MMAバンタム級トーナメント2021決勝戦 野沢零羽が薄氷の勝利「KROSS×OVERは強いんだよ!」喜びの咆哮

KROSS×OVERバンタム級王者、野沢。「KROSS×OVERは強いんだよ!!」

RIZINバンタム級への戦線布告か? 3・6KROSS×OVER16レポート

 メインイベント、『株式会社エマール presents NEW GENERATION CUP MMAバンタム級トーナメント2021』決勝戦が行われた。先に入場はJセロウ若林。後に登場の野沢は何とRIZINのメインテーマを入場曲に使用。同日・同時刻のRIZINランドマークの配信を意識してのものか?

 試合は開始早々、両者のフックが交差する打撃戦からスタート。テイクダウンを狙った若林が組みつくと、野沢がやや引き込み気味にフロントチョークを狙う。得意技なのか長めにアタックを続けるが、若林の頭が抜けて、若林がボジションを取った後バックチョークを仕掛けるなど圧倒する場面が続く。2ラウンドに早々、また若林が打撃に付き合わずロープ側のダブルレッグテイクダウン。上の状態でパウンドを仕掛けると、野沢が下から三角締め。それを若林が持ち上げてバスターで叩きつける。

 両者の足関節を狙うなどの攻防からもつれて、今度は野沢ががパックチョークを狙うなど猛追を仕掛けるが、下からロープを利用してのTKシザースを狙うなど若林も応戦。最後は両者がタイムアップぎりぎりまでの足関節の取り合いで終了。試合は判定にもつれ込みジャッジ3名が18対18。結局マスト判定で野沢がトーナメント優勝を果たした。記者は1ラウンドの優位性などから、判定だと若林有利と踏んでいたが、フロントチョークや足関節などの果敢なアタックがやや評価されたか。

 試合後、坂本光弘代表からベルトを授与された野沢は大きくひっくり返しながら、全身で喜びを表していた。そしてマイクを持った野沢は「大きな舞台に立ちたい。KROSS×OVERは強いんだよ!」と、大会を締めくくった。

 入場曲の選曲といい、それがどの団体を意味するかは言わずともだが、ただRIZINのバンタム級戦線に運良く絡めたとしても、生き残っていくには、それ相応の鍛錬を必要とすると感じた。

 ただ、RIZINが日本格闘技界の大将であり、このようにその舞台を目指す選手が多いのもまた事実。
 しかしながら、先日開催されたRIZIN TRIGGER 2ndのアンダーカードには専門媒体の私でさえ全く知らない選手が多く並んでいた。

 外国人選手が来日できないこの状況下で、1ヶ月で3大会のクオリティを保つのは至難の技。大晦日のお祭りは別格としても、その興行数の必要性は何かの事情は理解しえない。あれほど1選手としての私が、RIZINに向けアクションを起こしていた時代が、遠い過去に感じられるほどである。
 今やプロ修斗などのほうが、UFCを始め、ONEなどに世界規模の選手を輩出していると感じている。
 日本格闘技盟主の巻き返しを期待して、本日のレポートを締めくくりたい。

格闘技I記者

【第2部】
<第1試合 KRO0ZS3SS×OVER MMA AクラスBANTAMWEIGHT(-61.2kg) FIGHT 2分2R>
△田子 真斗(高本道場)
△松坂 理生(リバーサルジム久喜WINGS)
判定 0-1(WINDY18-20 太田19-19 山崎19-19)

<第2試合 KROSS×OVER GIRLSMMA Sクラス -54kg FIGHT 3分2R>
●棟方 木乃香(UFC GYM JAPAN)
○高本 千代(高本道場)
1R 0分44秒 TKO
※左ハイキック

<第3試合 KROSS×OVER MMA Sクラス LIGHTWEIGHT(-70.3kg) FIGHT 3分2R>
●岡野 俊樹(ユナイテッドジム東京)
○内藤 大二(リバーサルジム久喜WINGS)
判定 0-3(高本17-20 太田17-20 梅田17-20)
※岡野が遅延行為で減点1からのスタート

<第4試合 KROSS×OVER MMA Sクラス BANTAMWEIGHT(-61.2kg) FIGHT 3分2R>
△高木 健斗(和神会)
△佐藤 匡平(KRAZY BEE越谷)
判定 0-1(高本18-20 太田19-19 梅田19-19)

<lstジュニアキック5大決戦 Part.2 第5試合 JUNIOR-MUAYTHAI -37.5kg FIGHT 2分3R>
●小野 琥大(治政館 江戸川道場)
○髙橋 琉真(リバーサルジム久喜WINGS)
判定 0-3(高本28-30 太田29-30 梅田29-30)

<第6試合 JUNIOR-GIRLSMUAYTHAI -53kg FIGHT 2分3R>
○安黒 茉莉(闘神塾)
●勝又 香琳(HEAT)
判定 3-0(高本30-27 太田30-28 梅田30-28)

<第7試合 JUNIOR-MUAYTHAI -41.5kg FIGHT 2分3R>
○曽我 好健(治政館 江戸川道場)
●高木 礼司(MA楠誠会館)
判定 2-1(高本30-29 山崎29-30 梅田29-28)

