「地下プロレス」。それは18世紀フランス暗黒街に端を発し、阿片戦争下の香港や、禁酒法時代のアメリカでも、まったくの秘密裏に行われてきたといわれる、究極のアングラ格闘文化である。その地下プロレスが、この2008年に、世界屈指のゲイタウン・新宿二丁目で甦ったという――。
禁断のアングラ格闘文化として、ごく一部の選ばれた好事家にのみ語り継がれてきた地下プロレスが、「UNDERGROUND WRESTLING EXIT」と名を変えて日本に上陸! という触れ込みで旗揚げ戦が行われたのが去る7月21日。以来2戦目の大会が24日、新宿二丁目「BAR EXIT」にて開催された。
会場のBAR EXIT。そこは、ゲイバーとアダルトグッズ店が所狭しと立ち並ぶ「新宿仲通り」から、昼なお薄暗い狭い路地に折れたところに、ひっそりと建っている。向かい側のゲイグッズ専門店から、眼鏡の青年が大きな紙袋を提げ、笑みを浮かべながら現れた。…よほど満足いく買い物ができたのだろうか?
エントランスなのに「EXIT」とは、これいかに? しかしこの怪しげな入口をくぐると…
BAR EXITの狭いエントランスを通り抜けると、そこはまさに異形の暗黒空間。真っ黒なリングに、真っ黒なコーナーポスト。そしてロープの代わりに、銀色の鈍い光を放つ三本のチェーンがリングを包み、異様な存在感を誇示している――! そしてその暗黒のリングを、酒を手にした観客がびっしりと囲み、狭いハコの中は一種異様な湿り気をはらんでいる。
そこは漆黒の異次元空間!? プロレス・格闘技・ダンスと「地下」の名にふさわしく何でもアリだ
リング上からは、“地下戦士”たちが繰り広げる怒号と打撃音が響き渡り、口から滴る鮮血が、薄暗い照明に映える。特にメインイベントで激突した、富豪2夢路の頭突きと、澤宗紀の蹴りの、“ゴツゴツvsバチバチ”の応酬には、薄暗い会場の至る所から悲鳴と絶叫が沸き起こり、まさにアングラ格闘興行の様相。セミに登場した「第21代世界地下王者」ジャガー・ロゴフスキーの異様な存在感と併せ、この地下プロレス、今後も目の離せない興行となりそうだ。
メインで富豪2夢路は、盟友・三州つば九朗を引き連れ、澤宗紀・矢野啓太組と激突。
会場に響き渡る激しい打撃音こそが、地下プロレスの醍醐味!
最後は夢路が矢野をアームロックで絞りあげ、激闘にフィニッシュ。
口の中を血に染めた夢路はこの表情でひと吠え!
異形のゲイタウンで産声をあげた謎のイベント、「UNDERGROUND WRESTLING EXIT」。この摩訶不思議な空間は、本当に18世紀フランス暗黒街をルーツとする、禁断の地下プロレスの生まれ変わりなのだろうか!? 信じる、信じないは、貴方次第である――!