UFC有観客マスク無:ナマユナス再戴冠!ウスマンKOマスヴィダル

(c) UFC/Zuffa LLC

■ UFC 261
日時:4月24日(現地時間)
会場:米フロリダ州ジャクソンビル VyStarベテランズ・メモリアル・アリーナ(18000人収容)
観衆:15259人(とりあえず満杯)
入場料収入:332万ドル(過去最高益記録更新)


 日本ではデパートなど大型施設が閉まったタイミングなんだが、そもそもトランプ基盤が未だ根強いフロリダは治外法権である。プロレスAEWが制限人数ながら同じジャクソンビルで有観客続けているが、UFCはデイナ・ホワイト自身が熱烈トランプ支持にしてマスクしない狂信主義者なので、屋内会場に客を満杯にまで入れてお客はマスクもしてないという異様な光景に。
 ガチンコ競技が有観客と無観客の状況で結果まで影響を受けるのか否か。本戦が全部1本決着となったことで、データ上はお客さんの熱狂が試合に伝わるものというのは否定できないことになった。おかげで本戦中継は2時間半かからなかった。

【メインイベント】
<ウェルター級タイトルマッチ 5分5ラウンド>
○カマル・ウスマン
 2R 1分02秒 KO
●ホルヘ・マスヴィダル

 UFCウェルター級王者のカマル・ウスマンは、同級4位のホルヘ・マスヴィダルと再戦し、1ラウンドからスピーディーでスリリングな展開となった。ウスマンは打撃で大きなテイクダウンを奪い、マスヴィダルは下のポジションから肘を返す。第2ラウンド、ウスマンは手を広げ、右ストレートでマスヴィダルをノックアウトし、これまで続いたライバル関係に決定的な終止符を打った。

カマル・ウスマン
「今は満足している。彼らはこのフロリダ州ジャクソンビルで暴力を見せつけてやると言っていたけど、俺はそれに臨んで彼らに応えた。こっちはただ落ち着いていただけ。向こうが俺を引き出そうと躍起になっていたのは分かっている。前にも言ったように、俺はそういうキャラじゃないし、偽物でもない。俺は俺であって、試合に臨み、落ち着きを保ち、自分の基本を守っていればフィニッシュは自ずとやってくる。空は無限に広がっている。このスポーツで自分は大きく成長しているし、今、この時、この瞬間にいることができてとても幸せだ。今回の試合は素晴らしかった。今、俺が積み上げてきたノックアウトの数を見ても、このKOは間違いなく上位にくる。まさにこうしたかった。俺はあいつらよりもはるかに先を行っていて、コース上ではもうすでにあいつらを周回遅れにしているんだ。復讐心を持って挑み、あの棺桶に釘を打たなければならなかったけど、その通りになったな。これで俺は前に進む。エネルギーは素晴らしかった。超満員の観客は何物にも代えがたい。素晴らしいよ。なんと言えばいいんだろうね。俺はUFCファンを愛している。彼らに好かれていようが嫌われていようが、それは関係ない」

<セミ 女子ストロー級タイトルマッチ 5分5ラウンド>
●ジャン・ウェイリー
 1R 1分18秒 KO
○ローズ・ナマユナス

 UFCストロー級王者のジャン・ウェイリーは、同級1位のローズ・ナマユナスを相手に2度目のタイトル防衛を狙ったが、その結果は驚くべきものとなった。互いに相手の様子を伺う中、ナマユナスが放ったハイキックが直撃し、チャンピオンはキャンバスに崩れ落ちた。1ラウンドわずか1分18秒でレフェリーが介入して試合を止めナマユナスが新王者となった。

