船木!大谷!スーパータイガー!リアルジャパン9・10有明大会直前インタビュー

 9月10日(土)、ディファ有明にて開催のリアルジャパン・佐山サトルプロデュース『GOLDEN AGE OF THE TIGER』にてメインで王座を争う船木誠勝と大谷晋二郎、そしてセミでケンドー・カシン率いるはぐれ軍を迎え撃つスーパータイガーの直前インタビューが届いた!

■ リアルジャパンプロレス特別興行 佐山サトルプロデュース『GOLDEN AGE OF THE TIGER』
 ~初代タイガーマスク35周年YEAR~
日時: 9月10日(土)開場/16時00分 試合開始/17時00分 
会場:ディファ有明(臨海副都心線「国際展示場駅」/新交通ゆりかもめ「有明テニスの森駅」)
料金:VIP席(特典付):12,000円/RS席:8000円 /A席:6000円/B席:5000円/トライアルシート:3000円
※当日券は9/10(土)午後3時よりディファ有明当日券売り場にて販売開始。

船木誠勝選手インタビュー
関本大介を破りリベンジを果たすとともに、レジェンド王者返り咲きを果たした船木誠勝。9月10日に行われる『GOLDEN AGE OF THE TIGER』(東京・ディファ有明)では第10代王者として大谷晋二郎を挑戦者に迎え、第8代王者時代はならなかった初防衛に挑む。アクシデントで負った負傷、自身のプロレスおよび引退観、そしてリオ五輪で気になる選手を船木独自の視点で切り、初防衛への思いを語った。
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――前回、関本選手とのレジェンド選手権の前には「今年まず1発目の勝負」と話をされていましたが、その勝負を制し王座奪還がなりました。

船木 その後そのまま爆破王も獲ることができて、なんかそれで今年の山を越えちゃったかなっていう感覚がありました。それでちょっと精神的に疲れていたのかもしれません。そんな所でちょっと転落事故を起こしてしまって。それで肋骨を痛めて1週間まるまる何もできませんでした。それから2週間が経って気持ちを元に戻してと思ったんですけど、まだ体が戻っていないから仕方ないですね。体が戻れば精神的にもまた元に戻ると思うので、今は試合へ向けて体を戻しながら精神も戻すという状態に入っています。

――以前も同じ箇所を痛め、同様に苦しんだ経験があったそうですね。

船木 パンクラスを旗揚げして(93年9月)、神戸で11月に試合をしたんですけど、その時肋骨にヒザ蹴りを食らって、軟骨のヒビが入ったんです。その2、3週間後にモーリス・スミスと全日本キックで試合があって、痛み止めを打ちながら試合をしました。そこからまた2週間後に博多スターレーンで高橋(義生)選手と試合があって、1ヵ月で3試合やったんです。その時も怪我をしながら練習していたんですけど、その時にあまり怪我をしながらハードに練習してはいけないっていう結論が出ました。ですから、まずコンディションだけ整えておいて、あとは患部が治るのを待つしかないと思います。これは以前経験して分かりました。だから今はコンディションをある程度維持しながら怪我を戻している最中です。

――今回は王座防衛戦となりますが、対戦発表の会見では「自分自身への挑戦」と話をされていました。

船木 それしかないですね。相手っていうのは今の自分がどれだけ強いのかっていうのを試す人というか、目の前に相手はいますけど戦っているのは自分だと思います。

――会見では大谷選手から「プロレスって広いですよ」「プロレスはストロングスタイルだけじゃない」といった言葉も聞かれましたが、船木選手はこれについてはどう思われますか。

船木 お互いのプロレスに対する考えをぶつけることもストロングスタイルだと思います。仲良しこよしの技の掛け合い、ダンスではないですから。そういう意味では“人と違うんだ”っていう、そのぶつかり合いがストロングスタイルというか。それを佐山先生も「喋っていること自体がストロングスタイルだ」っていう風に評されたんだと思います。

