[週刊ファイト9月13日号]収録　[ファイトクラブ]公開中

▼WWEが大阪にやって来た！ 浪華の夏を締めくくるWWE Live Osaka
　by 安威川敏樹
・年にたった1日だけ大阪で行われるWWE
・第1試合から早くもヒートアップ
・第2試合では戸澤陽が登場、『サザエさん状態』に!?
・第3試合がメイン・エベント!?　カイリ・セインの凱旋試合
・中盤も見所が続々。観客を飽きさせないWWE
・メイン・エベントは不完全燃焼の反則決着も、ザ・シールドが真骨頂を魅せる！

　夏休みも終わりの8月31日、大阪・難波のエディオンアリーナ大阪（大阪府立体育会館）でWWEの日本公演が行われた。今年のWWEによる日本公演は、6月29,30日に両国国技館で行われた東京公演に次いで2度目である。

　東京は2回公演だったが大阪は1回公演。しかも年にたった1日だけWWEが浪華の街にやって来るとあって、開場時間前からエディオンアリーナ大阪の周りは人だかりで熱気ムンムンだった。

▼開場時間前、大勢の人で溢れるエディオンアリーナ大阪

第1試合から早くもヒートアップ

　午後6時に開場し、試合開始は午後7時から。もうファンも待ちきれないといった様子。
　そしていよいよ、WWEが始まった！　最初に登場してきたのは、元NXT及びUS王者のボビー・ルード。元チャンピオンがいきなり第1試合に登場とあって、浪華のファンはスタートからヒートアップ。大歓声が沸き起こった。

　プロレス黄金時代と言われた1980年代、隆盛を誇った新日本プロレスでさえ、第1試合の頃は客がまばらで客席はシーンと静まり返っていた。この頃に初来日した無名外国人レスラーは前座試合をやらされたが、いくら悪役として客から憎まれようとしても反応が全くないので、これではクビになると本気で心配していたそうだ。しかし、来日を重ねるたびに日本のファン気質がわかってきて、前座試合では盛り上がらなくてもいいということを理解するようになる。
　だが、WWEに前座試合はない。しかも、ここは日本にもかかわらず、ファンは第1試合から熱くなっている。それだけ日本のファンも変わったということか。

　ルードの対戦相手はジンダー・マハル。ルードとは因縁の相手だ。結果は回転エビ固めによりルードのフォール勝ちとなったが、オードブルにしては濃すぎる内容である。

▼第1試合にボビー・ルードが登場

第2試合では戸澤陽が登場！

　第2試合では、今大会の目玉でもある戸澤陽がリングに上がった。戸澤にとって、ここ大阪は想い出の地でもある。
　DRAGON GATEに所属していた2年前、2016年11月3日にエディオンアリーナ大阪でドラゲーの卒業試合を行った。そして、その1ヵ月後の同年12月3日には、やはりエディオンアリーナ大阪でNXTライブに登場したのだ。
　試合前に戸澤は「大阪は前の団体（ドラゲー）での最後の試合を行って、そのときと同じ会場なので、（エディオンアリーナ大阪は）思い入れのある会場です」と語っていた。

　今回はトリプルスレット形式WWEクルーザー級王座戦に挑戦。要するに三つ巴戦で、自分が負けなくても、2人のうちのどちらかが負ければ（勝てば）負けになってしまうという、実に理不尽な試合形式である。
　チャンピオンはセドリック・アレクサンダー、もう1人の挑戦者はドリュー・グラックだ。

　なにしろ、自分が負けなくても他の奴が負けたら終わりである。フォールの体勢に入ると、もう1人はカットする。しかし、さっきの友は今の敵。今度は助けた相手と闘うのだからややこしい。

▼サザエさん一家のように大の男3人が川の字。これぞトリプルスレットならではの光景

▼戸澤がグラックに、アレクサンダーを痛めつけるための道具にされてしまう

　結局、戸澤がダウンしている間に、アレクサンダーがランバー・チェックからグラックを押さえ込み、チャンピオン防衛。戸澤は悲願の戴冠はならなかった。
　しかし、戸澤は王者アレクサンダーの勝利を称え、2人はガッチリと握手をした。

▼お互いの健闘を称え合う、アレクサンダーと戸澤

第3試合がメイン・エベント!?　カイリ・セインの凱旋試合

　第3試合で、早くもメイン級のゴールデン・カードとなった。戸澤と共に凱旋試合となる、カイリ・セインの登場である。
　カイリは来日直前の8月18日、シェイナ・ベイズラーを破ってNXT女子王座に君臨したばかり。試合前にカイリは「8人しか巻いたことのない、このチャンピオン・ベルトが一番のお土産」と語っていた。