中島、水波とも王座奪取失敗も観客魅了!米国「SHIMMER 82 & 83」

                    (C)Lady Ring
■6月25日 アメリカ・イリノイ州シカゴ・イーグルススクエア
「SHIMMER 82」

▽ハート・オブ・SHIMMERタイトルマッチ
ニコル・サボイ(腕ひしぎ十字固め)水波綾
※ニコルが王座防衛

 水波2戦めでは、いきなりの王座挑戦というチャンスにめぐり合った。現在、SHIMMERではSHIMMER王座、同タッグに次ぐ第3のベルトとして“ハート・オブ・SHIMMER”が誕生。次世代の女子プロレスを担う旗手にその挑戦権が与えられている。水波の挑戦はまさにその活躍ぶりが世界に認められたからこそ。国内でもタイトル奪取の機会がない水波にとって、初代王者であるニコルへの挑戦に、初の戴冠なるか、期待がかけられた。
 とは言っても水波本人はそれを知らされていなかった模様で、リングに上がってそれを知ったという。「まさか、タイトル戦とはビックリしたぜ、オイ! でもこれも海外ってことですぐに切り替えたぞ、オワオ!」と後に振り返ったように、全く知らずに試合に挑んだ。いつものように青と赤のハーフマスクで登場、リングサイドのファンとハイタッチをかわして入場し、タイトル戦セレモニーへと移行した。
「ウオッシュッ!」とアニキ語を発して臨戦態勢を取った水波はまず、グラウンド勝負でスタート。しかし、押せ押せの迫力に思わずニコルもタイムのポーズ。水波のタックルから試合は動き出す。すかさず、ニコルが突進すると、体を崩してエプロンへ送り込む。そして、エプロンサイドのニコルにスピアーを決め、場外へ吹っ飛ばすと、水波もそれを追う。ニコルを抱え上げ、鉄柱にぶつけてダメージを与えるも、その後、助走を付けてのラリアットを狙うが鉄柱に誤爆。思わぬ大ダメージとなった。
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 ニコルは水波を捕らえると、エプロンサイドでの腕ひしぎを決める。思わぬ墓穴を掘った水波だが、リングに戻ると、タックル、スピアーと続け、再び勢いがつく。唇に手を当てて、「チュッ」と音を立ててからのナルシストエルボーを決めた水波は、突進するニコルにパワースラム。そしてギロチンを落としたがカウント2。
しかしニコルの延髄蹴りを食らうと腕ひしぎを狙われる。なんとか腕のロックは外さず。ここで、ナックル合戦。ニコルが打ち勝ち、水波をジャーマンに捕らえ、またも腕ひしぎの体勢に。逃げ切った水波は痛む右腕を使ってのラリアット。すかさずダイビングギロチンでトドメを狙いに行ったが、これは自爆に。このスキにニコルはダブルアームから、今度こそ腕ひしぎを決め、ついに水波からギブアップ奪った。
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                    (C)Lady Ring
 敗れはしたが“アニキ”人気は急上昇。
「あー。関節をとられて負けてしまったぜ。なんか格闘技系の選手らしかったな。知らなかったぜ! でもまだまだ水波は突っ走るぜ、ウワヤー、おい!」と、水波はとにかく元気だ。
  
