ティト・オーティズ,Sボナーに判定勝利Mマヌーフ,JシリングにTKO負け『ベラトール 131』+『Legacy FC 37』

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 2014年11月15日にカルフォルニア州サンディエゴで『ベラトール 131』が開催された。
 今大会はベラトール過去最大の大会として、メインにはあのUFC中興の祖であるティト・オーティズと、UFCを現在の様に発展させた立役者の一人である“アメリカン・サイコ”ステファン・ボナーという因縁の一騎打ちとなった。UFCで引退後、ベラトールに電撃移籍したティト・オーティズを追ってベラトール移籍したボナー。「ジ・アルティメット・ファイター」シーズン1での当時、カーウソン・グレイシーの弟子だったボナーとフォレスト・グリフィンとの決勝戦が(当時UFCを放送しており、現在はベラトールを放送している)スパイクTVに認められ、TUFがシリーズ化。これとホイス・グレイシーのUFC復帰、(WWE王者であった)ブロック・レスナーのUFC参戦、(TUFのコーチだった)チャック・リデルのブレイクが重なり相乗効果でUFCが恐ろしい程の急成長を遂げた為、その立役者の一人であるボナーは、その実績でUFC殿堂入りしている。選手としては引退していたが、「MMA界の老害であるティト・オーティズを引退させる」と、ベラトールで電撃復帰をする事になった。

 ボナーは、「ティトほど傲慢でエゴの塊はいない。ティトに利用され裏切られた人間がどれだけいるのか?ジェナ・ジェイムソン(全米で絶大な人気を誇ったポルノスターでティトと結婚し、その後、お互いにDVを訴え泥沼の末、離婚している)も被害者だ」と、ティトが一番触れて欲しくない家庭・プライベート話題で挑発している。当然、これでティトもボナーに対して憎しみが爆発。近年のMMAでは最大の因縁マッチとなった。

 ラッパーに先導され、狂気を宿して入場したボナーに対し、少女合唱団に送られ、いつも通り、星条旗とメキシコ国旗を掲げて入場したティト。試合前から壮絶なにらみ合いだった。試合は、両者、壮絶な殴り合う打撃戦となり、1Rにティトがすぐにテイクダウンをするも、ボナーも立ち上がる。ティトの肘でボナーが出血するも、その後もボナーはティトのテイクダウンをしのぎ打撃戦にもっていく。しかし、ティトは1R、2R終盤にテイクダウンを奪い着実にポイントを稼いでいく。そして3R序盤にもテイクダウンを奪ったティトだが、ボナーは意地で立ち上がり、最後まで殴り合いを見せた。試合終了と同時に、両者、手を上げて勝利をアピール。ティトは、ボナーに中指を立てて更に挑発。判定は、2-1のスプリットでティト。敗れたボナーはショックで倒れこむと、ティトは更に水をかけて、罵倒。試合が終わってもノーサイドとはならず、未だに憎しみあっているようだ。

 エディ・アルバレスがUFCに移籍した為、空位となったライト級王座決定戦が、暫定王者のウィル・ブルックスと前王者のマイケル・チャンドラーで争われた。前回、番狂わせでブルックスが勝利したカードのリマッチで、それまでライト級絶対王者として君臨していたチャンドラーとしては、前回は急な対戦相手変更で準備もモチベーションも維持出来なかったと言えるが、今回はそうはいかない。逆にブルックスは前回がまぐれではない事を証明する意味でも勝ちたい。共に負けられない一戦となる。しかし、内容は大変な物議を呼ぶ結果となった。前回と違い積極的に打撃を打ちこむチャンドラー、2Rにはチャンドラーの膝蹴りがブルックスの金的に当たるアクシデントがあったものの、その後もチャンドラーが果敢に攻める。もちろん、ブルックスも負けておらずラウンドが進むにつれ盛り返してくるが、問題の4R、チャンドラーが投げたところ、すぐに立ち上がろうとしたブルックスがパンチを入れる。これがサミングだったのかチャンドラーはアピールしたが、試合はストップされず、そこにブルックスが、パンチラッシュ。無防備状態だったチャンドラーは滅多打ちにされ、スタンディングダウンをとられて、レフェリーがストップし、なんとブルックスがTKO勝利。ストップをとるが微妙なタイミングだったのだが、チャンドラーの抗議も虚しく、ブルックスが新王者と発表された。チャンドラーは試合後にVTRを確認し、サミングではなかったとコメント、どうして自分がストップをアピールする行動をしたのかわからないとしながら、勝者、ブルックスの勝利を称えた。

