王座決定戦を含み3大タイトルマッチを組み勝負に出たDEEP☆KICK 78

 王座決定戦を含み3大タイトルマッチを組み勝負に出た『DEEP☆KICK 78』(6月7日・テクスピア大阪)。案の定、激しいデッドヒートとなった第1試合から場内は大興奮。終わってみれば、ふたりの新チャンピオンが誕生し、吉岡龍輝が安定したチャンピオンの片鱗を見せつけた大会となった。次戦は7月5日、豊中市・176BOXで開催の「DEEP☆KICK ZERO 30/31」が予定されている。

(文・布施鋼治/写真・石本文子)

ダブルメインイベント2 吉岡龍輝 vs. 原田闘鬼

 「今回はメインの仕事をしっかりとできたと思うけど、みなさんどうですか?」

 2度目の王座防衛を果たした吉岡龍輝(及川道場)のマイクは力強かった。挑戦者の原田闘鬼(心将塾)から1Rスリーノックダウンを奪うというワンサイドゲームを魅せたのだから無理もない。

 1Rから王者と挑戦者の気持ちが真正面からぶつかり合うような一戦だった。吉岡はワンツーを打ち込みながらチャンスをうかがう。その刹那、強烈な左から連打をフォローしてダウンを奪う。なんとか立ち上がってきた原田だったが、明らかにダメージは残っている。ここで吉岡は連打で追い打ちをかけ、2度目のダウンを奪う。それから左から右の連打を浴びせ、「桃太郎に復讐を果たすため鬼ヶ島から乗り込んできた戦う鬼」を退治した。

 冒頭のマイクアピール通り、DEEP☆KICKの王者の中でも吉岡は飛び抜けたポテンシャルを魅せたといえるだろう。

 「煽りVでも言ったけど、DEEP☆KICKのベルトの中でも僕が持っている-63kgのベルトのレベルが一番高い」

 吉岡は同日別の大会で激闘を繰り広げたジムメイトを慮った。

 「今日は名古屋のHOOST CUPで同門の近藤大晟も試合をして2Rにしっかり倒して勝ってくれました。今日はふたりで勝てて良かった」

 前戦は今年3月、タイで開催の『ONE Friday Fights 145』でのアーサー・クロップ戦だったので、吉岡にとって今回の防衛戦は復帰戦でもあった。

 「ONEには借りはあるので(アーサーに判定負け)、その借りを返したい。今日の試合を見てもらったらわかると思うけど、RISEでももっと上位ランカーに挑んでいきたい(現在吉岡はライト級7位)。全然僕のレベルは不足していないと思う」

 及川道場のシャイニングドラゴンは、さらに上のステージでも昇り龍になることができるか。

ダブルメインイベント1 戦闘員1号 vs. 堀井海飛

 勝負のキーポイントは“距離”だった。王者・戦闘員1号(SHOCKER☆EXARES)に堀井海飛(空手道柔拳)が挑戦したDEEP☆KICK-57.5kgタイトルマッチは、3-0の判定で堀井が悪の軍団を蹴散らかした。

 DEEP☆KICKでの勝利は全てKOで決めている戦闘員1号だったが、初防衛戦となるこの日は1Rから手が出ない。途中、セコンドから「早よ、行け。捕まえろ」というゲキが飛んでいたほどだ。いったいなぜ戦闘員1号は挑戦者を捕獲できなかったのか。

 「いや、もう距離をめっちゃ遠くにしていたからだと思います。逆に僕が中に入ったら、ポンポンチャンピオンのパンチが降ってきたと思う。でも僕が遠い距離に設定して、そこから削っていくという感じにしたので、やりにくかったんだと思います」(堀井)

 案の定、堀井は1Rから遠い間合いを保ちながら、アウトとインを散りばめながらローをコツコツと打っていく。

 「やっぱりリーチもたっぱも全然違うので、(身長も低く、リーチも短い)僕のワンツーなんて当たるわけがない。それで蹴りをバチバチ出していき、相手に『あっ、これは余裕やな』と思わせ、まずポイントをとっていこうと思いました」

