[ファイトクラブ]天龍源一郎デビュー前のエピソード!映画『ジョーカー』がアウトな理由

[週刊ファイト4月8日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼天龍源一郎デビュー前のエピソード!映画『ジョーカー』がアウトな理由
 by 猫山文楽拳
・G馬場の肝いりだったデビュー前の天龍源一郎
・己の人生を背負えるのは己のみゆえに


 ロードショー公開から遅れること2年、スターチャンネルでついに「JOKER」を視聴。
 公開当時の評判はそこそこ良かったと記憶しており、かつまたあのヴェネチアで金獅子賞を受賞した作品・・だった・・はず・・ だが・・始まって数分でいけない予感しかしなくなった。
 ネタばらしは好きではないので内容を克明に書くのは控えるが思いっきりリアリティーを追求しちゃっていたのだ。
 それがどうしてダメかと言えば、ジョーカーの起源がそもそもアメコミのキャラクターということ。原作のイメージから逸脱しまくったら、オマージュでもなんでもない。かつて「サスペリア」が公開されたとき、蓋を開けてみたらアルジェントのサスペリアの続編でもリメイクでもない「別物」だったことで、サスペリアのファンからそっぽを向かれたというのがあるが、「JOKER」は、記者に言わせればバットマンのジョーカーの名前を利用しただけ。ジョーカーの名前を取ったら、精神を病んだ男が自分を馬鹿にした世の中にやぶれかぶれのていで復讐しまくる良くあるサイコものに過ぎず、ホアキン主演の問題作扱いにはなったろうけれどもそれほど話題にもならず、大ヒットにも結び付かなかったと思う。
 むしろ、ジョーカーと姪打ってはいけなかったとさえ思う。なぜなら、ヒールキャラのイメージを崩壊させる最も晒してはいけないリアル成り立ちを追っかけてしまった。

 たとえば、ジョーカーが母親を養って献身的に介護していたり、コメディアン目指してけなげに勉強していたりそういう舞台裏のリアルライフが赤裸々に描かれてしまっている。プロレス的にはヒールのそこは晒しちゃおしまいだろうとなる。

 ジョーカーのジョーカーたる所以は、「欲しいものも、失うものも、この男には何もないがゆえの、怖さ。凄み」。に尽きると思っている。
 ジャック・ニコルソンのジョーカーも、ヒース・レジャーのジョーカーも、根幹は一緒。
 殺戮も建物を爆破するにもなんの躊躇もない。
 それゆえに見る側は彼の所業を恐ろしいと感じつつ同時に爽快感も抱く。幼少期に両親を目の前で殺害されたトラウマを引きずり、いちいち思い悩むメンヘラ男ブルース・ウエイン=バットマンとの対比、人間性が完全欠落しており迷いなく破壊活動を行使する。ジョーカーというヒールの醍醐味は、これに尽きる。
 ヒールが過去においてどのような不運を経てやさぐれて、いかにして極悪人となったかなど話し出されても誰も興味を持たない。ましてリアル誕生秘話など、ヒールのファンは誰も知りたいとは思わない。
 やはりこの映画は「JOKER」と名づけてはいけなかったのだ。

G馬場の肝いりだったデビュー前の天龍源一郎


 昭和52年天龍源一郎選手(当時天竜源一郎)は、6月11日全日本プロレスデビュー戦を目前に控え半年間のアメリカ修行を終えようとしていた。

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