<第8試合 JUNIOR-MUAYTHAI -47kg FIGHT 2分3R>
●田中 康友(KIZUNA田川本部道場)
○杉山 海瑠(HEAT)
判定 1-2(高本29-30 山崎29-30 梅田30-29)

<第9試合 株式会社秀拓 presents JUNIOR-MUAYTHAI -49kg FIGHT 2分3R>
○曽我 昂史[コウシ・ウォーワンチャイ](ウォーワンチャイプロモーション/ノーナクシン東京)
●星 幸樹(IDEAL GYM)
判定 3-0(高本30-27 山崎30-28 梅田30-28)
※曽我がスポーツ育成奨励金を獲得

<第10試合 PRO-KICK -60kg FIGHT 3分3R>
○石川 慶(team NOVA/59.75kg)
●勇成(小遊会/59.8kg)
判定 3-0(WINDY30-27 西村30-27 梅田30-27)

<第11試合 PRO-MUAYTHAI -53.5kg FIGHT 3分3R>
●高谷 賢章(ウォーワンチャイプロモーション/52.8kg)
○星 拓海(IDEAL GYM/52.95kg)
1R 0分28秒 KO
※右ストレート

<第12試合 PRO-MUAYTHAI -51kg FIGHT 3分3R>
○吉松 裕希(NEXT LEVEL渋谷/50.45kg)
●山口 隆弥(AFC/50.6kg)
2R 0分41秒 KO
※右ローキック
※2Rに山口が右ローキックで1ダウン

<第13試合 PRO-MUAYTHAI -50.8kg FIGHT 3分3R>
○イオリ・ウォーワンチャイ(ウォーワンチャイプロモーション/50.4kg)
●JIN CHOKE-DEE(MA楠誠会館/50.0kg)
判定 3-0(WINDY30-28 西村30-29 山崎30-28)

<第14試合 PRO-MUAYTHAI -60kg FIGHT 3分3R>
●早川 淳也(NEXT LEVEL渋谷/59.55kg)
○戸田 龍将(TRY HARD GYM/59.5kg)
1R 2分19秒 TKO
※右フック

<第15試合 PRO-MUAYTHAI -64kg FIGHT 3分3R>
○高橋 幸光(TSK japan/BOMウェルター級王者、WMC日本スーパーライト級王者63.8kg)
●畠山 育朗(フリー/J-NETWORKスーパーライト級1位/63.85kg)
判定 2-1(WINDY30-27 梅田30-28 高本29-30)

<第16試合 PRO-MMA -63kg FIGHT 5分2R>
△菅 歩夢(総合格闘技宇留野道場/POLAR GYM/61.95kg)
△萩原 悠人(リバーサルジム久喜WINGS/62.2kg)
判定 1-0(太田19-19 梅田19-19 山崎20-18)

<第17試合 PRO-MMA WELTERWEIGHT(-77.1kg) FIGHT 5分2R>
●クイック・チョップ・リー(打撃武道我円/76.3kg)
○宇土 冬真(TURNING POINT/76.7kg)
1R 1分51秒 一本
※リアネイキッドチョーク

 クイック・チョップ・リーは、ニンジャ・リーの名でインディープロレスでも戦い二刀流ファイターだ。宇土のテイクダウンからのすっぽりはまった肩固めは防いだが、最後はチョークで万事休す。ニンジャ殺法は見せ場なく終わった。

<セミファイナル(第18試合) PRO-MMA LIGHTWEIGHT(-70.3kg) FIGHT 5分2R>
○向野 弘章(総合格闘技宇留野道場/POLAR GYM/67.55kg)
●小牧 治登(キングダム府中/69.5kg)
1R 4分38秒 一本
※リアネイキッドチョーク

 セミファイナルには、キングダムネットワークジムで最も新しい支部、キングダム府中から23歳の小牧治登が登場。MMA二戦目にしてセミファイナルに抜擢され、宇留野道場の向野と対戦した。試合はどちらかというと打撃主体の小牧は離れて戦いところだが、試合巧者向野は距離をうまく詰めてテイクダウンを狙いに行く。しかし、最初のロープ際の攻防で大外刈りからの投げを決めたのは小牧。そのまま抑えようとするが、向野の立ち上がろうとする。しかし、小牧はそのままパックポジションキープ。チョークを狙うが決め切れず。今度それをキープしきれなかった小牧を向野が振り落とし、有利なポジションをキープ。その後の2度のアームロックの猛攻をなんとか絶えた小牧だったが、最後はチョークスリーパーに持ち込まれ無念のタップ。プロ戦初勝利はお預けとなった。

<メインイベント(第19試合) 『株式会社エマール presents NEW GENERATION CUP MMAバンタム級トーナメント2021』決勝戦
PRO-MMA BANTAMWEIGHT(-61.2kg) FIGHT 5分2R>
○野沢 零羽(和神会/60.75kg)
●Jセロウ若林(SAI-GYM/61.0kg)
判定 3-0(高本19-19[マスト野沢] 梅田19-19[マスト野沢] 山崎19-19[マスト野沢])
※野沢がトーナメント優勝となる


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