 作戦はドンピシャリだった。続く2R、戦闘員1号はようやくワンツーを繰り出していくが、堀井は組んだらヒザ、そしてプッシュしたらインローのダブルなど、決してスキを与えない。時間が経つにつれ、試合の流れは堀井のものになっていった。

 3R、戦闘員1号は必死に距離を詰め反撃しようとするが、一度設定された距離はなかなか解除できない。結局、このラウンドも堀井が離れてはロー、近づくとヒザ蹴りでリズムを掴んでいた。判定はいわずもがな。王者は最後まで自分のペースを掴めなかった。

 「ドンピシャリ? まあどうなんですかね。僕からしたら、(試合内容には)あまり満足していないので」

 今後、新王者は57.5kgとともに、古巣の55kgにもUターンして二刀流で闘っていくことを宣言した。

 「正直、55kgにも未練はあるので。K-1グループの中にもやりたい人はいっぱいいるので。意中の人? やっぱり自分が負けている村田(健悟)君ですかね。負けているからこそ一番やりたい」

 DEEP☆KICKの二刀流に注目だ。

 イ~ッ!!(断末魔の叫び声)

セミファイナル 泰生 vs. 林ジャッカル裕人

 「どんなときも支えてくれたお母さんとお父さんのおかげで、これだけ強くなることができました。ホンマいつもありがとう」

 DEEP☆KICK-51kg王座決定トーナメント決勝は戦慄の結末が待ち受けていた。1R2分38秒、泰生(STRING FIGHT LAB)が林ジャッカル裕人(心将塾)をキャンバスに這わせたのだ。

 泰生はまだ16歳。高校を辞め、現在は父親の塗装業を手伝いながら、キックボクシングに懸けている。その情熱はキャリア6戦目での戴冠へと導いた。

 1R開始早々、泰生は力強い右ボディフックをクリーンヒットさせ、場内をどよめかせる。お返しにジャッカルが右ハイを打つと、ヒラリと避ける。その後も右ローで削りながら強いプレスをかけ続け、左をクリーンヒット。この時点でジャッカルの鼻は真っ赤だった。そして相手を青コーナーに押し込むと、痛烈なパンチの連打で先制のダウンを奪う。

 ダウンカウントが進む中、カウント8でファイティングポーズをとったジャッカルだったが、明らかに効いている。とどめとばかりに泰生がヒザ蹴りを打ち込むと、ジャッカルは大の字になった。倒れた直後のサッカーボールキックは余計だったが、泰生の圧勝だった。

 試合後のマイクでは「これが僕なので。これからもっと上のステージに行って強い人をいっぱい倒していくので、僕についてきてください」と力強くアピールした。

 その後、個別に話を聞くと、新王者は「このベルトを獲ったら、階級を上げようと思っていた」と明かした。

 「僕は上の大会、RIZINとかに出たいので、すぐにでも僕の試合を組んでほしい。MMAでもいいので出たい」

 母親がダイエットキックを始めた影響で保育園のときからキックを始めたというから、泰生の格闘技キャリアは10年を超える。

 「16年生きてきて、今日が一番いい日だった」

 200名を超える大応援団からのゲキを背に、次戦ではもっといい日がやってくるか。

第6試合 横山大翔 vs. KING澪斗

 DEEP☆KICK-53kg8位の横山大翔(拳心會館)とランキング入りを目指すKING澪斗(ROYAL KINGS)の一騎討ちは、現役ランカーの横山がノーランカーの澪斗にハッキリとした差を見せつける一戦となった。

 1R、ガードを固めた横山はチャンスと見るや間合いを一気に詰めて右フック。コーナーに澪斗を詰めると、右のボディパンチや右ストレートを追撃する。

 その後はボディに集中砲火。組んでのヒザ蹴りや右ボディアッパーで澪斗のスタミナを削っていく。その後も横山の攻勢は続く。3Rになると右ボディフックの連打でスタンディングダウンを奪う。防戦一方となった澪斗をコーナーに追い詰め、2度目のスタンディングダウンを奪った。

