[ファイトクラブ]コミックマーケットとG1 CLIMAXの深刻な2020年問題

[週刊ファイト8月23日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼コミックマーケットとG1CLIMAXの深刻な2020年問題
 Photo & Text by こもとめいこ♂
・正当派ストロングスタイルのコミックマーケット94レポート
・ゴールデン☆ラヴァーズとケイオスが人気…そして同人誌でYOSHI-HASHIを再評価
・何故ビッグサイトは使えなくなるのか?理由をズバッと断言
・緊急提言!! 2020年に日本は概念的に沈没する!?


 新日本プロレスのG1 GCLIMAX武道館3連戦と日程的に丸被りとなった8月10日〜12日、日本が世界に誇る巨大イベントの同人誌即売会、『夏コミ』こと『コミックマーケット94』が東京ビッグサイトで行われた。
 3日間累計53万人(=主催者発表)が参加。約34900(3日間累計)のサークルと165社(3日間通し)の企業が出展し、同人誌の頒布やコスプレなど、趣味の世界で様々な表現が行われた。

3日目館内の模様

 折からの酷暑で、3分に1人が熱中症で救護室に運ばれた。と、まことしやかに噂される過酷な環境だったが、救急搬送される様な重篤な患者は発生せずに3日間を乗り切った。近年、暑さ対策がメディアや政府から叫ばれる様になったが、そのはるか以前から過酷な環境に対応し、対処法をカタログなどを通じて啓蒙してきた、主催のコミックマーケット準備会とスタッフ、参加者の不断の努力の賜物といえるし、他の催し物は大いに参考にすべきであろう。

表面だけでなく、中身までホントに冷えてたポカリスエット



先日温泉街の衰退ぶりをレポートした福島県会津芦ノ牧温泉駅も出展

 企業スペースに出展したブシロードは現在主力の『バンドリ! 』は同日程でイベントを秋葉原で行っており、『カードファイト!! ヴァンガード』と『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』に注力して展開。出演キャストによるお渡し会などで盛り上げたが、『レヴュー~』の方は完売商品はなく、売り上げ的には厳しかった様だ。



『レヴュースタァライト』を地上波放送中のTBSブースも映像でアピールしたが…

 三森すずこがW主演、作品の柱なだけに、関係者としてはオカダ・カズチカへの恨み節の1つも言いたいところではあろう。

 さて、コミックマーケットの主役である同人誌、プロレス・格闘技関係は2日目に配置された。以下、当日買い集めた週刊ファイト読者向け同人誌をレビューさせて頂く。
 なお、前回同様、一般の商業誌と違って同人誌という性質上、直接掲載許可を頂いたもののみを紹介させて頂いているので、予めご了承頂きたい。また、事前にチェックしたところは全て回ったつもりだったが、混雑しているイベントの性質上、回れなかったサークルもあったかと思う。こちらもご了承頂きたい。 

■ コミックマーケット94
日時:8月10日〜12日 開始10:00
会場:東京国際展示場(東京ビッグサイト) 東1~8ホール+西1~4ホール
参加者:53万人(=主催者発表)

◎『Road to ぷ女子』

 お馴染み、漫画家永野あかね先生の『Road to ぷ女子』夏コミに合わせ、最初の一冊(覚醒編)のみ普及版として再販された。永野あかね先生がプ女子になったキッカケを知り、「な、なるほど! 」と唸らされる。もう1冊の新刊は、『接触編the third volume』。待望久しい『ヨシヒコ』との僥倖で爆笑。既刊と合わせての『G1セット』で購入。HEAT UPのフライヤー入り。同日のG1公式戦ゴールデン☆ラヴァーズ対決を観に行けない事への魂の慟哭を叩きつけたペーパーに思わずもらい泣き。

永野あかね先生(左)とcocoroさん(右)

◎『TAKA&タイチ興行』などのイラストでもお馴染みサークル『マツキヨ! 』の新刊『GOLDEN☆LOVERS BOOK』と『PROWRESTLING GO! GO! 6』

 プロレス者なら思わず笑ってしまう内容で、かつ良く知らない人にも入門書として楽しめる。同人誌が良く解らない人にもオススメできる良書。可愛い手提げ袋とYOSHI-HASHIのミニシールがオマケで付いてくるのも嬉しい。
 松さんのYOSHI-HASHIへ向けられた優しいまなざしは、もしかして本人よりもYOSHI-HASHIの事を知っているんではないかと唸らされる。YOSHI-HASHIに対してぞんざいな扱いをしてきた我が身を反省させられた。
※本誌編集部では
「YOSHI-HASHIって、栗原あゆみの旦那の?(それ以外思い浮かばないのに)マンガがあるの!?」
という驚きがあり(失礼)、今回、ファイトクラブ版では敬意を払って中邑とのツーショットをTOP画像に使用した。