――なるほど、そういった意味では船木選手にとっては関本選手、大仁田選手との戦いもストロングスタイルの実践であったと。

船木 みんなスタイルが違いますけど、そのスタイルのぶつかり合いであり戦いなので、それがやっぱりストロングスタイルだと思います。自分は変わらないし、そうやってスタイルの変わらない人間同士がぶつかり合って勝ったり負けたりっていうのが1番理想だと思います。もちろん自分も相手のスタイルは理解しますけど、自分はルチャリブレはできないですし、爆破のスタイルにはなりません。自分のスタイルは崩したくないし、今と同じ形でどこまで行けるかと思っています。

――自分のあり方を崩さず通すのが船木選手にとってのストロングスタイルとも言えそうです。

船木 あとは年々シンプルになってきています。昔使っていた技でも、昔の形と全く違う形になってしまった技は自分はどんどん捨てていってます。ミサイルキックとか復帰した当時はやっていましたけど、今はもう使っていません。それは最初にやっていた形と変わってきているのが分かったので、これはもう使うべきじゃないなって思ったんです。今は歳とともに技が減ってきてシンプルになってきています。

――でも、その分研ぎ澄まされているのではないですか。

船木 そうです、だから残った技に全力を注いでいるというか。基本はレスリングと打撃で、それがベースなのは変わらないです。ただ必殺技っていう必殺技はどんどん減って、何か1番最初に戻ったような感じです。でも、もしかしたらそれが最高の技術なのかなって思います。いろいろ吸収してきましたけど、歳を取ってもできる技っていうのが1番だし、それが本当の自分の技だと思います。だから逆に今使っている技というのは全部自信のある技です。

――会見の行われた8月はちょうどオリンピックのシーズンでしたが船木選手はご覧になられていましたか?

船木 見ていないです。自分自身が競い合いの世界に入るのであまり人の競い合いは見ないというか。ニュースなんかでは見るんですけど。

――では特定の種目・選手に注目して見ることはなかったと。

船木 そうですね、自分はあまり金メダルを獲った人に興味はないです。逆に吉田(沙保里)選手が負けましたけど、そっちの方に興味があるんです。吉田選手はずっと負けていなくて、おそらく負けた時の感覚を忘れていたと思うんです。すごく悔しいと思いますけど、今は悔しいのかあるいは悲しいのか、すごく戸惑っていると思います。でも悔しかったらもう1回できるんです。ただ悔しさがなければ、おそらくもう引退じゃないかと思います。引退する時って本当に悔しくないんです。これは自分も1回引退したから分かります。

――ご自身が引退した時はどんな心境だったのですか。

船木 あの時は悔しいという気持ちはありませんでした。もう“終わった”っていう感じで。それまでずっとテンション高く、頂点にいた人間がポコって負けると、全てが一瞬で無くなってしまうです。気持ちが切れてしまう。それは分かります。でも悔しい気持ちがあればもう1回できます。あるいはちょっと休んで、そのうちに“悔しいな”っていう風になれば、まだできるんです。だから吉田選手が4年後やるのかやらないのかっていう所が自分は1番興味があります。

――船木選手は1度引退して時間を置いた中で、再び気持ちが戻ってきたのでしょうか。

船木 結果、戻りました。30前半で辞めて、30代半ばぐらいまでは“仕方ないな”っていう感じだったんですけど、40近くになってきた頃からですね。“もしかしたらまだできるんじゃないか”“今上がらないともう2度とリングに上がれないんじゃないか”っていう寂しさというか、今までずっと15から上がってきたリングにもう2度と上がれなくなるのであればちょっと寂しいなっていう、もったいないというか、ちょっと頑張ってみたいなっていう気持ちがまた出てきたんです。