 ジャッジは三者とも30-26で横山を支持。次戦では上位ランカー食いを狙う。

第5試合 山﨑愛琉 vs. チャ・ミンジュ

 4度目の正直だ。過去DEEP☆KICKで3戦3敗と白星のない山﨑愛琉(TEAM TEPPEN)が待望の初白星を飾った。

 韓国からやってきたチャ・ミンジュ(大邱玄風ソルボンジム)は過去にRISEやDEEP☆KICKでも闘っている。パンフレットの写真はメイクばっちりのロングヘアだったが、リングに上がった彼女はベリーショートで化粧っ気はなかった。

 期するものはあったのだろう。山﨑のパンチは体重が乗っており、1Rから右フックをクリーンヒットさせて試合の主導権を握る。ローキックや左のテンカオも効果的だ。

 セコンドから指示を送る那須川会長は、前日のRISEでゲキを送り続けたせいなのか、声が枯れていた。3R、必死にテンカオを中心に反撃を試みようとするミンジュだったが、試合の流れを変えるまでには至らない。

 結局、3-0で山﨑がプロ2勝目を飾った。7月5日、山﨑はミツダマン(ナックルズGYM)とのDEEP☆KICK QUEEN -46kg王座決定トーナメント準決勝が決まっている。

第4試合 山﨑天輔 vs. 大成

 再起を期す山﨑天輔(VALIENTE)とプロ2勝目を狙う大成(Team Free Style)の一騎討ち。ともにサウスポーながら、身長は山﨑の方が7cm高い。

 山﨑はその身長差やリーチの差を活かし、ワンキャッチの首相撲からのヒザ蹴りで大成を崩しにかかる。

 ヒザ蹴りを決められると、大成はニヤリと笑い、右フックで反撃にかかる。しかし2R、再びヒザ蹴りをボディに決められると、効いてしまったのか下がってしまう。

 このチャンスを山﨑が逃すはずがない。右ローやテンカオで追撃し、最後は右ヒザ蹴りで先制のダウンを奪う。立て続けに山﨑が右ローを連打すると、大成は2度目のダウン。山﨑がダメ押しともいえる右ヒザ蹴りをヒットさせると、大成はキャンバスに大の字になった。

第3試合 木村翔稀 vs. 新井雄大

 デビュー以来2戦全勝(2KO)の木村翔稀(ANCHOR GYM)が登場。東京を拠点に活動し、DEEP☆KICKには初参戦の新井雄大(TARGET)を迎え撃った。リングに登場した木村の佇まいは“怪物君”鈴木博昭のそれに似ている。

 1R、木村はワンツースリー、あるいは右の関節蹴りで試合の主導権を握ろうとする。しかし、“名門”保善高校サッカー部出身で見るからに鍛えられた下半身を誇る新井はタフ。逆に左のカーフキックやインローでじっくりと木村の下半身を削りにかかる。

 接近戦を挑む木村から不可抗力のバッティングを2度受けたが、新井のプレスが弱まることはなかった。その戦法が功を奏し、2R以降は木村の攻撃が徐々に減っていく。対照的に新井の手数が試合を支配する展開となった。

 3R終盤、木村は連打をまとめるものの、2R以降の劣勢は否めない。案の定、判定は2-0で新井に。キックボクサーらしからぬガッシリした下半身は魅力十分。DEEP☆KICK-63kg戦線に面白い存在が現れた。

第2試合 寺坂哲伸 vs 増田拓英

 第2試合は増田拓英(BK GYM)が前日計量で1.35kgオーバー。主催者と対戦相手の寺坂哲伸(TEAM TEPPEN)と協議の末、減点2、グローブハンディで試合は行われることになったが、その後増田が体調を崩し、試合は中止となった。

第1試合 太田優 vs. 松崎幸紀

 デビュー戦同士の一騎討ち。サウスポーの太田優(BLOW GYM)は蹴りが得意で、左ミドルや前蹴りで松崎幸紀(誠剛館)を攻め込む。1R終盤には飛び蹴りをアゴに決め、松崎を窮地に追い込んだ。

 しかし2Rになると、松崎はパンチのラッシュで試合の流れを逆転。左の一撃で先制のダウンを奪う。その直後、今度は太田が再び飛び蹴りを決め、松崎にダメージを与える。前蹴りで追撃すると、松崎の腰はフラフラしていた。

