いったんは新興格闘技プロモーション「M−1グローバル」の所属と発表されながら、ロシア側と米国マネージメントの意見の食い違いから、旗揚げ大会すら開催しないまま離脱した最強皇帝、エメリヤーエンコ・ヒョードルの米国再登場が確実となった。
7月19日にテキサス州ダラスで旗揚げが予定される新興MMA大会、『アフリクション』(Affliction)で元UFCヘビー級王者、ティム・シルビアとの対戦が決定。この『アフリクション』は同名の大手アパレルメーカー主催で北米MMAブームに乗って旗揚げされる大会だ。
先日も自社のCMにエメリヤーエンコ・ヒョードルとランディー・クートゥアを起用、夢の2ショットが実現して格闘技ファンにも大きな話題となった。この流れでヒョードルvsクートゥアの黄金対決が期待されている。鉄人クートゥアによる「自分より背が高いと思い込んでいた」発言など、CM撮影とはいえマニアはこぼれ話に大興奮であった。
さて、ヒョードルは日本でも有名だが、対戦相手のティム・シルビアは日本では馴染みが無い。2メートルを越すキックボクシングベースの大型選手だが、近年はディフェンシブな戦法が多く、本国アメリカでもつまらない試合をすると不人気な選手だ。
先日、自分のHPで重大発表があると告示し、それは自身のUFC離脱だったのだが、日本ではほとんどニュースになっていないのが現状だ。
しかし、ここ最近、北米ではにわかに注目を集めているのをご存知だろうか?
その理由は試合では無く、同じチーム所属であり、元UFCウェルター級王者、マット・ヒューズの自伝本にある。
ヒューズの自伝本『Made in America』はアメリカでもかなりベストセラーになっている。内容は幼年期からの悪童ぶりを赤裸々に告白するもので、かなり誇張されているとも言われているが、イリノイ州農夫の成功物語は北米のファンの間では大きな反響を呼んでいる。
格闘技マニア的には『アブダビコンバット2000』で、チームメイトのジェレミー・ホーンとワーク試合を行ったことなど興味深い内容が多いのだが、その中に、同じチームメイトのシルビアに対してもかなり酷いいじめを行い、それを許してくれと懇願してきたシルビアを冷たく突き放すというくだりがあるのだ。
あれだけ身体も大きいのに、小さいヒューズにいじめを受けて無抵抗で逆に「いじめをやめてくれ、友達になってくれ」と懇願していたギャップに同情が集まり、それまで強いけどつまらない選手という評価だったシルビア株が格闘技マニアの間で急上昇している。
そうなると、ヒョードルの06年10月PRIDEラスベガス大会以来の北米マット登場は、今、話題の旬な選手との対戦と言えるのであろう。