 キックとMMAを股にかけて戦い、日本では桜庭和志、三崎和雄を葬って知名度の高いメルヴィン・マヌーフは、同じくキックベースでGLORYでも実績のあるジョー・シリングと対戦。当然、派手な殴り合いが期待されて組まれたカードだ。GLORYもスパイクTVで放送している為、同じ格闘技番組で協力するという事もある。試合は期待通りスタンドでの展開となった。リッチマンのローブローにマヌーフがラッシュで応酬。押し倒すようにグランドで上になったマヌーフがパウンド連打で1Rを優位に進めた。しかし、2R、同じく猛獣の様に突進するマヌーフに、リッチマンがカウンターで右左とワンツー。これがマヌーフをとらえ、マヌーフは大の字に失神ダウン。すぐさまレフェリーがストップしリッチマンが衝撃的なKO勝利となった。迫力満点のKOシーンは何度もリプレイされ、期待に応えた形になったようだ。

 UFCでアジア枠(アメリカ国籍だがベトナム系なので)で活躍し、知名度の高いナム・ファンがベラトール初参戦試合も組まれた。対戦相手は、北米ローカル大会で実績を積み2012年からベラトールで活躍する生え抜きマイク・リッチマン。しかし、試合は、一方的だった。すぐにナム・ファンから左ストレートでダウンを奪ったリッチマンは、なんとか立ち上がったナム・ファンにたたみかける様に金網際に追い込みラッシュ。リッチマンの頭を押さえてのアッパーを食らったナム・ファンは崩れ落ち、追撃のパウンドをレフェリーがストップしてリッチマンがビッグネーム、ナム・ファンを葬って勝利をアピールした。

 スパイクTVの放送ではオープニングから、スパイクTVで放送していたプロレス番組TNAインパクト・レスリングでプロレスデビューさせるほど、猛プッシュして知名度をあげたキング・モーを登場させた。ジョー・ヴィデポ(UFC参戦経験もある現在ベラトールで3連勝中)との対戦で、いきなり重量級を(テレビの)オープニングに使い、それも派手な演出で入場させるという力の入れているのがわかる。試合は、スタンドの打撃勝負から、モーが弾丸タックル。そのままグランドで鉄鎚を落とし続けるモー。ヴィデポも足を使い立ち上がろうとするも、モーが逃がさず、グランドで上を奪い続けて試合が進む。ヴィデポは顔面は腫れあがり、3Rに苦し紛れのタックルを仕掛けるも、モーが潰して、グランドでバックを奪い殴り続ける。敗者のポジション、亀の体勢になり一方的に殴られるヴィデポを見てレフェリーがストップ。モーが完勝、ケージの中で泳ぐ真似をして勝利をアピールした。

 また、来年の大会でPRIDEでも活躍したジェームス・トンプソン対元WWEスーパースターで元TNA世界ヘビー級王者のボビー・ラシュリーの再戦(過去にインドのメジャーMMA大会だったSFLで対戦している。トンプソンが勝利)という究極のメガファイトなど豪華なカードが決定した事が発表されたほか、元DSE代表の榊原信行氏も会場で観戦していた。ベラトール創始者で競技志向の強いビヨン・レブニーが去り、スパイクTV(バイアコム)主導となり、大きく変化していきそうだ。こうしたベラトールの裏事情は、『マット界舞台裏』看板連載であり、他媒体では読めない電子書籍の真骨頂と言われる谷川貞治の『プチ格闘技通信』第8回マット界舞台裏8月7日号 僕のDNAが刻み込まれてるスコット・コーカー復権 『ベラトール』で復活とはしぶといね!に掲載されているので、是非、ご確認下さい。