 しかしダウンポイントがモノをいい、オープンスコアは二者が19-18、一者が20-18で松崎がリード。

 続く3Rは飛び蹴りのダメージから復活した松崎が右ストレート。太田の度重なるバッティングで試合は2度も中断した。終盤は太田がハイで追い込みをかけたが、逆転するまでには至らない。

 30-28、29-28、28-28と2-0のスコアで松崎が粘る太田を振り切った。勝者も敗者も高いポテンシャルを感じさせる一戦だった。

■ DEEP☆KICK 78
日時:6月7日(日)
会場:泉大津市・テクスピア大阪

<ダブルメインイベント2 DEEP☆KICK-63kgタイトルマッチ 3分3R>
[王者] ○吉岡龍輝(及川道場)
 1R1分39秒 TKO(スリーノックダウン)
[挑戦者] ●原田闘鬼(心将塾)

※原田闘鬼に1Rダウン×3有り
※吉岡龍輝が2度目の防衛に成功

<ダブルメインイベント1 DEEP☆KICK-57.5kgタイトルマッチ 3分3R>
[王者] ●戦闘員1号(SHOCKER☆EXARES)
 判定 0-3(29-30、29-30、29-30)
[挑戦者] ○堀井海飛(空手道柔拳)

※堀井海飛が-57.5kg第7代王者に

<セミファイナル DEEP☆KICK-51kg王座決定トーナメント決勝 3分3R 延長1R>
○泰生(STRING FIGHT LAB)
 1R2分38秒 TKO(セコンドタオル投入)
●林ジャッカル裕人(心将塾)

※林ジャッカル裕人に1Rダウン×2有り
※泰生が-51kg第6代王者に

<第6試合 DEEP☆KICK-53kg契約 3分3R>
○横山大翔(拳心會館)
 判定 3-0(30-26、30-26、30-26)
●KING澪斗(ROYAL KINGS)

※KING澪斗に3Rダウン×2有り

<第5試合 DEEP☆KICK-47kg契約 2分3R>
○山﨑愛琉(TEAM TEPPEN)
 判定 3-0(30-29、30-28、30-29)
●チャ・ミンジュ(大邱玄風ソルボンジム)

<第4試合 DEEP☆KICK-56.5kg契約 3分3R>
○山﨑天輔(VALIENTE)
 2R2分52秒 TKO(スリーノックダウン)
●大成(TeamFreeStyle)

※大成に2Rダウン×3有り

<第3試合 DEEP☆KICK-63kg契約 3分3R>
●木村翔稀(ANCHOR GYM)
 判定 0-2(29-30、29-29、28-30)
○新井雄大(TARGET)

<第2試合 DEEP☆KICK-65kg契約 3分3R>
○寺坂哲伸(TEAM TEPPEN)
 不戦勝
●増田拓英(BK GYM)

※増田拓英が1.35kgオーバー。両陣営と主催者の協議の結果、減点2とグローブハンデを与え試合を行う
※その後、増田が体調不良により棄権
※前日計量をクリアした寺坂哲伸の不戦勝となる

<第1試合 DEEP☆KICK-53kg契約 3分3R>
●太田優(BLOW GYM)
 判定 0-2(28-29、28-28、28-30)
○松崎幸紀(誠剛館)

※太田優に2Rダウン×1有り

<オープニングイベント NEXT☆LEVEL提供試合 OP第3試合 -55kg契約 1分30秒2R>
○長谷川蓮(TEPPEN GYM 大阪)
 判定 2-0(20-19、19-19、20-19)
●伊奈蒼司(心将塾)

<オープニングイベント NEXT☆LEVEL提供試合 OP第2試合 -62kg契約 1分30秒2R>
○梁本裕(VALIENTE)
 判定 3-0(20-19、20-19、20-19)
●古澤裕樹(LoTgym)

<オープニングイベント NEXT☆LEVEL提供試合 OP第1試合 -28kg契約 1分30秒2R>
●児嶋朔玖(ESPERANZA)
 判定 0-3(19-20、19-20、19-20)
○柚山蓮愛(魁塾)