[ファイトクラブ]しし丸YouTubeタダシ☆タナカの真『アントニオ猪木vs.モハメド・アリ』

[週刊ファイト12月15日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼しし丸YouTubeタダシ☆タナカの真『アントニオ猪木vs.モハメド・アリ』

(無料公開の核心箇所を削った紹介動画です)
・美化された「猪木アリ戦」余りにも猪木の側から世紀の一戦を見てしまう
・猪木アリ戦は真剣勝負だったのか?シュート活字原点と核心への探求
・コナー・マクレガーが語る「猪木アリ戦」と武道館爆破予告佐山聡G高野
・「猪木アリ戦」とはなんだったのか? 歴史的エピックバトル価値は不滅


 2022年10月1日アントニオ猪木が逝去した。
 神宮寺しし丸は自身のYouTubeチャンネル「今週の格闘技”裏”ニュース」特別編として、ゲストにタダシ☆タナカ(週刊ファイト アンカー)氏を招いてロングインタビュー敢行した。

美化された「猪木アリ戦」余りにも猪木の側から世紀の一戦を見てしまう

し:10月1日に猪木さんが亡くなられまして。田中さんは猪木さんの試合をほぼ見てきてるわけですよね?

タ:その一言で言って「稀代のトリックスターであり、世界最大のエニグマ、謎である」というのがアントニオ猪木かと。アントニオ猪木がいなければタナカタダシもシュート活字も存在しないし、現在まで続いてる週刊ファイトも、そもそも存続しないっていうぐらいに大きいわけで。それはもう大きな穴がぽっかり開いたどころの騒ぎじゃないでしょっていう話であって。やっぱり最初に聞いた時、10月1日に聞いた時。僕知らなくてさ。紅さんが先にあげてたんで、その週刊ファイトのサイトを見たらさ、アントニオ猪木訃報って。そこで知って。それで知ってしまうともうその日やっぱりその何もできなかったね。やっぱりそれぐらいもうそのネット見る気もないし、そんなもう他の人が何言ってなんか全く気にならないし僕は。I編集長のタブロイド時代に限っても、猪木さんがいなければ週刊ファイトは続いてなかったです。間違いなく。

し:なので今回は猪木さんの過去の試合ですとか出来事なんかを語っていただきたいと思っております。まず聞きたいのが、1976年6月26日日本武道館で行われた「格闘技世界一決定戦アントニオ猪木vs.モハメド・アリ」です。

タ:猪木アリ戦ね。あれ土曜日だったんだけど学校あったんだけど早く帰らなきゃいけないってなって。関西の人はみんな土曜日帰ったら吉本新喜劇見るんで。でも今日は吉本じゃなくて猪木アリ見なきゃいけないってみんなで早く帰って。

し:猪木アリが土曜日のお昼やったのはアメリカの中継に合わせて。今で言う「朝倉未来vsメイウェザー」みたいな感じで。

タ:そうそう。それでみんなでその「今日は帰らなきゃいけない」って見たんだけど、美化されすぎてるんだよね。

し:当時の田中さん、まあ高校生ですよね。まだ少年ファンが見てどんな感じに思ったんですか?

タ:世紀の大凡戦でいいんじゃない。全然面白くないじゃないかと。そのまだ高校生である僕が見てもそう思ったし。

し:しかし、世紀のスーパーファイトであることは間違いなかった訳ですよね?

タ:そりゃ、学校でも話題になって今日は吉本新喜劇じゃなくて猪木アリがあるから早く帰ろうぜっていうぐらいだからね。

し:では、実際あの試合が始まって、要は猪木アリ状態とかって言われてるああいう試合になった。どんな感想でした?

タ:動きのないダラダラした試合だなぁと。

し:しかし、今となっては真剣勝負だったからつまらなかったんだと。

タ:だけどそれは違いますよ。簡単に言えばアリは日本にエキシビションをやりに来たわけです。なのに結局打ち合わせができなかったわけですよ。なぜかというと最初の日本でやった記者会見の時にボクシングの意地悪記者がね、「どうせルスカ戦みたいに八百長やるんでしょ?」とはっきり鋭い質問飛ばしてるのよ。

し:凄いこと言いますね。

タ:みんな日本の専門誌紙っていうのは都合のいいところだけを未だに残してね。悪いとこ全部バサッと切っちゃうから。

し:要はまあ提灯というか、みんなで盛り上げていきましょうと?