栗原あゆみ

『GOLDEN☆LOVERS BOOK』は奥付に「ご配慮をお願いします」とシールが貼られていたので、自粛…

サークル『めぇ~てる』mesomiさんの『SF世界で百合少女たちがプロレスにであう話』

 前回はEVILを題材にしていたmesomiさんの、週刊ファイトI・Y初代編集長のプロレスSFを思い起こさせる作品。オトナの手の入らない感性のほとばしりを本として読めるのも同人誌の醍醐味。次回は「女子プロ観戦レポ」になりそうとのこと。

◎サークル『地獄の墓堀人り』ホズンさんのWWEパロディギャグ『墓堀り人がやってくる 総集編-BIG EVILー』

 既刊10冊分をまとめただけでなく、それぞれに思い出が書き下ろされている。アンダーテイカーとWWEへの熱い想いとそれ故にほとばしるハイブリッドなギャグが秀逸。おまけペーパーのWWE6・30日本公演レポート2ページも面白い。

サークル『カンバス』やまさんの『武道少女四』オリジナルキャラクターのイラスト集。

 フルカラーで、ゲームの原画集と見紛うクォリティ。強い女子への羨望をちょっとフェティッシュな味付けで表現している。

◎サークル『筋肉どっすん』の『推し変は禁止です! 』『HOTCH☆POTCH3』は、内容に触れるのはNGとの事で、表紙のみ掲載。

◎最後にサークル名もNGの2サークルさんの表紙のみ掲載させて頂く。

 次回冬のコミックマーケットは12月29日(土)~31日(月) 10:00~16:00に同所で開催予定。なお、来年2019年は、最も面積の広い東展示棟が改装で使用できないため、現在建設中の南展示棟と、同じく遠く離れたりんかい線東京テレポート駅付近に建設中の青海展示棟を企業向けに使用しての4日間開催となる。
 これは2020年東京五輪・パラ五輪開催に向けた準備の為で、東展示棟は2019年4月~2020年11月、西展示棟も2020年5月~9月は利用できない。コミックマーケットに限らず、東京ビッグサイトで年300ほど行われていた展示会の開催が20ヶ月間制限される事になる。展示会が行えなくなる事で、1兆円以上の経済的損失が出るとして中小企業団体が抗議を行っているが、東京都は頑としてビッグサイトの国際放送センター、メディアセンターとしての利用を曲げていない。 
 また、五輪・パラ五輪開催を睨んでの改修はビッグサイトに留まらず、ボクシング会場の両国国技館は今年から改修に入り、相撲関連以外への貸し出しを制限しているが(今年のG1が武道館に移ったのはこの為)、五輪で柔道・空手、パラ五輪で柔道の会場となる武道館は2019年9月から1年間使用できなくなる。
 このため、既に首都圏では深刻なイベント会場不足が始まっており、武蔵野の森など郊外での開催が増えているのはご存知の通り。

現在工事中の南展示棟

 コミックマーケットを主催する準備会も参加者も、招致の段階から開催に影響が出ることを理由に反対してきたが、果たしてどれだけの国民が、2020年五輪・パラ五輪開催の1年以上も前から会場不足で経済全体に悪影響があることを知っていただろうか。
 そもそも2020年東京は招致の段階から嘘で塗り固められてきた。東北3県に甚大な被害をもたらした東日本大震災からの復興を掲げている事がそもそも噴飯モノ。また、長野県が冬季五輪の負債に苦しんだ事で、ハコモノ施設建設の為の五輪になる事を懸念する人も多かったが、当時の都知事だった猪瀬直樹は「それは誤解で、国立競技場の建設以外は既存施設を活用する、他に例をみないコンパクトな五輪だ」と吹聴。その国立競技場は世界的建築デザイナーのザハ・ハディド案で招致に成功したが、予算に見合わないと難癖をつけて撤回、一方で新規施設の建設ラッシュで開催関連費用は4倍以上に膨れあがって3兆円超という高額となり、IOCから今後の開催に影響が出るからと圧縮を言い渡される始末。開催時期の8月も、北米の放送事情に合わせたものだが、「温暖で競技に適している」と、デタラメを言っている。
 また、既に平昌冬期五輪が決定した後で冬⇒夏と2大会連続でアジアでの開催は無理筋との下馬評もあったが、それを引っ繰り返した要因として贈賄疑惑も取り沙汰されている。

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