[ファイトクラブ]山田邦子と獣神サンダー・ライガーがつないだ30年間の空白

[週刊ファイト3月22日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼山田邦子と獣神サンダー・ライガーがつないだ30年間の空白
 by 立嶋博
・黒歴史『ギブUPまで待てない』は、もっと評価されるべき!
・誌上再現!「馳、山田邦子にキレる」事件の一部始終
・山田邦子は、自ら積極的に行動することでくびきを断ち切った!
・是非、あの因縁の相手とも共演を! 山田邦子への個人的期待


 BS日テレで日曜21時台に放送されている『照英・児島玲子の最強!釣りバカ対決‼』という番組をご存じだろうか。
 チーム戦での釣り対決というのは、この種の番組にとっては特段珍しいフォーマットではない。
 しかし、BSの釣り番組としてはほぼ唯一の1時間番組だけあって、それなりに制作予算はあるようで、毎回、かなり顔を知られたタレントがゲスト出演している。
 これまでの放送回では、渡辺徹、永井大、杉浦太陽、つるの剛士、的場浩司、水野裕子、神田愛花、森下千里、不破万作といった面々に加え、釣り好きのお笑い芸人が入れ代わり立ち代わり登場した。

 お笑い系のタレントはこうした番組には欠かせない。
 なかなか魚が釣れない時間帯というのは、釣りロケ中どこかで必ず訪れる。そればかりか、海の状況が悪く、全くもって釣れないケースもある。
 そんな時に彼らがいてくれれば、ともすれば退屈になりがちな画柄を、彼らのボケや絶え間ない喋りを放り込むことで「もたせる」ことができるのである。
 番組MCでプロアングラーでもある児島からしてオフィス北野の所属タレントであるし、ロンブー田村亮、ガレッジセール川田広樹、ドランクドラゴン鈴木拓、FUJIWARA原西孝幸など各局釣り番組の常連になっている顔触れも定期的に顔を出している。大御所では、キャリア数十年のベテラン釣り師である山田邦子がたまに出演している。

 この番組の2時間スペシャルが去る3月11日に放送された。
 ゲストは山田邦子、たんぽぽ白鳥久美子、ドランク鈴木、そして獣神サンダー・ライガーであった。あみだでチーム分けが行われた結果、児島チームに鈴木と白鳥、照英チームに山田とライガー(この言い方、ちょっと混乱しそう……)と決まって、東京湾を舞台に釣り勝負が行われた。

 番組前半の五目釣り部門で傑出した竿捌きを見せた山田とライガーの活躍が効いて、勝負は照英チームの快勝で決した。地合いを掴んで、一度に二尾、三尾と良型のアジ・イサキ・メバルその他を掛け続けたふたりの腕前は、素人目にも見事なものだった。
 数を釣るばかりでなく、要所要所で声を出して画の隙を埋めるタレント性をも発揮した二人は、白鳥と鈴木、そして照英の釣果がもう一つだったこともあって、番組の主役と言っても過言ではない存在感を放散していた。

 それにしても、山田邦子がプロレスラー、それも新日本系の人と絡むというのは、長年のプロレスウォッチャーからすると感無量である。


番組HP www.bs4.jp/tsuribaka/onair/17.htmlより

 黒歴史『ギブUPまで待てない』は、もっと評価されるべき!

 山田MCの『ギブUPまで待てない!!ワールドプロレスリング』が放送されたのは1987年4月からの2クールだけである。しかも、番組末期には山田は降板させられ、プロレス中継をバラエティ番組化する試みは呆気なく頓挫した。
 同年秋以降、番組は再び従来型のプロレス試合中継『ワールドプロレスリング』に戻り、バラエティ系に渡されていた制作体制もスポーツ局主導に復帰した。

 この番組を巡るドタバタ劇については、以前にも別テーマで書いたので割愛する(興味がある方はhttps://miruhon.net/91167を参照されたい)が、ともかく山田邦子は、当時の新日本ファンダメンタリズムに毒された糞真面目なプロレスファンから忌み嫌われ、陰湿なブーイングを喰らった。
 彼女がプロレスを知らず、無論ジャンルに対する愛情も持っておらず、要はいかがわしいものとしてプロレスを馬鹿にしている、とファンが誤って受け取ってしまったからである。

 確かに、そう受け止められても仕方がない、奇妙な演出がこの番組には多くあった。しかしそれは、演出・制作サイドの問題であって山田の問題ではない。山田は実際にはプロレス好きで、MCの職責として、しっかりと勉強もしていたのだった。

 生来、バラエティの制作会社であるIVSがこの番組を請け負った経緯も、彼らがメインで担当していた『たけしのスポーツ大将』が不祥事で突然打ち切りとなってしまったことの余波である。
 テリー伊藤、高橋がなりといった、一風変わった人材を多数抱えていたIVSだが、スポーツ中継の経験はない。ろくに準備期間を与えられずに仕事を振られた彼らに、直ちに十全たるを求めるのは酷というものだ。

 だから私は彼らも、山田も、番組内容も責める気にはならない。もっと準備期間があれば、新日本プロレスをうまくツール化して取り込んだ、画期的なバラエティ番組が出現していた可能性もあったと思う。
 テレ朝『アメトーーク!』の『プロレス芸人』シリーズがバカ受けしたのは、番組の個性とプロレスの魅力を、試合映像を織り込みながらひな壇タレントが次々と繰り出すエピソードトークによってうまく融合できた結果である。

 CX『ジャンクSPORTS』、MBS『戦え!スポーツ内閣』、NHK『グッと!スポーツ』といった「喋り上手なお笑い系タレント×アスリート」トークバラエティの手法も、今やすっかり定着している。
 確かにプロレスを取り巻く環境、人々のプロレスへの視線は変わり、現代のファンは寛容になったが、当時だって、何かしら巧いやり方はあったはずなのだ。
 惜しいことをしたものである。あの番組は、テレビ史を変えるポテンシャルを秘めていたのだ。

記事の全文を表示するにはファイトクラブ会員登録が必要です。
会費は月払999円、年払だと2ヶ月分お得な10,000円です。
すでに会員の方はログインして続きをご覧ください。

ログイン