[ファイトクラブ]G1総括 リアルとキワモノ 希望と危うさ 創立50周年キングダムへの狂想曲 新日本

[週刊ファイト11月4日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼G1総括 リアルとキワモノ 希望と危うさ 創立50周年キングダムへの狂想曲
 photo & text by TERUZ / 10・24後楽園写真は編集部
・オカダが持ち出した4代目ベルト 口に出さずもコロナ前回帰狙う
・同一会場で「前年収容数を上回る」大会ゼロ 関西で一定幅ダウン
・サプライズなしと思われた最終日 柴田勝頼がビッグサプライズ
・自ら音響指示したオカダ リング上で脱臼肩をハメられる飯伏
・プロレスのリアルが表出したG1最終日 瀬戸際ギリギリの新日本
・9月に木谷オーナーが直言 回帰に向けてまずは試合数増が実現


 新日本プロレスが2022年に創立50周年を迎える。年始レッスルキングダムの主人公の1人となる“前年G1覇者”はオカダ・カズチカとなった。「リーグ戦の優勝決定戦としては、アントニオ猪木がハルク・ホーガンにエプロンでアックスボンバーを喰らい失神KO負けを喫した『第1回IWGP決勝リーグ戦』以来のハプニング」と報じるメディアもあったほど、G1最終日10・21日本武道館は大揺れ。フェニックススプラッシュを失敗した飯伏幸太が右肩を脱臼し、レフェリーストップで敗退。3連覇の夢が途絶えた衝撃エンディングだ。

 感染者数が落ち着きを見せつつある一方で、まったく“コロナ明け”ムードが漂わない。新日本プロレスでいったい何が起きているのか。他メディアにはない歯に衣着せぬ現場記者の直近2か月の見解の要所を総ざらいしつつ、盟主団体のドル箱シリーズG1クライマックスを振り返り、年始レッスルキングダムを展望する。

オカダが持ち出した4代目ベルト 口に出さずもコロナ前回帰狙う

 優勝決定戦直後のマイクで「その飯伏幸太を待つ証として、“4代目IWGPヘビー(ベルト)”を俺に下さい(※大拍手)。(※笑顔で)別にチャンピオンじゃないですよ。“IWGPヘビー”を、飯伏幸太を待つ証として、俺に預けて下さい」としたオカダ。この点について、10月22日の一夜明け会見でも言及した。

―――昨日、オカダ選手の口から4代目IWGPヘビー級ベルトについても言葉もありましたが、この発言についての見解をお願いできればと思います。

オカダ 『G1』を優勝したことですし、「また飯伏幸太と闘いたい」と、そういう繋がりじゃないですけど、そういうモノを持っていたいなと思いまして。まあ、『G1』チャンピオンではありますけど、モノとしては何も持っていないので、せめて飯伏幸太が封印した4代目IWGPのベルトをですね、べつにボクがいまからまた第何代IWGPヘビー級チャンピオンと名乗るつもりはなくて、ただそれを持って飯伏幸太を待ちたいということなので、いつもだったら権利証を持って闘っていくなかでそれを会社がOKなのであれば、それを4代目IWGPヘビーのベルトを権利証という風にしてもらいたいなと。あらためて、ここでお願いしたいなと思いますし、会長もいるので会長にもOKかどうかをいま確認してもらえたらなと思うんですけども……。

 この発言が受け入れられたのか、24日の後楽園ホール大会ではオカダがIWGPヘビー級の4代目ベルトを肩にかけて入場する。

 飯伏によるIWGPヘビー級の封印を巡る中で、オカダは3月4日の日本武道館大会にて「プロレスが好きな33歳のオッサンから言わせてもらうと、『神だ、神だ』と思っていた人間(飯伏)がとんだ邪神でしたね。IWGP世界ヘビー級、クソダセえよ、この野郎!」と口にするなど、新ベルト設立に不快感を表明していた。

 当時の火種を持ち出すことで「飯伏よ、本当の決着をつけようぜ」というのももちろんあるだろう。ただ、本当の狙いは「強さを競い合う選手権に戻したい」に違いない。2月27日・大阪城ホールでのバックステージコメントより。

オカダ「そうですね。だってもう、つまんないでしょっていう……2冠戦。なんで誰も口に出さなのかなと。それやっぱ、IWGPがあるからこそ、誰も何も言えないんじゃないかと思うんですけど。結局、2冠戦で楽しんでる2人たちが明日やるだけであって、誰も、何も……もうなんだろうな、統一だとかインターコンチ(ネンタル王座)だけだとか、そんなの関係なく、強いヤツがベルト巻けばいいんですよ。そんな単純なことなのに、なんか違うことで闘って、“それってプロレスなの?”っていう。なんか、だったら普通に、リング上で強い人が好き放題やればいいじゃんっていう。僕はそう思いますし、なんかそれでお客さんも戸惑ってるのもあると思いますし。まあ、強い人がチャンピオンなわけですから。もう、散々なんですよ。そういうもので。ただでさえこういう状況で、いろいろと不満がある中で、ベルトの、プロレスでもそういう不満が溜まるようなことをしててもしょうがないですし」

 もっと言うと「その上で自分が輝いていた頃を取り戻す」。それがオカダの本心に違いないが、24日時点まででは全てを改めての言葉にはしていない。言葉にすると遠ざかることがトラウマになっていることもあるのだろう。

 コロナ禍で何度も踏み出そうとしては挫折した。コロナ罹患にも見舞われた。他レスラーに頂点ベルトを預けざるを得ない流れもあったが、ここにきて右ヒザも復調し、2年越しでようやく踏ん張りがきくようになった。

 新日本プロレスそしてファンは、オカダと一緒にコロナ前への回帰を目指す。合言葉はもちろん「カネの雨が降るぞ!!」である。

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