――それは40歳という節目の年齢を前にしたこともあったのでしょうか。

船木 そうだと思います。だから今、逆に今度は50手前なので“還暦になるまでは”っていうそういう気持ちはあります。還暦までは走りたい、それが1番ありますね。

――今回はそういった中で前回果たせなかった防衛を懸けての一戦となります。

船木 せっかく取り返したので、すぐに落としたくはないです。やっぱり獲るのと守るのでは守る時の方が難しい。攻めてくる人間から何かを守るっていうのはすごく大変な作業だと思います。だから、そこも含めて新しい挑戦です。大谷選手は自分が知らないプロレスをやってきた、そういう引き出しのある人間なので、これまでのタイトルマッチとは違う試合になりそうな予感がします。ファンを掴むのがすごく得意な選手なので、今回はファンの応援も必要だと思うし、声援をください。それをもらって頑張ります。
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大谷晋二郎選手インタビュー
『GOLDEN AGE OF THE TIGER』(9月10日、東京・ディファ有明)で第10代レジェンド王者・船木誠勝に挑む大谷晋二郎。“大谷晋二郎のストロングスタイル”をぶつけ王座を奪わんと意気込むが、オリンピックの話題から熱を帯びた話は、プロレスラーとしての思い、そして自身のメッセージへと広がっていった。
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――リアルジャパンプロレスには実に11年ぶりの参戦となります。

大谷 旗揚げ戦とその後もう1度出させてもらって、やっぱり旗揚げ戦でメインで出させてもらって、初代タイガーマスクと戦ったっていうのはずっと残ることですから、僕の中では特別な感じがあります。その団体からまた声が掛かった、求められたっていうことが嬉しいですよね。だからこそ結果を出さなきゃと思います。会見では佐山先生も船木さんもいい試合とか、ストロングスタイルっていうことにこだわっていましたけど、僕は1番に勝つこと、勝利という結果にこだわります。そしてこのリアルジャパンという団体を“大谷色”に染めてみたいなっていう気持ちがあります。

――その“大谷色”ということになるのでしょうか、会見では大谷選手なりのストロングスタイルを見せるという言葉も聞かれました。

大谷 でも「ストロングスタイルって何?」って言われて、正確な答えを言える人っていないと思うんです。けど僕の中にも新日本プロレスで培ったストロングスタイルがあるし、新日本以外のリングで身につけたものとか染みついたものがたくさんある。そういったものをトータルして、新しいストロングスタイルができていると思うので、そういったみんなが思うストロングスタイル以外のスタイルだったら僕はいろんな選手と戦ってきましたし、船木さんよりはるかに自信があります。だから僕はチャンピオンが持っていないものを持っているし、それが何とは言わないですけど、一個人、プロレスラー、いち男として勝負したいです。

――同じく対戦発表の会見ではプロレスラーになるより前、早くから船木選手を意識していたと話をされていました。

大谷 今の時代だったら分からないですけど、あの時代で中卒でプロレスラーになるってなかったんですよね。僕は小学2年の時からずっとプロレスラーになりたいと思っていたので、船木さんが中学を卒業して新日本プロレスに入ってるっていうのが、まだいちファンなのにすごくジェラシーを燃やしていた時期がありました。

――自分の先を越されたというか。

大谷 はい。俺も中卒でプロレスラーになってやるっていう気持ちがあったけど、体が弱かったし当然中卒ではなれなかった。なので船木優治(当時)って人はスゲえなと。でも、いつか俺の方がすごいレスラーになってやるっていう気持ちを幼い子どもの頃から持っていました。それが今こうやってベルトを懸けて戦うようになったっていうのは感慨深いものがありますけど、とにかくベルトを奪うという、それを最優先にして試合に挑みたいです。

――その上で“大谷色”にリアルジャパンを染めていきたいと。

大谷 ベルトを獲ったら当然そういう色に染めていかないといけないと思います。大谷晋二郎のストロングスタイルが中心になる、リアルジャパンをそういう形にしていかなきゃいけないし、これはチャンピオンになったら誰であっても背負わなきゃいけない宿命だと思います。

――ファンの時代から長く見てきて、実際に対戦した船木選手の印象はいかがでしたか?

大谷 2年前ですか、うちのベルトのタイトルマッチで戦いましたが、やっぱり己を通すというか、“船木プロレス”というものを誰が相手だろうと押し通している印象があります。だからこそ僕は“この人を倒したい”と思って、その時は負けてしまったんですけど、試合の後で必ずこの人に勝つぞと。その機会を今回佐山先生が運んできてくれたっていうことでしょうね。

――前回の対戦では“船木プロレス”が感じられた?