▽SHIMMER女子選手権 60分1本勝負 
マジソンイーグル(無効試合)中島安里紗

 昨日のSHIMMER 81にて、JWP無差別級王座を掲げてマジソンの前に現れた中島。このリアクションから、同王座への挑戦権をモノにした。SHIMMER参戦わずか2戦目にして、最高峰の王座へ挑戦するという機会はこれまでにも例がなく、中島、およびJWP王座の価値がこのタイトル戦に結びつけたといっていい。これはSHIMMER史上にも残る快挙だ。
 まずは日の丸を掲げて花道に姿を現した中島は、静かにリングへ一直線。一方のマジソンの入場には視線を逸らさず睨みを利かせた。
 中島のコール時には「JWPオープンクラスチャンピオン」という肩書きでコールされ、白とピンクのコールが飛ぶ。絶対王者であるマジソンの登場に、ファン「レッツゴー・イーグル」のコールを送るも、一方では「アリサ」コールも起き、声援は互角。
 前半はグラウンドの立ち上がり。王者マジソンに対して一歩も引かない中島。JWPの伝統的レスリングを世界のファンに見せつける。マジソンは右腕を掲げて、手四つ勝負を挑む。リーチの差で届かない中島はすかさず背後に回るとマジソンをひざまづかせ、自身が高くなってから手四つ勝負へ。これには全米のファンも大喜びだ。
 膝蹴り、ドロップキックとたたみかけを見せる中島に、逆片エビ固めでスタミナを奪いに行くマジソン。中島はマジソンのキックをかわして右足を奪うと、そのままストレッチマフラーへと移行。この動きには館内から驚嘆の声が上がる。
 意欲的に攻める中島は、マジソンをロープに貼り付けると、背中越しへのドロップキック。そしてリング内に引きずりだすと、マウントパンチから三角締めへ。しかしこれを持ち上げて返すマジソン。イケイケの中島はストンピングの連打からランニングのニー。しかしマジソンもビッグブーツで返す。
 再びナックル合戦。マジソンの長身をも気にせず打ち込んでいく中島。ミサイルキックを連発するが、続くダイビングフットスタンプは空振り。それでもラリアットをかわすと、カサドーラへ。しかし、回転の途中でこれを静止したマジソンはそのまま持ち上げ、ジャーマン。かろうじてカウント2で返した中島だが続けざまにハーフネルソンスープレックスを食らう。
 中島も膝蹴りで反撃すると再びカサドーラからのフットスタンプへ。トップロープにのぼると追いかけるマジソンを振りほどき、フットスタンプを敢行。マジソンはこれをカウント2で返すと、中島は昨晩のフィニッシュとなったジャーマンを狙うがマジソンはこらえて投げられず。再びマジソンはハーフネルソンスープレックスに取り、さらにトップロープへ。ここでスパイダースープレックスを決めると、中島もダウン。
 試合は白熱の好勝負となり、どちらにベルトが転がってもおかしくない状況となったが、ここでなんとバイパーが乱入し、マジソンへ襲い掛かる。バイパーは、セミ
前にリングに登場し、「SHIMMERのベルトに挑戦させろ。このメンバーのなかで一番強い私が挑戦しないのはおかしい」とアピールしたばかりだった。
不意打ちを受けたマジソンは場外転落。そのままダウンを喫した。ここでゴングが打ち鳴らされ、無効試合の裁定に。現SHIMMER王者と現JWP王者による夢の対決は、
まさかの幕切れとなった。決着つかず。
 ここで中島が予期せぬ行動に出る。場外でダウンのマジソンのもとへ訪れ、「もう一回」のアピール。そして握手をかわすと、マジソンを引きずりおこし、肩を貸してともに引き上げた。中島の行動に観客からは温かい拍手が沸き起こった。「NAKAJIMA」の名前は確かにアメリカマットに刻み込まれた。
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 中島は「これからってときに乱入されたので不完全燃焼でしたね。でもマジソンはとにかくでっかいというのが一番でしたね。でも、チャンピオンとしての器はすごく感じましたね。誰しもが認めるチャンピオン、みんなのチャンピオンって感じでしたね」とマジソンの実力を肌で感じ取った。海外でのタイトル戦を経て、中島のほうこそ、さらに器の大きなチャンピオンとなった印象がある。日本に帰ってからの中島が楽しみだ。

