ラ・ソンブラ素顔!老兵アトランティスが29分の激闘制す~CMLL82周年

(C)CMLL

 9月18日(現地時間)にメキシコ・アレナメヒコで『CMLL アニベルサリオ82』が開催された。
 この大会はCMLL年間最大大会でルチャリブレ誕生82周年となる。今大会のメインは、レジェンドであるアトランティスと、ラ・ソンブラのマスカラ・コントラ・マスカラ(敗者、覆面剥ぎマッチ)だ。デビュー後、すぐにスターとして昇りつめ30年以上、他団体からの引き抜きを断りCMLL一筋であるレジェンドのアトランティス。対するは、2007年にインディ団体からCMLL入りするとスターとして売り出されるも、アトランティスの様に人気が追い付かず、団体のごり押しとして観客からブーイングを浴びるようになり、自棄になって、同じ立場のルーシュと共に制御不能な超党派ユニット、ロス・インゴベルナブレスを結成し、テクニコ(善玉)でありながら、ルード(悪役)の様なふるまいで、ますますファンから嫌われているラ・ソンブラ。前哨戦でも、ソンブラはアトランティスのマスクを剥がし、悪の限りを尽していた。

 試合は、アトランティスにはボラドールJr.、ソンブラにはルーシュがセコンドについており、ソンブラは握手をすると見せかけて攻撃と相変わらずの悪党ぶり。更にセコンドのルーシュも試合に介入、ソンブラはカメラのケーブルでアトランティスの首を絞めると記念大会で行ってはいけない様な攻撃を繰り返し、アレナメヒコの観客からは凄いブーイングを受けていた。まず反則でアトランティスが1本、セコンドは退場となり試合は混沌、すぐにソンブラが2本目を奪い、運命の3本目に突入した。
 その後はCMLLマスカラ戦名物のカウント2.9の攻防で消耗戦が続く。それでもソンブラはアトランティスのマスクに手をかけ、退場させられたルーシュも乱入するなど反則を繰り返した。しかし、それに耐えたアトランティスの怒りが遂に爆発、必殺のアトランティダががっちり極まり、ソンブラは無念のタップアウト。アトランティス過去の大一番マスカラ戦、ビシャノ3号戦、ウルティモ・ゲレーロ戦と同じく、がっちりと腰を落して膝をついたアトランティダではソンブラも「参った」と叫ぶしかなかったのだ。アトランティスが2年連続で大一番のマスカラ戦を制し、完全に聖人エル・サントに並んだと言っても良いだろう。そしてソンブラはマスクを剥がされ本名マヌエル・アルフォンソ・アンドラーデ。25歳ドゥランゴ州ゴメス・パラシオ出身とプロフィールも公開され、マスクマンとしてのキャリアは終了した。

 頭の足りないブッカーなら、とにかく若い選手に勝たせて、次から皆さんが見に来るのはこの若手ですごり押しする最低な台本を使いたがるが、それをせずアトランティス勝利でレジェンドの大勝利としたCMLLは素晴らしいとしか言いようがない。ルチャリブレ82年の歴史では、かつて還暦を過ぎていたエル・サントと、30代で油が乗りきっていたボビー・リーがマスカラ戦を行い、当然、下馬評ではもう引退寸前のサントより、これからのリーに勝たせるだろうと感じだったが、サントが勝利し、リーの覆面を剥いだという輝かしい記録もある。とにかく若いのをプッシュすればいいというバカな考えは捨てて偉大なるルチャリブレを世界中の団体は見習うべきだろう。特にアトランティスが50代だからとそこだけ見て、世代交代させるべきというのは間違いだ。アトランティスは(メキシコから見て)外国ではそこまで評価されてないが、メキシコでは絶大な人気があり、その国での評価も考慮しなければいけない。松茸は日本では高貴な香りと高く評価されるが、他の国では腐った匂いと言われるのと同じで、外国人が「アトランティスが負けるべき」と言うのは、日本人に向かって外人が「松茸は腐った匂いだ」と言うようなもの。特にCMLLは最古のプロレス団体であり、ライバルであるAAAに比べても非常に保守的で、それをファンが支持している、それを見たくて会場に足を運んでいるのに、それに逆らうなら客足が遠のく事もある。更に言えば、アトランティスは30年間以上、CMLL一筋忠義を尽くしてきたレジェンド。それをここで覆面脱げというのなら、忠義を尽くした結果、そんな仕打ちをする団体なんだと思われ、若いルチャドールがCMLLの為に頑張ろうという意欲が無くなってしまう。単純に若いのに勝たせればいいという訳ではないのである。

 セミファイナルは本来はCMLL復帰を果たしたドクトル・ワグナーJr.とLAパークが目玉だったものの、LAパークはCMLLを離脱、ワグナーも欠場という異常事態となった。LAパークが観客と揉めて暴言を吐いたのが放送に流れてしまい、それで契約解除。盟友(リング上では抗争している)のワグナーJr.もその影響なのか、欠場となった。結果、ショッカーとマルコ・コルレオーネがセミファイナルに代打で登場したのだが、トーンダウンは否めなかった。試合は相変わらずルーシュらはテクニコにも関わらず反則殺法で、完全にルード化。最後もルーシュがレフェリーを蹴飛ばして反則負け。ボラドールJr.は極悪非道なルーシュにカベジェラ戦(敗者髪切りマッチ)を要求。ボラドールJr.は悪人ルーシュを懲らしめる事が出来るのだろうか?

150918CMLL
■ CMLL アニベルサリオ82
日時:2015年9月18日(現地時間)
場所:メキシコ・アレナメヒコ

<メインイベント マスカラ・コントラ・マスカラ>
○アトランティス
 2-1
●ラ・ソンブラ

<セミファイナル 6人タッグマッチ>
○ショッカー、ボラドールJr.、ウルティモ・ゲレーロ
 2-1
●マルコ・コルレオーネ、ルーシュ、サンダー

<6人タッグマッチ>
○ミスティコ、ドラゴン・リー、バリエンテ
 2-1
●ニエブラ、ネグロ・カサス、フェリーノ

<シングルマッチ>
○ダーク・エンジェル
 ジャベ
●プリンセサ・スヘイ

<6人タッグマッチ>
○ドラゴン・ロホ、ポルボラ、レイ・エスコルピオン
 2-1
●マキシモ、ゲレーロ・マヤ、ストゥーカJr.

<6人タッグマッチ>
○ヴィールス、ディストゥルビオ、プーマ
 2-1
●パンテル、フエゴ、エスフィンヘ

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