RIZINは大晦日に難民化するアニメファンを吸収できるか?

 年末恒例のNHK『紅白歌合戦』出場メンバーが発表され、民放テレビ局の裏番組情報も続々更新されてきている。

 昨暮、紅白の視聴率は8年振りに40%の大台割れに沈み、特に後半は2部制となった1989年以降で最低を更新。この非常事態にNHKは、総合司会に自局の男性アナを抜擢し、両チームキャプテンには予想された『あさイチ』ペアを外して来年の朝ドラ出演女優と嵐の相葉を起用、出場歌手でも和田アキ子、伍代夏子、藤あや子というベテラン功労者をバッサリ切った。
 
 視聴者の偏りを無くそうという意図を語っているが、代わりに昨年のトリを飾って戦犯とも名指しされる松田聖子は据え置いて大竹しのぶを初出場させるなど疑問府もつく。むしろ宇多田ヒカルの獲得に象徴される、紅白の主要な視聴者層であるF層20代〜の女性の取りこぼしを防いで40%台回復で面目を保とうという後ろ向きの戦略とも思える。

 幾多の妄言と公私混同の振る舞いで非難囂々、死に体になりながら、現政権のオトモダチの威光を笠に着て会長の椅子を死守し続け、再三の続投の意欲も空しく経営委員から三行半を突きつけられたのが籾井会長だ。来年の任期切れでの異例の一期退任を強いられた事で溜飲を下げた向きもあるかと思うが、皆さまのNHKと言いつつ、関係各方面への配慮が滲んだ視聴者置き去りの選択と言えなくも無い。

 そんな悲喜こもごもの発表にあって、”乗り込みアイドル”ベイビーレイズJAPANの不選出を嘆く本誌同様、アニメファンを落胆させたのが、09年に水樹奈々が出場して以来続いてきた、「声優アニソンアーティスト枠」の消滅だ。

 昨末は劇場版アニメの大ヒットに象徴される『ラブライブ! 』ブームの余勢をかった劇中グループμ’sに譲る形で連続出場が途切れたが、度々NHKに出演して貢献度充分「今年は復帰」と確信していた水樹のファンは無論、代わりの声優アーティストも見送られ、出場が途切れた事にはアニメファン全体から失望の声があがっている。
 そもそもアニメファンにとって大晦日は、世界に冠たるオタクの巨大イベント『コミックマーケット』とバッティングする関係上、リアルタイム視聴に不向きな日程なのであり、「今年は紅白は観なくて済む」「録画しなくていいから助かる」と、水樹やμ’sのためだけに興味のない紅白と付き合っていた向きからは決別出来る事に感謝する声すら聞こえているのだ。

 NHKが、コーナーとしてファミリー向けのアニソンや、『君の名は』の主題歌でヒットを飛ばしたバンドRADWIMPSで替わりになると踏んでいるならそれは大きな誤りだ。無関係のアイドルがアニソンを唄うのをアニメファンはさほど好まないし、たまたまアニメの歌を唄ったバンドと、声優、もしくは専門的にアニソンを唄うアニソンアーティストと同列に扱われるのは、本人達にとってもファンにとっても心外であろう。
 だから水樹→μ’sが握っていた「声優アーティストが出演するから紅白を観ていた層」の紅白離れは避けようがない事実なのだ。

 そのふわっとした「声優アニソンアーティストだけを観る層」はどれほどの物か具体的な数字としてみると、昨年のμ’sの出演者別視聴率だった37.7%が、続いて登場した山内恵で36.5%にまで落ちており、その間に離れた1.2%が概ねの基準と考えられる。これを多いとみる少ないとみるかは判断の分かれるところだが、NHKの側に立って40%の死守を考えれば決して低い数字ではないはずだ。
 さらに、ここ最近、視聴率以外での統計も重視される様になってきており、Twitterでのトレンドも裏番組の民放各局としては無視できない。
 昨暮れ紅白の呟き上位は、μ’sと、同時配信でそれに乗っかった形で呟かれたTMレボリューションが1、2位を占め、大ベテランで本来こういった層とは無縁の筈の小林幸子が、若者にアピールする『千本桜』の歌唱で4位と健闘しているのをみれば、今年はTwitterのトレンドで紅白トップ陥落の結果もありえるのだ。
 
 そこでこの視聴率1.2%と、Twitterホットワードトップ2と4位との層を民放各局で奪い合う形になるわけだが、視聴率の無いテレビ局である関東ローカルの東京MXTVでは早々に毎年恒例の(昨年はμ’sにメンバー2人が参加したのを慮ってか休止した)『ミルキィホームズ特番』を決定、カウントダウンライブに参加できないミルキアン(ミルキィホームズファン)を含むアニメファンの取り込みを図っている。

 キー局で見ると、ここ数年民放トップは日テレの『笑ってはいけない〜』だが、昨年10年振りに格闘技中継を復活させ善戦したフジテレビがSMAP×SMAP特番の説もあったが、作末に続き『RIZIN』を発表した。TBSの『KYOKUGEN』と併せて、曙VSボブサップで史上初めて紅白を上回った03年の夢再びと紅白KOを狙う。
 TV東京は恒例『年忘れニッポンの歌』、テレビ朝日は3年連続となる恒例の『くりぃむVS林修』を『大晦日だよドラえもん』の枠まで拡大する模様で、アニメという観点から見るとMXTV圧勝の構図だが、紅白がみすみす取りこぼした数字を民放が手をこまねいているのも勿体ないのではないかと思えるし、何より視聴率以上にTwitterのホットワードでは勝利の凱歌をあげる可能性があるのだ。

 実は声優の個人でのTwitter利用は決して活発とは言えないのだが、大ヒットアニメ『けいおん』の中野梓役で新人ながら人気声優に駆け上がった竹達彩奈などは、朝起きて「おはよう」とTwieetしただけで常に数百RTされ、先日は久しぶりという、あずにゃんこと中野梓コスプレでの自撮りを披露して1万RTを超えた。
 アニメファンとは事ほどさように驚異の情報伝播力を持つのである。

 そこで本題に入るのだが、『RIZIN』に、昨年に引き続いての長島☆自演乙☆雄一郎の参戦を提案したい。
 昨年の「RIZIN」は紅白のμ’sに乗っかる形で『劇場版ラブライブ!』のコスプレでの入場を果たした長島は、御承知の通り12・5『KNOCK OUT』でT-98(タクヤ)にTKO負けして一敗地にまみれ、強烈な右ストレートのダメージも心配されるだけに3週間後に総合の試合など考えられもしないが、ブシロード認定おたく世界ライト級王座のプロレスラーとしてなら充分参加は可能とみる。
 女性声優が大勢訪れた長島のK-1祝勝会にはくだんの竹達も参加していたが、現役声優プロレスラー清水愛の姿もあり、清水相手のおたく世界ライト級王座選手権試合ならアニメファンへの訴求力は満点だ。

 また、長島はファミコンの高橋名人共々に芸能事務所アミュレートとマネジメント契約をしているが、
その声優部門に今年から、水樹奈々と共に長く女性声優の人気上位に君臨する田村ゆかりが移籍してきた。
 田村は水樹とかつて同じキングレコードに所属、今年袂を分かったが、お互いの出世作『リリカルなのは』の新劇場版が来年公開されるだけに、共演する水樹を落とした紅白に対するカウンターとして長島のセコンドで登場というドラマがあれば、TwitterのホットワードTOPは間違いないと断言できる。

 大晦日まで丁度3週間、様々な思惑を読みながら展開を見守るのも一興だ。

こもとめいこ♂

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