平壌でのアリと猪木とリック・フレアー(1995年4月)

タ:そうそう。それで猪木もアリも「馬鹿野郎、真剣勝負だ」と。そう答えるにきまってるじゃない。そういうのもあった手前、結局打ち合わせができなかったっていう。その話は実は猪木ペールワン戦にもつながってくる。打ち合わせができないって話は僕の本にもそのこと詳しく書いてあるけど、打ち合わせができない試合って結構あるんですよね。例えばリック・フレアーがね、Twitterの追悼の言葉で「俺と北朝鮮で19万人の前で試合やった。あの試合は打ち合わせしなかった」っていうことを書いてんだよ。にもかかわらず、その「あの試合を打ち合わせしなかった」と書いてる部分は抜けてて、「リック・フレアーまでも猪木さんを追悼していた」だけで(苦笑)。

し:リック・フレアーと猪木の北朝鮮での試合って「打ち合わせなしであれだけの試合ができたんだ」って話してるのに。

タ:そう。じゃああの試合をね。北朝鮮の試合を真剣勝負だったという人いますか? それと同じことが猪木アリにも言えんのにね、なんで猪木アリの方だけが超美化されてしまうのかと。

猪木アリ戦は真剣勝負だったのか?シュート活字原点と核心への探求

し:待って下さい。田中さん的な見方としては猪木アリ真剣勝負ではなかったと?

タ:全然違いますよ。何十年前からこれボクの証言残ってますよ。2001年の時にもトークライブやってはっきり言ってますよ。

し:しかし、だったらもうちょっと面白い試合展開を作っていたのでは?

タ:それは新間さんも後から言ってるけど、もっと打ち合わせさせるべきだったと。それが唯一の心残りであったと、はっきり言ってんだよ。だからボクシングの記者からどうせ八百長やるんだろうお前らって言われたこととかね、いろんなことがあって。結局打ち合わせできないわけ2人が。それでそのまま当日2人がリングに上がっちゃうっていう世にも奇妙な物語というかね、なんとなくぎこちない試合をお互いがしている。僕の本を読んでくださいなんだけど、アリは本気では絶対に殴らないって約束をテープに残して言ってんだよ。ニューヨークでやったヒルトンホテルの会見でもアメリカ人の記者向けに4ozの練習用のグローブ見せている。エキシビションですよってことを言いたいわけですよ。それも全部分かっているのに日本人記者っていうのは都合のいいところだけを断片的に切り取って。しかもまた日本をダメにした理由っていうのは文化人プロレスファンっていう人種がいて、そういう人たちがそのあーだ、こーだって言うわけよ。それで余計におかしくなっちゃうっていうね。

し:アリは猪木さんのローキック、いわゆるアリキックで足が壊れたと。それは本当なんですか?

タ:本当の話だよ。それどころか選手生命があれによって足が自由に動かなくなって。あれの後遺症で結局もう全盛期でなくなった。もちろん猪木戦を受けた辺りからね、そろそろもう今のあれと一緒だよ、メイウェザーと一緒でね。もう全盛期過ぎてひと段落だから後はその世界ツアーとかね、どっかイギリスでやろうとかね、アジアとかどうだとかね、そっちで稼いだらどうだというモードに入ってたっていうのはある。にしてもアリキックが決定的になっての後年だから。

し:猪木さんはマジで蹴っていた?

タ:まあそれぐらいしか許されてなかったから。そういう意味ではマジで蹴ってたな。あの蹴りに関しては。アリに関しては世界最大の武器であるパンチはマジでやらないというのだけど、猪木に関してはこれはもう暗黙の了解で。メイウェザー見たらわかるんですよ。ボクシングしかやらないよと。勝手に反則で蹴ってきたりしたらね一発について100万ドルだとかってやってるわけよ。それと同じことですよ。基本的にはボクシングをやるんですよ。当たり前ですよ。
バックドロップとか投げたりするのはダメよと。何のためにフレッド・ブラッシーが雇われたんですかと。フレッド・ブラッシーはそういう伝達役っていうかね、一応アリ側についてたんだけどね。だから投げはナシ。絞め技もダメよと。柔道だけが当時絞め技で1本っていうのがね。だからパンクラスが93年に出来た時にみんなが何をびっくりしたかというと、締め技で1本ありにするの?えーっと。みんな分かってないんだけど、当時はそんなガチっていうのがわかってないからパンクラスというのはあれで1本勝ちにするのというので超画期的だったんだよ。分かってると思うけど、プロレスの場合チョークは反則だから。One Two Three Fourとカウント数えて放させるお約束でしょ? 

新間さんがアサヒ芸能のインタビューで「がんじがらめのルールっていうのは後でマスコミに書かせた嘘です」とはっきり言ってんだよ。でも、いまだに僕は何回言っても猪木信者の人たちは「猪木はがんじがらめのルールで何もできなかったんだ」とか言ってる。

し:ということは、がんじがらめのルールなんてものはなかったと?

タ:ないんだよそんなものは。当たり前だよ。エキシビションなんだから。

し:猪木さんは真剣勝負風プロレスをやったということですか?

タ:それも違う。

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