大谷 僕にだって“大谷プロレス”というものがあると自信を持っていますけど、“船木プロレス”というものを体感できました。僕も誰が相手であろうと我を通すっていう気持ちがありますので、そういった意味で大谷プロレス対船木プロレスの真っ正面からの勝負じゃないですかね。でも、心のどこかに大谷プロレスが船木プロレスを押さえつける、そういう光景を作り上げたい気持ちがあります。

――対戦の発表された8月はちょうどオリンピックの開催シーズンでした。大谷選手はご覧になっていましたか?

大谷 はい、オリンピックもスゴかったですよね。プロレスに近いというとレスリングになりますけど、吉田沙保里選手はみんなも言っていますが、なぜそこで謝ると。凄まじいプレッシャーにある意味打ち勝って、みんなが称えるべき結果だったと思います。

――他にも大谷選手独自の視点で注目された選手がいたそうでね。

大谷 僕の中で印象に残っているのは女子レスリングの中で唯一メダルを獲れなかった渡利(璃穏)選手です。女子のレスリングを2日間見ていて、みんなが金と銀を獲って、要はみんな階級の決勝まで行った訳ですよね。その中で渡利選手は唯一1回戦で負けてしまった。めちゃくちゃ悔しいだろうなと思いましたし、僕はやっぱりそう見ちゃうんです。負けた人間を見てしまうというか。金メダルを獲った選手や吉田選手は本当みんな素晴らしい努力をして頑張った。でも、そういった選手たちの声がいろんなところに出ている中で、渡利選手の声はあまり出てこなかった。僕は実際に聞いてみたかったし、彼女は絶対悔しい思いをしているはずです。凱旋するみんながメダルを持っている中、1人なんですよ。でも、何回やられても立ち上がる人が本当に強い人なんだと僕はいつも言っていて、だから渡利選手は絶対これから強くなると思います。アマレスの猛者でもない僕が偉そうに言うことではないですけど、渡利選手はこの悔しさをバネにできるし、武器にしたらこれからスゴくなると思います。こういう言い方は失礼かもしれませんが、渡利選手はここから伸びていくチャンスじゃないかとも思います。

――そうした悔しい思いをバネにして戦ってきた、大谷選手ご自身にも重なるお話です。

大谷 僕ももうプロレス生活25年目になりますけど、ここぞという時に負けが多いんです。でも、負けた時に“絶対何年掛かっても借りを返すぞ”っていつも思っています。“何年掛かっても俺は借りを返すからな”って、僕に勝った奴みんなに思ってます。そういう意味では船木選手もそれにあたると思うし、借りを返さなきゃいけない、倒さなきゃいけない標的の1人です。

――ではプロレスラー大谷晋二郎のメッセージとしては、日常生活の中で悔しい思いがあったら、いずれその借りを返してやると思って自らを奮い立たせて生きていくべきというか。

大谷 僕はいつも子どもたちに、「本当に強い人ってどういう人か分かる?」って聞くんです。そうすると、やっぱりケンカが強い人とか、走るのが速い人とかって子どもたちは言うんですけど、でも僕の考え方はちょっと違って、本当に強い人って何度倒されても立ち上がる人のことを言うんだって。人間誰だっていつかは負けます。そこで立ち上がった人が本当に強い人なんだよと僕は言うんです。だから今回船木さんに関して言えば、1回やられて倒された僕が立ち上がる、ここで立ち上がって船木選手に勝ってベルトを奪い取れば、またたくさんの人に勇気を与えられるんじゃないかという気がします。