ベラトール オフィシャルホームページ
スパイクTV

■ ベラトール 131
日時:2014年11月15日
場所:アメリカ・カルフォルニア州サンディエゴ

<ライトヘビー級>
○ティト・オーティズ
 判定 2-1
●ステファン・ボナー

<ライト級王座決定戦>
○ウィル・ブルックス
 4R 3分48秒 TKO
●マイケル・チャンドラー
※ブルックスが新王者

<ミドル級>
○ジョー・シリング
 2R 0分32秒 TKO
●メルヴィン・マヌーフ

<キャッチウェイト143ポンド契約>
○マイク・リッチマン
 1R 0分40秒 TKO
●ナム・ファン

<ライトヘビー級>
○キング・モー
 3R 0分39秒 TKO
●ジョー・ヴィデポ

 2014年11月14日にテキサス州ヒューストンで『Legacy FC 37: Garcia vs. Pineda』が開催された。
メインではダニエル・ピネダとレオナルド・ガルシアという元UFCファイター同士の対戦となった。 共に、レガシーFCで実績を積み、UFC復帰を目指して負けられない同士で、特にガルシアは、ベラトール、WSOF、ONE FCからのオファーもあったが、(メジャー団体では勝利を重ねても、契約で縛られUFCに復帰出来ない為)それを断り、(規模が違うのでUFCからオファーがあれば送り出してくれる)レガシーFCと契約したという経緯がある。しかし、このレガシーFCで王者になった選手はUFCからのオファーが来る可能性が高いものの、ガルシアの様に一度リリースした選手や、年齢が高い選手はただ王者になるだけではなく、更に連勝しないとオファーが来ない為、負けられない状況だ。

 しかし、試合は、なんとピネダが、グランドで上をとってパウンド、そしてアームロックで一本勝ち。わずか2分弱の秒殺劇となり、知名度の高いガルシアを下したピネダは興奮してインタビューに応えた。そして、ガルシアは自分の限界を悟り、試合後に引退を宣言した。

■ Legacy FC 37: Garcia vs. Pineda
日時:2014年11月14日
場所:アメリカ・テキサス州ヒューストン

<メインイベント ライト級>
○ダニエル・ピネダ
 1R 1分54秒 キムラアームロック
●レオナルド・ガルシア

電子書籍版はマット界舞台裏11月27日号巌流島マクマホンSrドリー全日藤波丸藤REINA新日キックTopKingに掲載されました。

世界の格闘技界の情報を全て知る男、谷川貞治氏が『マット界舞台裏』で連載!これが電子書籍だ!
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【「マット界舞台裏」看板の谷川貞治連載】
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▼谷川貞治の『プチ格闘技通信』第8回
 僕のDNAが刻み込まれてるスコット・コーカー復権
 『ベラトール』で復活とはしぶといね!
谷川貞治の『プチ格闘技通信』は元『ストライクフォース』プロデューサーのスコット・コーカーに焦点を当てた。今やUFCの独占市場と呼ばれるMMAの、ナンバー2団体『ベラトール』のプロデューサーに就任するらしいからだ。スコットと言えば、谷川氏も付き合いが長い元K-1 USAの代表。最初スコットを連れてきたのは、のちにミルコのマネージャーとなった今井賢氏であった。
【ベラトールアーカイブ】
マット界舞台裏9月18日号ボビー・ラシュリー一本勝ち!9・5『ベラトール 123』
マット界舞台裏9月25日号エマニュエル・ニュートン王座防衛!9・12『ベラトール 124』
マット界舞台裏10月2日号メルヴィン・マヌーフ豪快KO勝利!9・19『ベラトール 125』
マット界舞台裏10月9日号ブランドン・ホージー新王者9・26『ベラトール 126』
マット界舞台裏10月16日号Dストラウス秒殺KO勝ち!10・3『ベラトール 127』
マット界舞台裏10月23日号ジョー・ウォーレン新王者!10・10『ベラトール 128』
マット界舞台裏10月30日号Pブラッドリー見事に判定勝ち!10・17『ベラトール 129』
マット界舞台裏11月6日号Bラシュリー圧倒的強さで快勝10・24『ベラトール 130』