[ファイトクラブ]禁断の組み合わせ? ~プロレスラーとバラエティ番組~

[週刊ファイト3月1日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼禁断の組み合わせ? ~プロレスラーとバラエティ番組~
 by 立嶋博
・番組が打ち切られるワケ、切られないワケ
・後番組は安いタレントでバラエティ? プロレスラーの起用は?
・「金8」落ちの悪夢……『ギブUP』はTV・プロレス界共通の黒歴史?
・実は革新的? 番組コンセプトは攻めていた『ギブUP』
・総括 ~『ギブUP』の教訓とプロレス×バラエティのこれから~


 テレビ業界の懐具合が、いっときよりもかなり寂しいものになりつつあるのは確かなようだ。
 収益の減少傾向は民放一位の日本テレビでも多少は見られるが、かつて視聴率競争で業界を席巻し、栄華を誇ったフジテレビ(現在はフジ・メディアHD傘下の子会社)でとみに顕著である。

 同HDの「2018年3月期第3四半期決算説明資料(2018年2月2日付)」によると、HDの主要子会社であるフジテレビジョン単体での業績は2017年4月~12月の累計で、売上高1,938億円余(前年同期比▲9.5%)、営業利益は32億円余(同▲36.1%)と「深刻」と表現しても差し支えないレベルの落ち込みを見せている。BSフジ、ニッポン放送、仙台放送を合わせた放送事業全体の営業利益でも54億円ほど(同▲21.3%)に過ぎない。
 グループ全体でも減収であるが、それでも微増益に着地できたのは、117億円余の営業利益(前年同期比+20.6%)を叩き出した都市開発事業の功績(特にグランビスタホテル&リゾートが好調)によるものである。グループの連結営業利益は202億円余であるから、「フジ・メディアHDの現況は『デベロッパー』」と囁かれるのもむべなるかな、である。

  番組が打ち切られるワケ、切られないワケ

 同HDは放送事業の不振の要因を「放送収入の減少」などとしており、要するに本業中の本業が皆目振るわない、ということを認めている。
 フジテレビはこのところ視聴率の凋落が甚だしく、スポンサー離れが続いている。減益を補うための対策としてコンテンツの強化以上に進めているのが制作コストの削減である。コストの削減は、短期的に見れば収益の好転に寄与するからである。
 事実、FIFAワールドカップ・ブラジル大会が開かれた2014年度には1.007億円以上かかっていた番組制作費は、2016年度には882億ほどに圧縮され、帳簿をかなり軽くしている。同年にリオ五輪が開かれたにもかかわらず、である。
 ロシアW杯開催が予定される来年度は、さらに一般番組へのしわ寄せが予想される。

 フジテレビが、今年度末をもって『とんねるずのみなさんのおかげでした』『めちゃ×2イケてるッ!』といった制作費が高騰していた長寿番組を打ち切ることを決めた背景には、それらの事情が強く働いている。

 中でもとんねるずのギャラは、1時間番組で300万円以上(筆者は某キー局プロデューサーから「一時期は500万円だった」との証言を聞いている)とされており、コンビでは少なくとも600万円が毎週必要ということになる。かつてのフジの看板タレントとはいえ、今では視聴率が二桁に届かないような番組で、これは明らかに高すぎた。

 こうした、視聴率も上がらず、ネットでの評判も悪いお荷物番組がなぜ打ち切れないのだろうか。
 とんねるずの場合に顕著であるが、それはコストを度外視しても、MCのタレントや所属事務所と局スタッフ・役員・局自体との関係が深く、編成で容易にカットできないからである。
 もしくは芸能事務所自身が番組枠を持ってその番組を企画制作しているため、編成の掌握案件にならない、というケースである(たとえば『ウチくる!?』も今年度限りで終了するが、これは打ち切りというより企画制作の渡辺プロダクションが「自らの意志で終わらせる」というのが正しいのではないか。いずれにしてもナベプロ制作枠は同社が腰を引かない限りはBSフジも含めたフジテレビの番組表のどこかで優先的に維持されるはずであり、放送業界的感覚では「打ち切り」という表現がしっくりこない)。

 「どうしてあんな番組が続いて、あの番組が終わってしまうのだろう」という視聴者の素朴な疑問は、そのような過去からのしがらみや人間関係をひとつひとつ解きほぐしていけば、実は容易に解答が得られるのである。

 後番組は安いタレントでバラエティ? プロレスラーの起用は?

 さて、真の問題はそれらの後番組づくりである。
 フジはこれまで、芸能バラエティ枠を廃して情報番組やドラマ枠にする、という試みをやって失敗してきた。
 ギネス級の長寿番組だった『笑っていいとも!』を打ち切って新機軸の『バイキング』にしたのに、ひどく低迷したのが近年の典型例である(『バイキング』はその後、討論番組仕立てのワイドショー風に切り替えて、過激路線で命脈を保っている)。
 かなり減少したとはいえ、フジのお笑い路線を支持する階層は確かにいるのであるから、手堅くいくならやはりバラエティ、それもギャラが安くても出てくれるタレントを使った構成にするしかなかろう。

 例えば、そう、プロレスラーでもよさそうだ。何かの告知とバーターにすれば、さらに安く使えるだろう。


▲ 長州力出演のBSフジ『DO YOU?サタデー』(現在は改題、長州は出演終了)

 ところが、テレビ界にはプロレスとバラエティの組み合わせに関して、思い出したくもない黒歴史がある。
 それは文字通り「プロレスとバラエティの融合」で売り出そうとしたテレビ朝日『ギブUPまで待てない!!ワールドプロレスリング』という伝説の失敗作である。
 失敗の理由は何だったのだろうか。

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