ローズ・ナマユナス

「とにかく本当にうれしい。結局、ベストを尽くすことがすべてだから、結果がどうあれ、今日、この試合に臨んだことも自分がやってきたことも誇りに思っている。本当にいい気分で、落ち着いていけた。自分自身をコントロールして、息を整え、冷静にいけるようにしないといけなかった。彼女はローキックできていて、いいジャブももらったけれど、それでも私は落ち着いていた。どうやって説明したらいいのかな。彼女の体が硬直して倒れていくのを見て、ああ、これは思ったよりも効いているなと思った。でも、この試合に向けて頭の中ではあのキックが当たるというのが見えていたの。フィニッシュにつながるものだとは思っていなかったけど、今回の試合展開として予想していたもののひとつだったのは確かよ。彼女がひっくり返ったとき、もしかしたらまた立ち上がって目を覚ますかもしれないと思ったけど、ああいうハンマーフィストはまさに値千金だから、あれで終わりだっていうのも分かっていた。対戦相手が誰であろうと、できるだけ多く防衛したい。でも、私が本当にやりたいのはこれを足がかりにいくつかの場所にMMAアカデミーを作ること。自分のやりたいことについては常にアイデアを持っていたけど、それをどうやって自分のキャリアに結びつけるのか、それが分からなかったけど、それが私のプラン。まだ細かいことはやらないといけないけど、それが私のビジョンよ」

<第4試合 女子フライ級タイトルマッチ 5分5ラウンド>
○ワレンチナ・シェフチェンコ
 2R 3分19秒 TKO
●ジェシカ・アンドラージ

 UFC女子フライ級王者のワレンチナ・シェフチェンコは、元ストロー級王者で現在フライ級1位のジェシカ・アンドラージとタイトルマッチで対戦。緊迫した1ラウンド、シェフチェンコは何度もテイクダウンして持ち前のレスリング技術を披露する一方、アンドラージはクリンチでボディを攻める。シェフチェンコはレスリングとグラウンド&パウンドで優位に立ち続け、2ラウンドにはアンドラージをカットエルボーで仕留めてTKO勝ちした。

ワレンチナ・シェフチェンコ

「戦うことも、レスリングで挑むことも、グラップリングでも怖さはない。ジェシカが、私よりも強くなれるし、グラウンドで私を圧倒できると言っているのをよく聞いていたけど、特に何かを言いたくはなかったの。私だって自分のパワーも実力も分かっているから、ここで彼女にそれを信じさせたかった。彼女がこのパワーを感じた時、実際の私のパワーを感じたときにはダブルでフラストレーションを感じるはずだと思っていた。どうやって着地したのか覚えていない。投げたことは分かっているけど、どうやって、と聞かれると答えるのが難しい。見直してみないとね。試合のときは毎回、ポジションがどうあれ、サイドコントロールがどうあれ、まずはこのポジションを維持することに集中し、たくさんのプレッシャーをかけてフィニッシュする方法を考えるようにしている。第1ラウンドのリアネイキドチョークはかなりタイトだと思ったけど、ポジションが直角じゃなかったから、腕がつかれるのを待ってマウントを取りに行った。十字固めに入ってからはまずポジションを確保して、それからエルボーを打ちにいった。血が見えて、レフェリーの声も聞こえたから、これで私のものだと思ったけど、フィニッシュする必要があった。5ラウンドに持ち込みたくなかったの。みんなのサポートは本当に最高。これぞまさにプライスレスね。みんなからの愛を感じていたいから、彼らのためにトレーニングして、彼らにベストなものを見せたいと思う」

<ミドル級マッチ 5分3ラウンド>
○ユライア・ホール
 1R 0分17秒 足折れドクターストップTKO
●クリス・ワイドマン

 ミドル級9位ユライア・ホールと元王者で現在11位クリス・ワイドマンの10年ぶりの再戦は悲痛な結果となった。ワイドマンは最初のキックがホールのすねに当たり脛骨を骨折してしまう。ホールにはTKOが与えられたが、勝利の喜びは一切なかった。

ユライア・ホール
「残念だ。彼だって自分なりに準備してきていたはずだけど、予想外の出来事だったから、これを受け止めて前に進むしかない。少し感情が高ぶっていたから、コーチに座らされて“アンダーソンのように泣くのはもうやめよう”と言われた。とにかくリラックスして、結果を受け止め、起きてしまったことは何も変えられないんだと。試合のために必死にがんばってきたのに、その心構えがどこか別のところにいってしまったみたいで、あの瞬間は変な状況だったし、結果は最悪だ。今回の試合に向けては、自分に初めて土をつけた相手だったから、本当に大事な試合だと思って臨んだ。確かに、紙の上では俺が勝ったけど、UFCが誰をラインアップさせるにせよ、俺の目標は変わらない。チャンピオンになること、そのために戦うこと。ランキングに入っているし、今はトップ9だけど、この試合でどこに位置するのか分からない。もしかしたら8位かもしれないけど、でも目標は一緒、イジーを倒すこと。どんな結果になっても覚悟はできている。今回の試合に向けた緊張感はとにかく不安だった。舞台裏ではなぜだか息ができなくて。体調はいいし、何カ月もトレーニングしてきたけど、今はその緊張を乗り越えて、自分の手に入ったことを実感しているのはいいことだけど、でも同時に、一人の真の格闘家として、これが本当の勝利でないことは分かっている」