――そういったメッセージのこめられた試合でもある訳ですね。

大谷 今回は会見でも言いましたけど、いい試合、ストロングスタイルより勝ちを優先する、そういう思いで向かいます。でもプロレスというのはいろんな戦いがあって、勝敗があって、共通しているのはプロレスを通して元気とか勇気を発信することなんです。だから大谷晋二郎のストロングスタイル、“大谷プロレス”でこのリアルジャパンのリング上でもたくさんの人に勇気と元気を与えたい、そういう試合をしたいと思います。ぜひ会場に足を運んでください。
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スーパー・タイガー インタビュー
 前回6・23後楽園ホール大会ではケンドー・カシン率いるはぐれIGF軍団に不覚を取ったスーパー・タイガーだが、全日本プロレスに夏のシリーズ参戦を経て、プロレスラーとしてさらなる進化。折原昌夫、間下隼人とタッグを結成し、必勝を期し抗争第2戦へと向かう。より太く幅の広いストロングスタイルを見せんとするタイガーが、決戦を前に闘志の炎を燃やす。
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――前回6月大会ではカシン選手に不覚を取ってしまいましたが、対戦しての印象をお願いします。

タイガー ああやってこちらが見ていないところで技を掛けたりしてくるのは、やはりインサイドワークと言いますか。僕はまだプロレスっていうものをちょっと真っすぐ取りすぎているのかなと思いました。そこがプロレスの奥深さではありますけど、そこは僕自身の弱さだったり甘さだと思うので、今回はそういったところも踏まえて挑まないといけないと思います。ただ、今回は折原選手と組んでやってもらえるということで、向こうも構えてくると思います。前回のストロングスタイルそのまんまだった長井(満也)さん、アレク(サンダー大塚)さんのチームとはまた違いますし、なんでこのパートナー、チームを選んできたのか? それはお客さんもそう思うんじゃないかと思いますが、そこが今回こちらの作戦でもあります。

――前回実際に手を合わせて、カシン選手からストロングスタイルを感じるところはありましたか?

タイガー それはもうやる前から分かっていましたし、実際やってみて流石だなと思いました。その印象は全く変わりません。将軍岡本にしても鈴木秀樹にしても、実力があるのは分かっていますし、やっていて楽しかったです。ただ、楽しかった先に油断ができると言うんですかね。“ただ仲良しこよしでやっているんじゃないよ”っていう部分、戦いの厳しさというのがその間、間で入ってくると言いますか。

――カシン選手が持つそうしたインサイドワークといったものが、逆にタイガー選手にしてみれば長く望まれてきたものではないかと思います。

タイガー 真っすぐとらえなきゃいけないと思っていた部分がどうしてもありましたが、今まで鈴木みのるさんや、全日本さんでもエボリューションの諏訪魔先輩でしたり、そういった方たちと接するうちに段々ちょっとずつ分かってきたというか、そうやって自分の力に変えていかなきゃいけないと思っています。今回はこのタッグパートナーに意味を込めて、僕自身が動ける部分と動けない部分、そしてエサとして出す部分をどう組み合わせるか、そこを考えていますし、向こうが1番ビックリすると思います。

――こうした話の中でも、今までになかった相手への揺さぶりが感じられます。

タイガー 前回はあまりにも正攻法で行き過ぎました。長井さん、アレクさんと組んでバチバチのストロングスタイルでと思って行ったら肩透かしを食らって……。腹も立ちますし怒りも出ましたけど、やっぱり“上手いな”っていう悔しさですよね。あるいは自分がまだまだ甘いなっていう。

――やはりストロングスタイルを意識すると、どうしても正攻法で真正面から行き過ぎるきらいがあるのでしょうか。

タイガー でも“それだけがプロレスじゃないよ”っていうのをケンドー・カシンさんに学ばせてもらったっていうか。今回の会見でも代表に歌を歌わせたり、ああいった要求をしてきましたけど、あれも実力があるからこそです。我々がガッチリ組んでいこうと思ったら、まずああやって油断をさせて、その上でリングではガチとやるっていう。やっぱりその辺はスゴいし、ケンカを知ってる人たちだと思います。

――カシン流の仕掛けをしてきた、今回の会見からすでに戦いは始まっているのですね。その上で今回は折原選手とのタッグ結成となりますが、こちらに関してはいかがでしょう。