■6月25日 アメリカ・イリノイ州シカゴ・イーグルススクエア
「SHIMMER 83」

▽4WAYマッチ
桜花由美 vs. ミア・イム vs. アリシン・ケイ vs. ジェシカ・ハボック
◎ジェシカ(片エビ固め)ミア

 桜花は昼のSHIMMER 82は出場しなかったため、この日は夜の大会の出場のみ。そのカードはなんと4WAYマッチとなった。
 まずは入場時、たっぷりのブーイングを浴びる。そしてコールと同時にムチを振りかざし、マットに叩きつけると、ますますブーイングは増量に。これを涼しい顔で受け流す桜花。
 試合開始、ハボックとケイの襲撃を受け、桜花とミアは場外に転落。そこからハボックとケイの闘いとなるが桜花はリング下で戦況を見つめる。
その後、ハボックとケイがにらみ合ったタイミングを見て、桜花とミアがそれぞれ反対のコーナーに上がる。桜花は茨城県猿島郡産の秋刀魚ドロップを急降下させ、戦列復帰。ハボックとケイは場外転落し、桜花とミアの戦いに。桜花は昨晩の闘いで会得したミア・ポーズを決めてミアを挑発。
 ミアとのナックル合戦からビッグブーツで打ち勝ち、さらにナックルと見せかけての顔面かきむしりへ。「ここが違うよ」とばかりに頭を指差す桜花にブーイングが飛ぶ。気にせず、コーナーに追い込んでのビッグブーツと追い込み、一気に雪崩式の技を狙おうとセカンドロープに立つ。
 しかし、ケイが背後からカット、3人がトップロープ上でもみ合う間にハボックが割って入り、なんと3人まとめてパワーボム気味に投げ飛ばす、モンスターパワーを発揮。これに怒った桜花はポーズを取るハボックに向かってビッグブーツ。そしてミアにブラディーEXを決めるも、背後からケイ、ハボックも絞めにかかり、EXの数珠繋ぎ状態に。
 今度は桜花がミアに向かって垂直落下ブレンバスターからムチ攻撃を使い、やりたい放題。すでに桜花のムチでダメージを受けていたミアが立て続けにハボックのサイドバスターを受けて轟沈した。
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                    (C)Lady Ring
 桜花は「シングルの4WAYって言うのも初めてだし、ギリギリまで対戦カードわからなかたったので、何をしていいのかもわからない中での試合でした」と振り返ったものの、桜花らしさは存分に発揮された。いまや、桜花はSHIMMERにおける日本人選手のキー・ウーマンだ。

▽シングルマッチ
ケリースケーター(片エビ固め)水波綾

 水波は日本でもおなじみ、ケリーとのシングルマッチ。思わぬ好カードは実現。
 まずは、ファンとハイタッチをかわしてのリングイン。2階席で見守る桜花に対してポーズを取るなど、リラックスムード。そしてリングアナに「アイム・ミズナミ!」とアピール。実は昼の試合で、リングアナに「ミズモト」と紹介されていた。無事に「リョー、ミズナミ」とコールされると満足げにうなづいてポージングを取る。日本語で「よろしくお願いします!」とケリーに発して握手。
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                    (C)Lady Ring
 試合開始、力比べからタックルの連打。ブレンバスターからギロチンへ。ケリーもドロップキックで水波を場外へ落とすと、逆水平チョップを打ち込みまくる。リングに戻り、ストンピングを打ち込むケリーに、水波は「もっと来い」のゼスチャー。ケリーのコーナーでの攻撃をかわすと、タックルを打ち込み反撃開始。唇に手を当てて、「ちゅっ」と言わせてからのコーナーラリアット。これに対し、ケリーも「アニキ!」っと叫びながらのミドルキックを連発。水波はこれをパワースラムで切り返すと、バックを取りジャーマンへ。さらに右腕を掲げ、ポージングを取ると、紅の豚へ。そして距離をはかるとタックルへ。
 しかしトップロープからの攻撃はデッドリードライブで切り返される。それでも水波はラリアットの連打で勢いを止めず。それでもハイキックを食らうが前進の姿勢は変わらず、このツアー初の裏投げを決める。
 しかし再びハイキックを決められると動きが止まり、インターナショナルインシデントの前に敗北を喫した。

 それでも水波は「ケリーとの試合、今日が初めてだったぜ!なんかSHIMMERって初めてのことが多いな、オイ! 桜花さんとの対戦もWAVEではやらないし、アメリカでのタイトルの挑戦もそう。ケリーとやれてうれしかったぞ。あと1日、熱さ全開で突っ走るぜ! ウオリャー!」と気合MAXだ!