[ファイトクラブ]訃報の2018年-MSG不入り-Queen-Jジョーンズ騒動-年末年始展望

[週刊ファイト1月3-10日合併号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼訃報の2018年-MSG不入り-Queen-Jジョーンズ騒動-年末年始展望
 タダシ☆タナカ+シュート活字委員会編
・欧州悪役ジャック・ラサルテス90歳逝く!1978年のアントニオ猪木
・WWEハウスショーMSG11,900人不入りもメイン女子ロンダという快挙
・セクシー派マンディ・ローズの売り出し計画だが・・・
・老衰ビンスと年間最高番組NXT!♪Don’t Stop Me Now映画QUEEN
・UFCジョン・ジョーンズのせいで大会がラスベガスからLAに移動だが
・いよいよRIZIN!1・4東京ドーム!TV東京ONE毎週:年末年始展望


―― 今週号にはヤマモ山本雅俊さんと、ケン・片谷の『鷹の爪大賞』が収録されています。安威川敏樹のMVPがカイリ・セインで、ヤマモさんがアスカというのは本誌らしくて結構なことなんですが、あらためて訃報が多かった2018年というのがあります。

オフレコ 片谷さんの記事と同じく、亜利弥’さん、Rayさんとは個人的な交流もあったから辛かったなぁ。ダイナマイト・キッドは、学生プロレスの隆盛を筆頭にやる側に与えた影響力は何度強調しても足りないし・・・。

―― そしてジャック・ラサルテスさんが12月13日に亡くなっています。90歳なんで長寿を全うしたから若くしての訃報とは違うのですぐには取り上げなかったのですが、昭和プロレスから見ている読者のためには取り上げないわけにはいきません。大物ではありました。

オフレコ 年末の年間回顧だからというのはあるね。フランス系のリングネームだけど、実際はスイス人。高慢なヒールとして欧州では人気絶大。あの一か所でずっとやる方式のドイツのトーナメントとかでは、ホースト・ホフマンと並んで優勝の常連だった。

―― 国際プロレスで来日してますが、僕には若すぎて記憶ありません。資料によれば、ミレ・ツルノから英国のロビー・ブルックサイドまで、彼がコーチしたレスラーは数知れずとのこと。ブルックサイドの娘がWWEに出ているのは、現在彼がNXTのビギナー・クラスの先生だからというのがあります。つまり、ラサルテスからしたら、今は孫の世代が試合してるんで・・・。
ローラン・ボックがプロモーターとして”キラー猪木”を呼んだ、興行的には失敗に終わったサーキットで試合したことくらいしか。

オフレコ その猪木の1978年11月のドイツ遠征、地獄の墓堀人ローラン・ボックの「シュトゥットガルトの惨劇」だけがテレビ放送され、それまで見ていたプロレスとは異質の印象があったもんだから伝説が独り歩きしたんだけど・・・

―― いつも言っている「ファンタジー活字の文献はあてにならない」ですね。

オフレコ 僕が1979-80年にやっていたWRESTLING DIGESTという同人誌には、はっきりと「猪木はウィルフレッド・ディートリッヒにもラサルテスにも負けている。日本で報道されたサーキットの戦歴は、新間(寿)さんがマスコミ用にねつ造したものだ」と大書してある。
さすがにドイツに行ったわけではないけど、1979年夏に英国でデール・マーチン・プロモーションを現場で見ているし、資料も入手していたから。

―― 元祖シュート活字ですね。活字が残っている比較では、英語のよりも先だと今では証明可能です。

オフレコ ファンあがりの記者ではない、学生プロレスの作る側をやっている実務経験者によるインサイダー目線での試合分析と論評やから。間違いなく世界最初だと自負できる。
どっかの研究家のファンが作った戦歴記録とか資料に間違いもあれば、記憶違いもある。その研究家にせよ、全部を見た訳ではないんだから、当時のプロレスの戦歴とかはねつ造天国やった。

―― つい直近でも、シャーロット・フレアーが2選手を連続して簡単に片づけてというのがSmackDownであったんですけど、ひとつは反則だから、記録上はシャーロットの負けなんです。でも、いったい誰がそんなことを言うのかという。ぼ~っと見てたら、シャーロットの二連勝と書いてしまって責められない。チコちゃんに叱られました(笑)。

オフレコ だいたい、猪木のパキスタン遠征にせよ、例のアクラム・ペールワン戦、ケツを相談できないままリングに上がっちゃったから、新婚旅行の倍賞美津子さんが「早く終わらせろ!」と合図するんで、結局は腕折りになっちゃったというのが真相であって、いったいどこがガチ試合なのかという。ケツはともかく、普通の試合をアドリブでやっているだけなのに、伝説だけが誇張されてしまっている。

―― マスコミには内緒で二度目のカラチ遠征ではちゃんと猪木がジョブしているのに、それは報道しないことになったとか知ってます。インターネットのなかった時代に、プロレスの戦歴記録になんの意味があるのかという。

オフレコ それを言い出だせばキリがない。先日も、本誌のジョージ・ナポリターノ記者とのやりとりで、猪木が徳島でボブ・バックランドに勝ってWWFのベルトを巻いたことは、本国では誰も知らないとか、そういうのだけで一冊の本になる。

―― ルー・テーズの「936連勝」だって、あれは日本の記録マニアがいろんな文献から計算した日本だけの数字であって、なんと本人の英語版の自伝には、いかにプロレスの記録をねつ造して次の地区のプロモーターに売り込むかの手口まで活字になっているという、有名な話があります。日本語版の『鉄人』には、そういうケーフェイ箇所は全部カットなんですけど(笑)。

オフレコ さかのぼれば、力道山の米国遠征の試合記録というのも、大半が袖の下を出して現地の日系新聞に書かせたねつ造した試合結果であって、実際はそんなにたくさん試合なんかしてないとか、この話をやりだしたらキリがない。プロレスの試合結果なんか、どうでもイイじゃないかと思うんだが。

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ルー・テーズと英国のウェイン・ブリッジ

―― 日本のファンはファンタジーが好きなんですよ。テーズさん本人もそう分析してるんですけどね。

オフレコ 最も肝心なのは、ビジネスとしてプロモーターのボックは、かのサーキット中にもっとも多くジャック・ラサルテス戦を組んだという事実。現地プロモーターが「寝てくれ」と言ったら、さからったりはしないよ。
別に猪木が記録上で勝とうか負けようが、それでお客が入ったら勝ちというのがプロレスというビジネスなんだから。ラサルテスは凄かったというのが重要なの。

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