Rで判定で破り初代RISE QUEENバンタム級王者に輝いた聖愛(魁塾)がリングイン。地元関西のファンの前で戴冠報告をした。「わたしもプロデビューはこのDEEP☆KICKのリングでした。RISEを見ても、DEEP☆KICK出身は多い。わたしはチャンピオンとして、もっと影響力を持てるようになって、DEEP☆KICKの魅力を広めていきたい」
大阪から日本へ。そして世界へ。聖愛のチャンピオンロードが始まった。

第2試合 山田貴紀 vs, 中田史斗

 最大のアップセットは準決勝で起こった。試合開始早々、中田のワンツーが山田貴紀(山口道場)にクリーンヒットするや、山田はダウン。なんとか立ち上がったが、腰がフラフラでレフェリーはすぐTKOを告げた。その間、わずか15秒。これは「DEEP☆KICK 15」(2013年5月12日)で鈴木真彦(山口道場)が森下翔平 森下翔平(M-BLOW)を17秒で下した最短記録を2秒も更新するKO最短レコードとなった。

第1試合 山﨑天輔 vs, 礼司

 山﨑天輔(バリエンテ)ははかつて那須川龍心(TEPPEN GYM)とも拳を交わした17歳。現在は真門ジム閉館に伴い独立した若生浩次氏が代表を務めるバリエンテに所属している。今回がプロデビュー戦だ。対する礼司(楠誠会館)は8月26日のRISEで那須川龍心と対戦する兄・JIN(楠誠会館)とともにジムワークに励む15歳だ。山﨑同様、礼司も今回がプロデビュー戦となる。
 山﨑は身長とリーチの差を活かして、1Rから攻勢に出る。遠い間合いから放つ右ストレートが有効だ。2Rになると礼司が盛り返し、懐に入ってくる山﨑に対して大振りの右を狙うなど果敢に反撃する。2R終了した時点でのオープンスコアは1-0で礼司。あとがない山﨑は3Rになると、体格差を活かした右ハイやヒザで礼司を攻め込む。
 本判定は1-0で山﨑だったが、今回はトーナメントのためマスト判定システムで争われ2-1で山﨑が辛勝。決勝に進出した。判定が下された瞬間、礼司は跪きながら号泣した。

<メインイベント
 DEEP☆KICK-53kg フレッシュマン1DAYトーナメント決勝 2分3R>
 ●山﨑天輔(バリエンテ)
 ○中田史斗(究道会館)
TKO 2R56秒 レフェリーストップ
※中田史斗が1DAYトーナメント優勝
※中田史斗が-53kg王座決定トーナメント進出権を獲得

<セミファイナル
 DEEP☆KICK-57.5kg挑戦者決定トーナメント準決勝>
 ●櫻井芯(teamFIST)
 ○FUJIMON♡(京都亀岡キックボクシングジム)
判定0-3(28-29、28-30、28-29)
※FUJIMON♡が-57.5kg挑戦者決定トーナメント決勝に進出

<第8試合 DEEP☆KICK-53kg契約 3分3R>
 ○駿希(BKジム)
 ●西村孝幸(ビンチェレあべの)
TKO 1R2分37秒 レフェリーストップ

<第7試合 DEEP☆KICK-53kg契約 3分3R>
 ●聖輝(魁塾)
 ○ゆいら(NJKF健心塾)
判定0-2(29-30、29-29、28-29)

<第6試合 NEXT☆LEVEL提供試合 -43kg契約 1分30秒2R>
 ○橋本詩月(月心会チーム侍)
 ●川崎海空(W-BEAST GYM)
判定3-0(20-19、20-18、20-19)

<第5試合 NEXT☆LEVEL提供試合 -50kg契約 1分30秒2R>
 ●山田潤貴(NJKF KTF)
 ○水野夢斗(TEPPEN GYM)
判定0-3(19-20、19-20、19-20)

<第4試合 NEXT☆LEVEL提供試合 -35kg契約 1分30秒2R>
 ●那須大雅(Menace Fight Club)
 ○高木修(楠誠会館)
判定1-2(19-20、20-19、19-20)

<第3試合 NEXT☆LEVEL提供試合 -25kg契約 1分30秒2R>
 ●西前充喜(TeamFIST)
 ○岡本浬(バリエンテ)
判定0-2(19-20、19-19、19-20)

<第2試合 DEEP☆KICK-53kg フレッシュマン1DAYトーナメント準決勝 2分3R>
 ●山田貴紀(山口道場)
 ○中田史斗(究道会館)
TKO 1R15秒 レフェリーストップ
※中田史斗がフレッシュマン1DAYトーナメント決勝に進出

<第1試合 DEEP☆KICK-53kg フレッシュマン1DAYトーナメント準決勝 2分3R>
 ○山﨑天輔(バリエンテ)
 ●礼司(楠誠会館)
判定2-1(29-29(マスト判定・青)、29-28、29-29(マスト判定・赤))
※山﨑天輔がフレッシュマン1DAYトーナメント決勝に進出