<ライトヘビー級マッチ 5分3ラウンド>
○アンソニー・スミス
 1R 5分00秒 歩けないドクターストップTKO
●ジム・クルート

 元ライトヘビー級タイトル挑戦者のアンソニー・スミスと同級13ジミー・クルートがメインカードのオープニングを飾った。第1ラウンドにスミスのローキックがクルートの膝に当たり、これでクルートがまともに歩けない、2R開始となっても普通に立ち上がれなくなり、スミスが早い段階でTKO勝利を飾った。

アンソニー・スミス
「必要だったパフォーマンスだけど、まだすべてを出し切ったわけじゃない。目標はあまりケリを受けずに試合を乗り切ることだったけど、試合中はまだかなりキックを受けてしまったし、自分の方がうまく対応できたとはいえ、まだまだやるべきことはたくさんあると思っている。何度もジャブを打っていくのは気持ちがいい。正直、向こうはダメなふりをしていて、あそこからやり返してくるんじゃないかと思っていたけど、でも文句は言えないね。第2ラウンドに彼が出てくる可能性は低いと思っていたけど、その後、彼は立ち上がって戦いたいと言ってきた。彼が椅子から立ち上がって試合に臨むとは思っていなかったから、マークの話の最初の部分を聞き逃してしまって、やば、あいつ来る気なんじゃないか、と分かってなんとか自分のケツをたたいた感じさ。彼のファイティングスピリットはすごい。ものすごいタフな子だから、きっといつか偉大なファイターになるだろう。彼の年齢の頃に、自分が彼の半分でも優れていたらなと思うよ。あの頃の俺と比べれば今の彼ははるかに素晴らしいし、俺があの年齢だった頃に比べればはるかにすごい。相手は戦士だから、頭を下げさせたくなかったし、頭を上げさせておきたかった。ロバート・ウィテカーがずっといるわけじゃないと思うし、誰かがオーストラリアにトーチを持ち帰らないといけないとすれば、それは彼になるんじゃないかと思うよ」

UFCアカデミー卒業生
 ライト級では、UFCアカデミー出身のロン・チューがUFC最年少ファイターとしてデビューし、メキシコのカズラ・バルガスと対戦。バルガスは1ラウンド目を打撃で制し、2ラウンド目にはギロチンで相手を苦しめる。最終ラウンドでは、ロン・チューが大きなパンチと後半のテイクダウンで応戦したが、スコアカードの結果、バルガスが満場一致の判定で勝利した。

 バンタム級ではUFCアカデミー出身のアオリ・チロンとダナ・ホワイトのコンテンダー・シリーズに参加したジェフ・モリーナの二人がデビュー戦に臨んだ。1Rはチロンがパンチを打ち込みクリンチワークに徹した。2Rはモリーナの技術の高いボクシングとチロンのパワフルなショットの応酬となり、両者ともにノックダウンを奪った。最終ラウンド、チロンはプレッシャーをかけ続けるが、モリーナはそれに対しカウンターやコンビネーションを次々と繰り出し、モリーナが満場一致の判定勝利を奪った。

 ストロー級ではUFCアカデミー卒業生でこれがデビュー戦となるリャン・ナがアリアネ・カルネロッシと対戦。リャン・ナが1Rからノックダウンと猛烈なテイクダウンで攻勢に出て、その後両者のスクランブルとサブミッションの攻防が繰り広げられた。しかし2ラウンドにはリャン・ナがスタミナを切らし、カルネロッシが寝技とパウンドでフィニッシュした。


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