5月13日（金）東京豊島区Beach-Vにてトークイベント『チャクリキ夜話 ボクサーから見た格闘技、プロレス』が行われた。
ノンフィクション作家、細田昌志氏の司会で、西島洋介、鈴木悟によるシュートトークが繰り広げられ、生憎の雨の中詰め掛けた熱心な格闘技ファンを魅了した。
■ チャクリキ夜話 ボクサーから見た格闘技、プロレス
日時：5月13日（金） 開始19:00〜
会場：東京豊島区Beach-V（東京都豊島区要町3-11-3 ラルジュ大映B1F）
出演／西島洋介、鈴木悟
司会／細田昌志（ノンフィクション作家）
リングアナの経験もある細田昌志氏のコールで、元OPBF東洋太平洋クルーザー級王者、WBF世界ルーザー級王者の西島洋介、元ボクシング日本ミドル級王者、元シュートボクシング日本スーパーウェルター級王者、元BBW（ベストボディジャパンプロレス）世界スーパーボディ級王者の鈴木悟が相次いで登場、拍手に迎えられる。
細田昌志氏がまずは西島洋介の経歴を紹介したあと、デビュー前からのボクシング歴について話を進める。ここで、オサムジムの渡辺治会長からある日スカウトされたという有名な逸話を西島洋介が否定。実際はマイクタイソンに憧れていた西島洋介が自らジムの門を叩いた、と今だから話せる事実を明かした。
これは
「そういうところが巧かった」
という渡辺治会長の、大きく見せようという発案だったとのことで、この後もボクシング協会との確執やオサムジムとの離別、K-1やPRIDE参戦の経緯まで、wiki書き換え必至のトークが続いた。
その中で、渡辺治会長との金銭的なトラブルを否定した西島洋介は、
「強い相手と闘って、強さを証明したかった」
と、当時の世間的な「西島洋介観」に苦しんでいた心境を吐露し、
「会長にはファイトマネーとか本当に良くしてもらっていた」
「ボクサー時代にK-1からオファーがあって、会長は『金を稼いだ方が良い』と、参戦を勧めてくれた」
「今になって、会長の言ってたことが解ります」
と、再三、亡き渡辺治会長への謝意を表したのが印象的だった。
西島洋介のトークが濃厚過ぎて時間が押す中、続いてボクシング、シュートボクシング、プロレス、と3種類のカテゴリーで王者になった鈴木悟のターンに。ボクシング、キックボクシングにも造詣が深い細田昌志氏だけに、鈴木悟の格闘家としての現役時代からプロレスラーデビューした現在まで、絶妙なトークバトルを繰り広げる。
時間が限られた中となったが、ボクシングからキック転戦への経緯、K-1での苦戦とシュートボクシングでの覚醒まで鈴木悟ならではの経験と心情は非常に濃厚なものとなった。
特にボクシングからK-1に転戦し、再度プロボクサーライセンス発行を希望したくだりは鈴木悟しか語り得ない貴重な証言となった。
最後に、細田昌志氏が
「野口修的世界観の日本キックボクシングの到達点」
と定義する、那須川天心vs.武尊の大一番を、3人が大胆予想。
西島洋介
「2人共親交があるので言い難い面はありますが…辰吉さんと薬師寺さんみたいな一戦（1994年12月4日名古屋レインボーホール）になると思うんですよ。僕は天心さんが勝つような気がするんですよね。もちろん武尊さんも強いですけど、軽いので、スピードで…天心さんに勝ってもらって、ボクシングで華開いてほしいです」
鈴木悟
「私は武尊選手だと思ってます。武尊選手がとにかく追っかけ回すと思います。天心選手は距離を採って、1発を踏み込んで打って離れて、というスタイルなので、それが巧く当たらなければ…『武尊は闇雲に手数多い！ 』みたいに見えますけど、カウンターでしっかり取れてるので、そこが天心選手に炸裂すれば、武尊選手が追いかけ回して判定で…と思います」
細田昌志氏
「（場内にアンケートを取って、圧倒的に天心支持を見て）世間的にも少数派なんですけど、僕は武尊だと思ってるんです。3時間前軽量とか、けっこう武尊選手がハンデがあるんですけど、そういう時は大抵ハンデがある方が勝つんじゃないかなって、それだけのことですけど。（鈴木悟「モチベーションは武尊選手の方があるんですよね」）そうですね」
こうして濃厚な、13日の金曜日のチャクリキ夜話は終了となった。
個々の体験談は勿論、ジムや協会の内実、ボクシング、キックのファイトマネーの金額に至るまで、この3人でしか話せないシュートトークの模様は、近日チャクリキ公式YouTubeチャンネルにてプレミアアーカイブ配信が予定されており、ボクシング、キック、総合格闘技、プロレスファンならずとも必見の映像となりそうだ。