タイガー 折原選手は長くリアルジャパンを支えてきてくれましたし、間下(隼人)を育ててくれた部分もあります。同じリアルジャパンという団体に出ていて志、思いは同じですから、向こうよりこっちの方がチームワークは長けていると思います。その上で今回はデコボコ感がキーワードだと思うので、それをケンドー・カシンにぶつけたいです。前回と違って今回はデコボコですが、それは本当に勝ちに行くからこそです。

――一筋縄ではいかないIFG軍団やカシン選手との戦いを経て、タイガー選手の中でストロングスタイルに対する思いが変わるようなところがあったのでしょうか。

タイガー 思いは一緒なんですけど、やっぱり“厚み”が足りなかったなって。もうただただ、真っすぐだけを求めていたのが、ケンドー・カシンにああいう戦いを見せられて、“お前の思いなんてすぐに折れるぞ”“これからもっと広いプロレスっていう世界でやっていくには、お前のストロングスタイルっていう思いだけでは細すぎるぞ”って前回の試合で言われた気がしました。その部分を前回の試合で見させてもらったので、それに対するアンサーを今回返せるようにと思っています。前回6月から今回の9月の間、僕は全日本さんのシリーズに出させてもらってきたので、この間で僕がどれだけ変わったかを見せたいと思います。

――ご自身ではどういったところが変わったと実感していますか?

タイガー もう全然変わりました。なんかやっと“プロレスラーになってきたな”という実感があります。今までの試合間隔からしたら、下手すると5年分ぐらいを今年一気にやった感じがあります。でもそれが今楽しくて、嬉しくてしょうがないと言うか。ケガもいろいろありますけど、それ以上に僕自身が燃えています。

――たしかに全国を回って試合を重ねていくのがプロレスラーというイメージはあります。

タイガー その通りだと思いますし、やっぱり反省をすぐに活かせるんですよね。試合でアッと思っても間が空いてしまうともうその時には忘れてしまっていますし、やっぱり100の練習より1の試合ですね。試合で恥をかくなり何なりしても、その中で掴むものというのはすごく大きいです。だから6月から僕自身は進化していますし、あの時だったらただ「悔しい」「この野郎」っていうことしかなかったと思うんですけど、それがこの3ヵ月で“こういうことだったのか”って、ケンドー・カシンのメッセージを読み取れるようになりました。

――では、そのメッセージに対するアンサーを今回はどのように返しますか?

タイガー 本当に今回はタッグパートナーの2人が僕の意気込みだと思うので、そこをどう取ってもらえるかがキーワードだと思います。でもストロングスタイルを追求することは何も変わらないし、プロレスラーとしての幅であったり厚みを戦い中で見せていきたいので、そこを感じ取ってもらえればと思います。
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【対戦カード】
佐山サトルプロデュース
<メインイベント レジェンド選手権試合 60分1本勝負>
[第10代王者] 船木誠勝(フリー)
vs.
[挑戦者] 大谷晋二郎(ZERO1)

<セミファイナル 6人タッグマッチ 60分1本勝負>
スーパー・タイガー(リアルジャパン)&折原昌夫(メビウス)&間下隼人(リアルジャパン)
vs.
ケンドー・カシン&鈴木秀樹&将軍岡本(はぐれ軍団)

<第4試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
田中将斗(ZERO1)&タカ・クノウ(チーム太田章)
vs.
長井満也(ドラディション)&柴田正人(フリー)

<第3試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
ウルティモ・ドラゴン(闘龍門MEXICO)&小笠原和彦(PRO-KARATE 押忍闘夢)
vs.
ブラック・タイガー(国籍不明)&ヒート(フリー)

<第2試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
スーパー・ライダー(リアルジャパン)&LEONA(ドラディション)
vs.
ベアー福田(SECRET BASE)&山本SAN(COMBO)

<第1試合 シングルマッチ 30分1本勝負>
倉島信行(ドラディション) vs. 那須晃太郎(フリー)

※出場選手は諸事情により変更となる場合もあります。
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